9話 魔法適正
魔法室に入ると大きな水晶玉があった。
(これで適性を見るのか)
俺が適性を受けた時はルビアに渡したのと同様、父さんから魔法紙を渡されて確認した。その方法が一般的だと思っていたが、ここでは水晶を使う。
(本当に来てよかった)
ぶっちゃけ最初はここへ来ても何も学べないと思っていたけど、俺の知らない方法や知らない魔法があるとわかれば考え方も変わる。いろいろ考えていると、クラスメイト達が次々と魔法の適性を受け始めた。当たり前のように火、風、水など適性がわかっていく。そして残り5人ほどになってやっと男性が闇属性の適性が出た。するとクラスメイト達がざわつき始めた。
(...)
その人は顔を少し青くなっていたが、ざわつきは止まらない。
はっきり言ってイラっと来た。闇属性の印象が悪いのはわかっている。なんせ犯罪系統の魔法も覚えることができるから。でも世界的に見たら闇族性が一番犯罪を起こしているのか? 俺はそうは思わない。他の属性でも犯罪を犯す人は居る。ただ呪いなどの魔法が覚えやすいから印象が悪いだけだ。
ジャック先生がざわついている生徒を黙らせて残っている人の適性を始める。最初はシュクリードさんが適性を受けて、水晶玉が赤く光った。
(まあ予想通りだな)
そして次はミアの番になって、緑色の光り、風属性の適性が出た。みんなとは違い、全員より強く光っていた。
ミアは思っていた通りだという顔をしてこちらに戻ってくる。
「まあわかっていたから特に驚くこともないわ」
「そっか。でも私はミアが風の適性があるってしれてよかったわ!」
ルビアが言うとミアは首を傾げながら尋ねてきた。
「なんで?」
「だって今後一緒にダンジョンに潜ると思うから、一緒の属性だと役割がかぶってしまうじゃない!」
するとミアは笑みを浮かべ始めながら言った。
「そうね」
「じゃあ次は私ね」
そう言ってルビアが水晶玉に魔力を注ぐと黄色に光る。そしてこちらに戻ってきて
「じゃあ最後はノアだね」
「あぁ。それにしてもなんで俺が最後なんだか...」
「それはノアが一番強いからに決まっているじゃない!」
「あはは...」
まあ俺より強いクラスメイトなんていないのはわかる。逆にいたら怖いし。そして俺もみんなと同様、水晶玉に魔力を注ぐと水晶玉全体が黒く光った。
(あれ? みんなと違くないか?)
みんながやった時はもっと小さく光っていた。
「先生? なんでこんなに光っているのですか?」
つい質問をしてしまう。
「多分、ノアくんの魔力が闇属性と一致しすぎているからだと思います。それに加えてこのクラスの中で一番魔力を持っているということです。それにしても
「あ、ありがとうございます」
それを聞いて俺はルビアたちのところに戻る。ぶっちゃけ魔力が人並み以上にあるのはわかっていたけど、ここまでとは思ってもいなかった。
「すごいですね。ノアさんってここまで魔法の才能があるとは思ってもいませんでした」
「ノアはやっぱりすごいね」
「ね! やっぱり私の護衛として相応しいわ」
「あはは。ありがと」
みんなこう言ってくれているけど、他のクラスメイト達は疑心暗鬼の目で俺を見てきている。
(あまり目立ちたくはなかったんだけどな...)
こんな形で目立つとは思ってもいなかった。そしてクラスに戻ると一人の男性が俺に話しかけてきた。
「あの...。少しお話をさせていただけませんか?」
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