第5話…イラン攻め…エピソードⅠ

★ルダキーの詩…ペルシャ詩人の父「850年~940年」


糸杉のような美しい人よ、君との別れの突風は


私の生命の木を根こそぎにした


君のお下げ髪が投げ縄でなければ


私がどうして生涯をしばりつけられただろうか


これだけは誰に聞いてもわからない


ルビーの口びるとの接吻の値段はいくらだろう


君との別れで私が失った炎は


君の美しさの心中に落ちている


★第5話…アドリアンはイランを攻めている。


何処までを占領するのか?内政の充実を図ることが出来るのか?


1369年4月上旬の日曜日午前10時…アスタラーバード城


アドリアンは19歳になった。


カリーナが塩の製造と毛皮交易で金塊1万トンを儲けたので


全額を差し出してきた。


暫く考えたアドリアンは10万トンまでは私有を許すことにした。


しかし独占企業を作るのも考えものだ。塩の製造・販売をベルディ商会でも


行うことにした。母トクトゥ・バザロフ39歳をベルディ商会の社長に任命し、


塩の製造・販売と交易の責任者にした。


アドリアンは次の目標をイスファハーと決めた。


攻略の準備をするべくアルボルズ山脈を越え


スィムナーン、フィールーズクーフ、レイの順に掃討戦を仕掛けた。


残敵を倒しながら戦闘訓練を行い、狩猟も同時に行った。


残敵を殲滅した3都市には軍政長官を置き統治させた。


アドリアンはスルターン・アーガーを連れてイスファハーンを偵察した。


交易商の手形を所持している。


★イスファハーン


エスファハーンは海抜1500m以上の高地にあり、


ザーヤンデルード川の北に位置している。


ザーヤンデルード川の豊かな水の恩恵を受けた周辺の肥沃な土地と繁栄で


知られたオアシス都市である。この川には30個の橋が渡され、


川の水源のザグロス山脈の中から地下水を抜き出すトンネルと治水ダムが


下流に建設されている。この地方に水を適切に分配するためトマールを用いて


川の流れが33に分けられた。エスファハーン州の8個の主要な地区に、


可変式の堰堤を用いて調整し、分配されている。


コフネ広場(旧市街)からイマーヌ広場(新市街)はバーザール(商店街)


で結ばれ、夏の猛暑を避けるためドーム上のアーケードが設置された。


バザールの道沿いにはキャラバンサライが建てられ小売商人が卸売から


商品を仕入れていた。絹交易が盛んに行われ絹織物や絨毯が売買されている。


イマーヌ市場は外国の施設との謁見、閲兵、青空市、公開処刑など多種の


イベントが行われる。旧市街にはバザールで働く商人や職人の多くが居住し、


コフネ市場と周辺には商店が軒を連ね、コクナールという麻薬を売る店や


男妾や娼婦をあてがう置屋が並ぶ界隈があった。


イマーヌ広場にはアーリー・ガープー宮殿があり、コーヒーハウスもあった。


ここは町の住民が自由に政治談義をする場所のようだ。


中に入ってコーヒーを注文した。それとなく話を聞いてみると


「ムザッハル朝が占領してから暮らし向きは随分良くなった。


ただ俺たちには仕事が無い。王営農場や牧場や畜産農場はあるが


俺たちは鍛冶屋だからな。王営の工場や王営の貿易商人を雇って


くれたら良いのに。」


イラン北東にあるサンギャン鉱山等から鉄鉱石ペレットを生産し、


アドリアンはエスファハーンに王営製鉄所を建設し労働者を雇用す


る積もりだ。鍛冶屋を主に雇おう。支配地域で王営農機具・武器工場と


王営貿易商人を雇う事にしよう。この為にベルディ商会を設立したのだ。


アドリアンはイスファハーンにベルディ商会の支店を設立した。


勿論占領下にある都市全てに支店を同時設立し、社員を雇用した。


ベルディ商会名義の農機具・武器工場を建設し、製鉄所も建設した。


交易商人も大掛かりに募集した。農場や牧場・畜産農場も


ベルディ不動産に土地を買わせて建設した。一先ず引き返した。


1369年4月中旬の日曜日午前10時…アスタラーバード城


アドリアンはコペトダーグ山麓の丘陵地帯・森林地帯に多くの果樹、


灌木、野生のブドウ・ザクロ・イチジク・リンゴ・ナシ・サクランボ・


サンザシが生息していると聞き、妻妾達を引き連れて見物に行った。


遊牧と交易だけでは食料の供給に限界を感じており、


定住の道を以前から探っていたのである。


一生涯を遊牧し続けるカザフ民族と定住生活を始めたウイグル民族


との違いを理解したのである。野菜と果物を食べるか否かである。


肉と乳製品のみを食べ馬乳酒を浴びるほど呑む遊牧民族は若死にをする。


60歳を越えて生きる者は殆ど居ない。


ウイグル民族はトルファン、ハミ等で定住を始めた。


100歳以上の老人はざらに存在する。アドリアン達はコペトダーグ山麓


の丘陵・森林地帯で野生のブドウ・ザクロ・イチジク・リンゴ・ナシ・


サクランボ・サンザシ等の果物を採取し、品種改良する事を考えた。


カザフ草原で果樹園をあちこちに建設する積もりだ。


アドリアンは変な葉っぱばかり採取している男女を見つけた。


それは何という野草だ。男は「エフェドラ、ケシ、大麻を採っています。


交易の商品です。」と答えた。


どういう効果があるのか?高く売れるのか?お前達は何処から来たのか?


これは神事の際に使用します。酩酊状態になります。


神憑りを演じるために使用するのです。勿論高く売れます。


私達はメルブから来ました。先祖が此処に住んでいたので


この野草エフェドラインターメディアは良く知っています。


アドリアンは少し分けて貰った。目的の半分は達したので残りの半分に


取り掛かった。妻妾達の射撃訓練だ。模擬弾を用いて実戦形式で行った。


その後メルブに向かった。メルブは古くからある町でアドリアンが再建した。


1369年5月中旬の日曜日午後10時…メルブの街


アリョーナ・ギヤースッディーン30歳、エリシフ35歳の2人を呼び、


コペトダーグ山麓の丘陵・森林地帯で採取した野生の果物や山菜の吟味と


品種改良を研究させた。また工兵隊にメルブ宮殿その他を建設させた。


建設中に様々な青銅器時代の遺跡が見つかり、遺跡の一帯は永久保存した。


メルブは古来マルギアナの中心都市であった。


★マルギアナ


アフガニスタンに発し、トルクメニスタンのカラクム砂漠南東部の砂漠に


消えるムルガブ川河口部デルタ地帯のオアシスである。


現在の都市は昔より南に下り、マリ、バイラムアリ等の都市になっている。


★説明終わり


★アドリアン19歳

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