14話 再会
この反応。やっぱりあの子がラッドくんの妹だったか......。するとラッドくんが俺たちに向かって深々とお辞儀をしてきた。
「本当に、本当にありがとうございます」
「「いいって」」
俺たちにはわからないが、家族が見つかるのがどれだけ嬉しいことなのか想像するだけでわかる。それに加えて死んでいたと思っていた家族が生きていたのだから。
「ミーシェさんはラッドくんと同じ魔法科ですよ」
「え? 本当ですか!?」
「はい」
まじか......。ラッドくんの身近に妹がいたとは思いもしなかった。でも考えてみればそうか。魔法科の人数は貴族科に比べて格段と多い。それに入学してあまり時間が経っていないため見つけることはできていなかったのだと思う。
「じゃあ今から探しに行こうか。まだいるかもしれないしね」
「はい!」
俺たちは学園長にお礼を言って部屋を出た。そして魔法科の生徒がまだいるかもしれない場所をしらみつぶしに歩き始める。そこから数十分探すが見つからない。時間が経つにつれてラッドくんの顔も徐々に険しくなっていった。
(やっぱり今日は見つからないのかな?)
別に今日見つけなくちゃいけない理由はない。でも居場所が分かった以上、すぐにでも会いたいのは当然だ。
「ルビア様、ノア様。もう時間も遅くなってきましたので明日お願いできますか?」
今日は諦めたのかそう言ってきた。でもルビアは。
「ダメよ! まだ学生はいるわ! なら探すのがいいに決まっている! ノアもそう思うよね?」
「あぁ!」
俺もルビアと同意見だ。まだ時間はある。学生が減ってきたといっても、まだいる。なら探すのが一番だ。だからもう少しだけ3人で探し始める。
何カ所か探したが見つからない......。時間も時間になってきたので最後に図書館にいって、いなかったら帰ろうとした時、廊下にあの少女がいた。
「ミ、ミーシェ!」
「え?」
俺がラッドくんの方を向いた時には走り出していた。そして妹に抱き着いていた。
「に、兄さん?」
「あぁ」
ラッドくんは泣きながら頷いていた。すると妹---ミーシェさんも涙を流し始めた。
「本当に兄さんですよね?」
「あぁ。よく生きていた......。本当に、本当によかった」
そこから数分間抱き合ったまま止まっていた。でもその後、俺とルビアの方を向いてお礼を言ってくる。
「本当にありがとうございます。もし今日諦めていたらこんなに早く会うことができませんでした」
「あぁ。本当によかった」
「うん!」
俺とルビアも2人に近づいていく。
(それにしても本当に似ているな)
まじかで見ると本当に瓜二つと言う感じであった。
「あの、兄さんと一緒に居てくださった方ですよね? 本当にありがとうございます」
「私たちこそラッドくんには助けられていたからこっちこそお礼を言いたいぐらいだよ! それよりもミーシェさんですよね? この後お時間はありますか?」
「はい」
「では私たちの屋敷に行きましょうか」
ルビアがそう言って屋敷に向かった。屋敷に向かう最中もラッドくんとミーシェさんは少し泣いてしまいそうな顔をしていた。
(本当によかった)
その時、誰かから俺たちに向けられていた目に気付くことができなかった。
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