第10話……エピソード5……一旦帰還
1376年7月上旬日曜日朝7時……マークランド
高床式住居が完成したところでアドルフは原住民との共存共栄を図るため、交易をしようと考えたが、彼らの必要とする工具をあまり沢山所持していないことに気がついた。
彼らはシベリアの先住民と同様に鉄製の生活用品を必要としているのだ。鍋、釜、斧、ナイフなどだ。陶器の食器類、一番必要なのはコークスとセントラルヒーティング用の鉄パイプだ。鉄鋼やコークスはあればあるほど良い。
アイスランドからグリーンランド経由で此処まで来たが緯度的にはアイスランドよりもかなり南に来ているはずだ。
最初の出発点をもっと南にすればこの大きな島のもっと南に上陸できる可能性がある。
ここは此処で拠点を確保しておいて別部隊で国へ一旦帰ろう。
1376年7月中旬日曜日朝7時……マークランド
アドルフは500名の兵隊たちを残してマークランドを東に向かって出発した。沖に出てから進路を南に変えて進んだ。東向きの海流「メキシコ湾流」に乗り、東向きの風に助けられ一ヶ月の航海の後陸地にたどり着いた。敵地のスペイン領カディスに着いてしまったのだ。
慌てて港を出てセウタに向かい無事寄港した。
セウタではケマツ……スネジャーナの長男、嫁ちはる夫妻が出迎えてくれた。
1376年8月下旬日曜日朝7時……セウタ港
アドリアンに連絡を取り、航路を説明した。直ちに連絡があり、アドリアン自身が一緒に行くという。
アドリアン「工具類やカービン銃、弾丸、コークス、鉄鋼など満載していくからそこで待っていろ。さすがアドルフだ。大手柄だぞ。良くやった」
お褒めに預かった。
1376年9月下旬日曜日朝7時……セウタ港
アドリアンは100万の軍勢を率いてカディス、セビリア、コルドバ、グラナダ、マラガとスペインの南部を支配下に置き、セビリアに本部を置いた。橋頭堡を築いたのである。アドルフをカディスに呼び、自らもカディス港に赴いた。今度は一緒に行こうという。それは良いがハレムの女たちには危険だから同行させないで欲しいと要望するとビアンカだけ連れて行くという。
1376年10月上旬日曜日朝7時……カディス港
総勢5,000名の部隊で航行した。波と風に乗りカナリア群島で3泊し、順調に航海してある島に到着した。
今で言うバルバドス諸島だ。全体が珊瑚礁で出来ており、この島には南米のギアナ地方から、アラワク族系インディオのシボネイ族が移住していた。その最古の移住者が訪れたのは4世紀半ばと考えられている。その後、好戦的なカリブ族にたびたび襲撃された。
1376年11月上旬日曜日朝7時……バルバドス諸島
原住民を探したが、彼らは警戒して出てこなかった。島の洞窟に住み、漁労や採集の原始的な生活をしているようであった。マークランドとは異なり、熱帯であるから自給自足も出来るのだろう。
ウィキペディアによると
バルバドス島の面積は約431km²で、カリブ海および小アンティル諸島の中で最東端に位置する。島の西側はカリブ海で、東側には果てしない大西洋が広がっている。島のほとんどが平坦であるが、島の中央に丘陖のヒラビー山(314m)が聳え立っている。
あまり魅力的な土地とは誰も思わなかった。全体を捜索して思わしくなければ立ち去ろう。
次回をお楽しみに。
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