27.
私の左手首に浮かび上がった”10”という謎の数字。
その直後、私の腕時計のアプリを起動させた
「……透子、この呪いは命を削るって言ってたよね。それって具体的にはどうなるの?」
「…………」
「ちゃんと、教えて」
言いにくそうに黙り込む透子の目を見つめる。ゆらゆらと迷うその視線は宙を舞う。
諦めたように浅く息を吐く音が聞こえた。
「……その呪いは、使用者の寿命を縮める」
「私の?」
「私たちには定められた寿命がある。誰が何年生きられるかなんて誰にも分らないけど、運命って言うのかな。必然的に、絶対的に死ぬ時が決まっているの。五十年なのか、百年なのか、その長さは人それぞれだけど。それが……早まる。そんな呪い」
「それだけ?」
「それだけって……分かってるの? 本来の寿命が短く、早く死んじゃうんだよ⁉」
「だって今すぐ死ぬわけじゃないんでしょう? 結社を潰すまで生きていられたらそれでいいよ。どうせそれ以外にやりたいことなんて無いんだし」
言って、気が付いた。
そうか、私は生きる目的がそれしかないから。だからあんな戦い方しか出来ないんだ。
良く言えば自己犠牲。悪く言えば死にたがりというヤツだ。
「何を、言ってるの。結社がなくなろうが、春の人生は終わらないんだよ……?」
「目的を失ったら終わったも同然だと思うけど」
「目的って……そうだ、幼馴染の
呆れてため息が漏れた。
「透子、本気?」
「え?」
「本気で
「……まだ遺体が——」
「分かってるんだよ。薄々思ってた。結社がその場で殺さず連れ帰ったって、きっとその後殺される。だから結月はもう……」
ずっと生きてるって信じてた。でも何も進展しない現状を前に、本当はもう手遅れなんじゃないかって心のどこかで思っていた。
とうとうそれを口に出してしまった。もう終わりだ。これから先は復讐のために戦うことしか出来そうにない。
「春、それは
透子は俯く私の肩を掴んだ。
「まだ遺体も出てない、結社のアジトも見つかってない、敵から何も情報を聞き取れていない。この状況でその判断は早すぎる。いい? 半年も経っているのに遺体が出てない。変に死体を隠す理由もないんだし、それは逆に生きてるってことにならない?」
「そんなの分かんないじゃん」
「そうだよ、分かんないんだよ。だから死んでるって決めつけるのは早すぎるよね?」
言い負かされてしまった。
確かに結社に連れ去られた人はおよそ数ヵ月の間に死体になって発見される。それなのに結月の遺体はまだ発見されていない。
……信じて良いのかな。まだ助けられるって、もう一度信じて良いのかな。
「……信じたい。けど、材料がない。何か、私を納得させられる情報は無いの?」
「情報って……」
「呪いの武器の話も、支部の話も。結局、透子ってなんなの? 私の教育係っていうのは分かるけど、どういう立場なの? 透子は秘密が多すぎる。そろそろ教えてくれたって良いじゃん」
言ってしまった。ずっとずっと聞きたかったこと。どういう立場で、どういう考えで私の側にいるのか。ずっと疑問だった。
呪いの
それを黙っているのも気になるし、透子はこの武器に
「……誤魔化さないでちゃんと、教えて。貴女は一体、何者なの?」
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