第42話 ちょっと油断
「先輩。もう入っても大丈夫ですか?」
吉野の声が聞こえた。
「うん?別にいい――って、ストップストップ。ダメだわ」
――ガチャ。
「えっ?」
ガチャ。
ほんの少しドアが開きかけたが……うん。すぐに閉まった。危ない危ない俺まだ上着てないわ。と気が付いた俺に拍手を欲しい。今のまま中に入れていたら……大騒ぎの未来じゃないかよ。危ない危ない。
「……あの先輩。ちょっとタオルが欲しいんですが……」
「悪い悪い。まだマッパだったからな」
と、適当なことをとりあえず言いながら服を着ると……。
「さ、最低!!もう。最低!!変態。馬鹿ー!」
と、ドアの前がうるさかったが……風呂って普通マッパにならないか?吉野もさっきまでなっていたのでは?とか思いつつ。
俺は着替えよし。そして俺は新品のタオルが置かれていたのでそれを持ってドアを開けると――。
「変態!馬鹿!」
ドアを開けた瞬間言われて……まあ吉野はタオルをさっと持って行った。
そして、ベッドでは古市が楽しそうにこちらを見ていた。
何だよこれ。ってか、まあ危なかった。ちょっと慣れてきていたというか。うん。
まあ俺が風呂から出た後は……。
「普通……ま、マッパとか……言わないですから」
「そうか?ってか風呂なんだから普通……」
「もうなしです。セクハラで訴えます」
「……何だよここ」
まあなんやかんやで楽しい?会話が続いていた。
「夜空ちゃんそのまま入っちゃえばよかったのに」
「い、嫌だから!見たくないから!」
「古市はまだ壊れてるな」
「む。壊れてません。楽しんでいるんですよー」
「ってかさ、風呂で思いだしたんだが。わざわざここで全員が入らなくても大浴場あったんだよな?」
「あー、ですね。でもこの時間は絶対混んでますからね。パスですね。朝とかなら行きたいですが。空いてそうなので」
「私は……行かない」
「……そんなもんか。まあ俺も1人が良いからな。行かないか。人が少ない時間しか行かないか」
「ってことです。なんか人が多いと落ち着かないじゃないですか。おまけに学校の人がたくさんですし……まあ夜空ちゃんと2人だけなら全然いけますけど」
「……私は遠慮したい……」
まあホント仲の良い2人なことで。とか思っていると。
「で、葛先輩」
「なんだ?古市」
「このあとはどうするんですか?」
「どうするって……寝るだけじゃないか?」
うん。風呂入ったし。あとは……寝るだけじゃないか?もう何もないし。うん。とか俺が思っていたのだが――。
「せっかくの普段と違う夜ですよ?楽しまないとですよ」
「……吉野」
「……はい」
「やっぱり頭のねじが外れたか?」
「かもしれないです。先輩がお風呂入っている間も……こんな感じでした」
「2人とも丸聞こえ。って目の間で堂々と話す内容?」
「古市。明日が辛いから寝ろ」
「だよ。古市さんジェットコースターで叫んでたから」
「なんで2人ともそんなに早く寝たいんですかー」
いや、いろいろあって疲れたらとっとと寝るだろう。
とか俺は思っていたのだが……違うのだろうか……。
「せっかくなんですから眠くなるまでいろいろしましょうよ」
「何を?」
「えっと……葛先輩の過去を聞くとか?」
「嫌だよ」
「えー」
「それいいかも」
「まさかの吉野が裏切ったー」
「先輩……先輩って。昔どんな子供でしたか?」
「……なんでこうなった」
古市が余計なことを言うから……吉野の変なスイッチも入ったみたいじゃないかよ。どうするんだよ。これ。
「ほらほら先輩。話してくださいよ。せっかくの楽しい夜なんですから」
「いや、俺全く楽しくないんだが……」
「わかりました。先輩が秘密を1つ言うごとに夜空ちゃんが服を脱いでいきますから」
「ひゃあい!?」
……うん。もしかしたら古市に誰かお酒もったか?ダメだぞ未成年に……って吉野も壊れそうだな……このままだと。
「な。な……変態!!馬鹿!!」
バシン。
……。
……。
……。
うん。まあ近くに居たからな。ってなんで吉野に俺はいきなり叩かれたのか。誰か説明を求。
「……何故俺が叩かれたか」
「……古市さんが……変な事言うから……つい」
「ごめんごめん。ちょっと乗りで?」
「吉野のビンタ強いんだからよ。また今度は首が痛いし。赤いじゃないかよ」
「……つい」
「あれ?先輩。今またって言いました?」
なんで古市はこんなにいい反応をするのか……。
「気のせいだな」
「前にも夜空ちゃんに叩かれたことがあるんですね。何したんですか?」
「興味津々すぎる」
「先輩。言ったらもう一発です」
「言わないから安心しろ」
「この反応は……何かあったの確定じゃないですか!聞きたい聞きたい!」
うん。まあこれは俺と吉野のミスか。って古市マジで楽しそうだな。
「吉野。古市ってこんなキャラだったか?」
「……たまにこうなります」
「壊れるのか」
「はい。あと。壊れると……たくさん触られます」
「……その話はカットだな。俺が聞いたら吉野に殴られるか。なんかありそうだし」
「もちろん……恥ずかしいので言いません」
「2人が楽しそうに話してるー。混ぜてよ!」
と、まあなんやかんやで結局その後しばらくも話している3人だった。
こういう時にテンションが変わるやつって居るんだよな。うん。
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