第47話 私は……

――。


ホテルでの夜。


私はベッドに入ると。すっとは……寝れなかった。ちょっとぼーっとはしているけど、まだ起きている。

やっぱり先輩や……古市さんが居ると。なのでね。


先輩の家に泊まった時はまあ部屋が違いましたから。でも今は……同じ部屋。これでゆっくり寝ろというのは……なかなか。


とか私が思いつつ。とりあえずベッドの中で大人しくしていると――。


ゴソゴソ、と音が聞こえてきて……。


何か声が。と思うと私の意識ははっきりしてきた。ってどうやら寝れそうになっていた様子。なんやかんやと言いつつ。やっぱり今日はいろいろ動いたから疲れているみたい……とか思っていると……。


「………………飲み物……行きませんか?飲み物買いに行くのはOKですからね?」


と。そんな古市さんの声が聞こえてきた。


「1人で行くは……」


どうやら先輩の声も聞こえるので……何だ結局みんなまだ起きていたみたい。とか思っていると。


「先輩が寝ていたら1人で行くつもりでした」

「……」

「ダメですか?」

「まあ……いろいろ話して喉乾いたからな。って吉野は?」


ドキッとした。う、うん。私は……起きてる。と言ってもよかったけど……なんかここで起きるのは……とか思っていると。


「寝ていました」

「さいか」


あれ?古市さん?私に確認した?もしかして……私さっきちょっと寝ていたから……その時に?う。うーん。寝てたのかな?


とか思っている私。全く動けなくなった。ここで起きたら……変な感じになっちゃうから……多分。


「……じゃとっとと行くか」

「はい」


と。私が寝たふりを続けると……2人はそっと部屋から出て行った。


「……起きてたんだけどな」


と、私は部屋のドアが完全に閉まるのを確認してから起き上がった。


部屋は私1人。静か。とっても静か……ってよく耳を澄ますと……どこかの部屋の声?が聞こえるような……聞こえないような……。


とか思いつつ。ちょっと起きていると。少しして……。


ガチャ。


鍵穴に鍵を指す音が聞こえたので私はあわてて再度横になって。窓の方を向いた。


それからすぐに……。


「夜空ちゃん。寝ていますね」


と、古市さんの声が聞こえてきて……。


「だろうな。あれだけいろいろ振り回したら……疲れるだろ。ホテル来てからもだしな」


先輩の声も聞こえた。


2人とも飲み物買ってきたのかな?とか思いつつ確認はできないのでそのまま寝たふりを続ける私。


「誰かがテンション高いし」

「誰ですかね。それ」

「おまえだおまえ」

「えー、ってシー。ですよ。先輩」

「どっちが起こしてきたんだか」


って……こうやって聞いていると……先輩と古市さんって――仲いいな。

うん。今日もなんやかんやで2人楽しそうに話していたし。古市さんがダウンしちゃったときは……先輩気にしてたもんな――。


とか思ってると2人の水分補給は終了したのか。ゴソゴソとベッドに入る音が聞こえてきて……それからしばらく何か話している?感じだったが。小声だったのではっきりとは聞こえなかった。そしてその後部屋はまた静かになった。


私は……完全に目が覚めてしまったのでベッドから起き上がった。そっと移動してみると……。


……先輩も古市さんも寝ているみたい。って2人とも顔を見せたくないのか。たまたまか、なんかうつぶせで寝ていた。


「……私も飲み物買ってこようかな」

「……」

「さすがに起こすのは――ダメだよね。先輩も疲れるだろうし」


と、私は机の上にあった部屋の鍵と財布を持って部屋を出たのだった。


「……私も……一緒に買いに行きたかったな」

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