第二十九話 金魚草
キンギョソウは花壇でも公園でもよく見掛ける。まるで金魚の口や泳いでいる姿に見えるヒラヒラとした可愛らしい花でピンクや白、紫や黄色など春になるとカラフルに咲いている。だから金魚草。
私は、それをいくつかの鉢植えにして育てていて、それぞれに名前を付けている。
気に入らない知人の名前だ。
『子どもはねぇ、抱き癖がつくからそんなに抱っこばかりしちゃだめよ』
おせっかいおばさん
『聞いてよ〜! それでね、これでね、こうなの! あぁ、そうそう。でもね。うんうん。私はね〜! だからね〜!』
永遠に無意味な話をする奴。
『ねぇねぇ、あの人浮気してるらしいよ? やばいよね? あの人のご主人もそれを知っててね、離婚間近なんだって!』
噂大好き星人
『本当にあの人常識ないのに本人は自分を常識人だと思ってるみたいよ?仕事もできないし。あの人の子どもはねぇ……すんごい暴れん坊でしょう? ご主人もなんの仕事してるんだか』
陰口野郎
『あの先生!
モンスターペアレント
キンギョソウは花が枯れて実になると、まるで
私はニヤニヤしながらその髑髏を眺めるのを楽しみに毎年キンギョソウを育てている。
その気持ちの悪い髑髏の姿は私にも相応しいかもしれない。
『キンギョソウ 花言葉 おしゃべり・でしゃばり・おせっかい』
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