3話 アリアブル家の真実


 それにしてもミアは何の話をするんだ? 別にミアと二人で話したくないわけじゃない。でも俺はルビアの護衛役としてここにいる。だから大抵はルビアも含めて話すことが多い。


 それはミアもわかっているはずだ。それでも俺と二人で話したいと言ってきたってことは、それだけ重要なことなのかもしれない。


 今回ミアと二人で話すことをルビアに伝える。


「ルビア。ミアと二人で話すから放課後はラッドくんに護衛を頼むよ」


「ふーん。私がいたら話せないような内容なんだ?」


 え? なんでそんなに切れ気味なの? 知り合いなら別によくないか? でも突然他の奴と二人で話すと言ってきたら雇い主なら怒るのも当然なのか? まあいきなり言ったことは幼馴染だったとしても無礼だったかもしれない。


「ごめん。でもミアが二人で話したいって言ってきたからさ」


「そっか。まあいいよ。でももし話せそうな内容だったら話してね?」


「もちろん」


 機嫌は良くないが一応は了承が取れたので、放課後はフリーの時間になった。


(ルビアがあんなに怒ってる雰囲気を出すなんて久々だな)


 そう思いつつ学校生活を送っていると、あっという間に放課後になった。


「ルビア。今日ノアを借りるね?」


「うん」


 二人はなぜかいつもと違う雰囲気をしていた。


(ん?)


 あんな雰囲気になっていたことなんてなかったのになんでだ? さっぱりわからない。いつもなら仲良く話しているのに......。


「じゃあノア行こっか?」


「あ、あぁ」


 そう言って、ミアと一緒に教室を後にした。


「なあミア?」


「何?」


「護衛の人はどうしたんだ? いつも見当たらないけど」


 無言の時間が続きすぎて、つい話しかけてしまった。でもこれは今まで疑問に思っていたことだから仕方がない。なんせ貴族なら誰もが護衛をつけるのが当たり前なのに、ミアだけ護衛が見当たらない。いや、昔いるとは話を聞いていたけどあまり見たことがないと言った方がいいか。


「私の属性って覚えてる?」


「あぁ。風だろ?」


「うん。でもね。妖精族エルフには、精霊の加護っていうのがあるの」


「え?」


 その言葉に驚きを隠せなかった。精霊の加護? 聞いたことがない。でも俺が無属性魔法---影魔法を使えるのが世間的には知られていない。それと同じなのかな?


「これは誰にも言わないでね? 精霊の加護っていうのは、妖精族エルフなら誰でも持っているものなんだ。でも精霊も様々で、私に加護を与えてくれているのは精霊王なの」


「は?」


 やばい。頭がこんがらがってきた。まず妖精族エルフ全員が精霊の加護を持っているってことを俺に言ってよかったのか? それに加えて、ミアが精霊王の加護を与えられてる? 


「信じられないよね? でも事実だからね。精霊王のおかげで私がピンチになりそうなら精霊を使って護衛の人に伝えてくれるんだ」


「......。ちょっと情報量が多すぎてこんがらがってるだけ。でもそうなんだ」


「うん」


 するとミアが人気の少ないところで止まった。


「今日呼んだのは、ノアのこと」


「俺の事?」


「そう。アリアブル家の話」


「......」


 なんでミアがそんなことを知っているんだ? 俺ですら父さんが話してくれないのに......。


「単刀直入に言うね? アリアブル家は元公爵家だよ」


「え......」


衝撃的な事実を伝えられて固まってしまった。

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