被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ

第11話 名付けてエアコン

　やっと完成したっ！

　扇風機の魔法！

　冷たい風が出る！　これでお姉さん達の稽古場所にも涼しい風を吹かせられる！

　今日取得した『魔法調整』のおかげで火力を最弱にして、範囲を広範囲に調整したら、少量のＭＰで魔法が使えた。

「お母さん！　冷たい風の魔法が出来ました！　ありがとうございます！」

「…………」

　あれ？　お母さんとサディスさんの目が点になっている？　どうしたのだろうか？

「おかあさん？」

「えっ！？　あ、クロウくん。もう終わりなの？」

「はい！　冷たい風の魔法が出来ました！」

「そ、そっか。え、ええ。うちの息子は凄いわ！」

　そう言いながら、お母さんは俺の頭にものすごい勢いでナデナデしてくれる。でもお母さん目は相変わらず点になっている。

「そ、それで、クロウくん？　その魔法、名前はどんな名前なのかしら？」

「うーん？　名前……？　考えませんでした」

「えっ！？　名前が……無いの？　魔法なのに？　え……？」

　う～ん、氷風送り魔法とかかな？　いっそのこと扇風機で良いか、でも扇風機じゃないしな…………前世の事を思い出してみる。

　昔テレビでエアコンという物を見たことがある。

　付けると冷たい風が出ると言っていた。

　凄い扇風機みたいだなと印象が残っている。

「えっと…………『エアコン』です」

「『えあこん』？　は、初めて聞く魔法だわ…………サディスは？　やっぱり初めて…………もうわけがわからないわ～」

　取り敢えず『エアコン』と命名した魔法を練習することにしよう！

　その日から『エアコン』を屋敷内と庭に使ってみる。

　屋敷内、外ではちょっとした騒動になったが、それを俺が知ることはなかった。

　更に数年後、この『エアコン』を巡ってあんなことが起きるなんて、今の俺は知る由もなかった。

　魔法『エアコン』を数日使っていた俺はまた新しいスキルを獲得した。

　-　スキル『魔法固定』を獲得しました。-

　『魔法固定』

　指定場所に魔法の発動を固定させて、発動させ続ける事が出来る。

　固定時、ＭＰを注ぐ事によりＭＰ分発動し続けさせる事が出来る。

　上限は十日分まで設定可能。

　『魔法固定』を覚えてからは、屋敷内と庭に夏が終わるまでずっと続く『エアコン』を固定する事に成功した。

　◇

　◆ライフリット・エクシア◆

　僕はエクシア家の長男のライフリット。

　５歳の時、職能開花で『剣士』の才能を授かりました。

　続いて弟のデイブリッドも５歳の時『剣士』の才能を授かりました。

　両親はそんな僕達を誇りに思うと言ってくれて、とても喜んでくれました。

　そんな僕にはもう一人弟がいます。

　名前はクロウティア。

　生まれた時から一度も泣かず、声も聞いたことがありませんでした。

　屋敷では声が出せない病気なのかも知れないとのことです。

　僕達のお母さんはものすごい回復魔法の使い手なのですが、そんなお母さんでも治せないようです。

　それが先日、状況がガラッと変わりました。

　どうやらクロウティアは魂の記憶（フラッシュバック）持ちだったようで、過去に虐待奴隷だったのではないかとのことです。

　そして、もう一人の妹と両親の頑張りのおかげで、クロウティアは家族に心を開いてくれるようになりました。

　デイくんと妹のセレナちゃんも可愛いのですが、心を開いてくれたクロウティアの『おにいさん』の言葉に昇天しかけました。あれはあまりにも可愛らしい。最終兵器です。

　それとその日と境に、妹のセレナディアも稽古に参加するようになりました。まだ３歳なのに自ら参加を希望して。

　職能開花した僕達の剣術にはとても敵わないですが、妹も高い剣術の才能があるように感じます。

　恐らく妹も『剣士』の才能があるのかも知れません。

　そんなこんなで、ほぼ毎日稽古に励んいる僕達ですが、夏時期なのもあり、稽古中の暑さには困りものです。

　ですが、数日前からいきなり周りが涼しくなりました。

　屋敷内も涼しく、夏なのに涼しくて快適な生活と稽古を送れるようになりました。

　メイドさん達も理由を知らされてなくて涼しい現状に戸惑っていました。

　そんな中、僕達のお母様から「屋敷内外を涼しくする魔道具を買いましたので、狼狽（うろた）えないように！」とのことでした。

　さすがはエクシア家です。僕の、僕達の誇り高き家です。

　でもその後、お父様から「フローラ！？　魔道具ってどういう事だ？　屋敷内をこれ程までに涼しく保つ魔道具なんて聞いたこともないよ？」と仰いました。「貴方、私が買った。と言ったら買ったのです。それについて疑問は受け付けませんわ！」とお母様に怒られていました。

　僕はお父様に続き、エクシアの当主となるべく勉強も日々頑張っていますが、こんなに素晴らしい魔道具の事は聞いたことも見たこともありません。

　世界は広いのですね――――――きっと。

　◇

　◆セレナディア・エクシア◆

　さいきん（最近）とてもすず（涼）しいので、けいこ（稽古）もつら（辛）くないわ！

　めいどたちが、うわさ（噂）していたけど、おかあさま（お母様）がすず（涼）しくなるまどうぐ（魔道具）をか（買）ったとおっしゃったの。

　でも、なんとなくだけど、これはまどうぐ（魔道具）じゃないとおもうの。

　このすず（涼）しいかぜ（風）にあたってると、おとうと（弟）のかいふくまほー（回復魔法）をうけているときとおな（同）じかんじがするの。

　だからおとうと（弟）のくろうにと（問）いつめることにした。

　「くろう！　さいきん、すずしいかぜってくろうのまほーなの？」

　「えっ！？　えっと……うん…………」

　「やっぱり！」

　「おねえさん？　どうしてわかったの？」

　「なんとなく、くろうのにおいがしたきがしたの」

　「そ、そうなの！？」

　そういいながら、くろうはじぶん（自分）のからだ（身体）をくーんくーんとにおいをかいだの。

　「ちがう！　ぜんぜんくさくないよ！　そんなにおいじゃなくて、なんとなくそうかんじたの」

　「あっ、そうか！　よかった！」

　くさくないってわかってぱーっとわら（笑）うおとうと（弟）、うん、せかいいち（世界一）かわいい。

　「おねえさん、ほかのひとには僕の魔法なの、言っちゃだめだからね！　おかあさんからの命令だよ？」

　「うん！　わかった！　だれにもいわないわ！」

　あれがおとうと（弟）のまほー（魔法）だとし（知）ってから、なまえ（名前）は『えあこん』ってお（教）しえてくれて、なつ（夏）はずっとすず（涼）しくしてくれた。さすがはわたしのおとうと（弟）！

　名前　クロウティア・エクシア

　年齢　２歳

　性別　男

　種族　人族(幼)

　職能　未開花

　レベル　1

　ＨＰ　3/3

　ＭＰ　660/660

　力　10×0.1=1

　速　10×0.1=1

　器用さ　10×0.1=1

　耐　10×0.1=1

　魔力　10×0.1=1

　精神　10×0.1=1

　『レジェンドスキル』

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　『魔法系統スキル』

　 下級回復魔法、水属性魔法、風属性魔法、氷属性魔法、空間魔法

　『スキル』

　痛覚軽減レベル１０、睡眠耐性レベル９、感情無効、言語能力、魔法強化レベル１、多重魔法発動、魔法調整