第36話 落下
ちなみに本日の生徒会の仕事というのは――。
まあいろいろ雑務?もある。単に先生が面倒いから生徒会に丸投げした感じもあるが……。
遠足の2日目。自由行動で行く予定の施設。場所を記入した紙をまとめる。って今度はちゃんと先生受け取り時に確認したんだろうな?まあさっきの集会の時にこの紙は見たんだが……なんか前と同じ雰囲気がしてるんだが……。
まあある程度の調査?っていうのか知らんが。みんなが行きたいところを聞いておいて。当日先生らはパトロールらしい。まあ範囲が決められているが。どこに散らばるが自由行動だとわからんからな。ちょっとは先生らもデータが欲しかったらしいが。まあそのまとめを生徒会がしていた。
「なんか。ショッピングモールが多いですね」
「まああのあたりは大きなところがあるからな」
「讃大先輩行ったことあるんですか?」
「いや無いが。地図にあったからな。久遠はあるか?」
「俺があると思うか?」
「まあ葛先輩は1人で静かになれるところに行きそうですね」
「……なんか当たってるよ」
「さすが私!」
「っか、讃大」
「うん?」
「人手不足」
「大丈夫だろ」
「大丈夫じゃないだろ。部外者がほぼ毎日いるぞ」
「まあまあ葛先輩。いつも感謝してます」
「はぁ……」
そんなこんなで作業は進み――。
下校時間までにはある程度終わった。今回はちゃんと先生らが受け取り時にチェックしたらしく。まあぶっ飛んでいる内容の紙はほとんどなかった。ごくごくまれにあったが……まあとりあえず終わったのであとは帰るだけであるが……。
「じゃ久遠助かった」
「金請求だよ」
「そのうちなー」
「忘れるだろ」
「あ、讃大先輩このあといいですか?」
「ああ。問題ないぞ」
「はい」
「あー、久遠どうするよ」
と、讃大が聞いてくると。
「葛先輩は夜空ちゃんと帰るみたいですよ」
古市が勝手に答えていた。
「なんだなんだ?いい感じなのか?」
とか言われたが。讃大が見ていない時に待っていてくださいの顔を古市がしてきたので……。
「なバカなことがあるか。ただ愚痴が言いたいんだろ」
そんな返事をしておいた。
また俺は帰れないらしい。っかさらっと上手に嘘を言っている古市だった。吉野がくしゃみしてそうだ。
「……くしゅん」
って、なんか外で聞こえた?まさか――な?
「……うん?」
「あれ?」
小さな声に俺と古市が反応した。
「まさかな」
俺は次は言葉にしてから廊下へ。俺たちは生徒会の前の廊下を確認した。すると一緒に廊下を覗いた讃大が1番早く言った。
「久遠もう待たれてるぞ」
讃大が声をかけてきたと同時くらいに俺も吉野を確認した。相変わらず目立つなオバケちゃん。
「……マジか」
「……」
ちょっと隣では古市が予想外みたいな顔をしていたが……まあ居ないと思っていたんだろうな。まあ俺は讃大、古市に挨拶して、とりあえず廊下の隅というか。階段近くにいる吉野のところに向かった。チラチラ見えてるんだよ。この後輩。っか、誰もいないからくしゃみも響いたか。
「吉野」
「ひゃっ!」
「何してるんだよ」
「……ま、待ってました」
「ばあちゃん。心配するぞ?」
「今日はおじいちゃんところに着替えを運んでますからです」
「ばあちゃんも大変だな」
って、ことで俺は吉野と歩きだして……。
「あれ?先輩。帰らないんですか?」
「吉野悪いがちょっと先約があってな。しばらく待機だ」
「え?」
俺は階段を降りて下駄へ。ではなく。登り最上階の階段に座った。
「どういうことですか?」
「いやな。古市が待っててくれだったんだが。吉野がいたから。ちょっとややこしくなった?」
「あれ――?わたし……お邪魔?」
「じゃない。重要とかでは無いだろうし。多分讃大に用事が終わったらすぐ連絡来るよ」
「そうですか。じゃ待ちましょうか」
「ああ」
それからしばらく2人で遠足の事について話していた。まあなんでこんなことがあるんだよ。とかこの班分けおかしいよな?みたいなことを2人で話していた。うん。吉野とはよく話が合う。この計画をしたやつは馬鹿だろうということでまとまった。
そんな感じでしばらく吉野と話していると。
♪♪
「うん?」
メッセージが来た。
するとなぜか吉野が俺の横に近寄ってきた。で、受信したメッセージは――。
「葛先輩。ごめんなさい。先に帰ってもらって大丈夫です。こちらからお願いしたのに急にごめんなさい」
という古市からだった。のだが……。
「話が長引くんですかね?」
「個人情報覗くな」
「先輩。全然隠してないですから」
「覗き込んでるよな?」
そして吉野よ。髪が邪魔だ。手がくすぐったい。髪が当たってるんだよ。ってか。まず人のスマホ覗くな。
「オバケちゃん。覗き見するな」
「なっ、オバケじゃないです」
「ホラーホラー」
「先輩!」
「っかさ。吉野」
「……何ですか」
「これさ。なんか変じゃないか?」
「へっ?」
「なんか……嫌な予感がするんだが」
「そうですか――?うーん。確かにちょっと変な感じというか。古市さんがドタキャン……うーん」
とか吉野と考えていると。足音が聞こえた。多分階段の下を誰かが歩いている。
チラリとのぞいて見ると……足音の犯人は讃大だった。ってことはあれからしばらく古市と話していた可能性はある。が。今、古市はいなかった。
「先輩」
「うん?」
「様子見に行きましょうか?」
「……だな。こういうときの勘があたるとだからな」
そう言い生徒会室に再度2人で向かって見ると――。
「……」
生徒会室のドアは開いており。中には古市が椅子に座り机に潰れていた。
何がどういう状況なのだろうか。全くわからない。
ちなみに古市はまだこちらには気がついていない。にしてもちょっと珍しい光景だった。
「先輩先輩」
「—―?」
「今はそっとしておいた方がよくないですか?」
吉野が小声で話しかけてきた。
まあなんか雰囲気的に古市らしくないというか。うん。だな。
「わかった」
まあ吉野の案により俺たちは生徒会室を一度離れて廊下の隅に居ることにした。
それからしばらく……古市は出てこなかった……。
やばいな。下校時間過ぎているから。あたりが暗くなってきた。オバケちゃんといるからちょっとこわいんですが……とか思っていると。
「……先輩」
「なんだ」
「その――お手洗い……行ってきます」
吉野の方を見るとそんなことをちょっと恥ずかしそうに言っているオバケちゃんが居た。
「—―ご自由に」
「……」
と、言ったんだがオバケちゃん何故か動かない。
「なんだよ」
「その……ちょっと暗いので……付いてきても――」
「やだよ。がきんちょか。っか、職員室とこまで行け。あそこなら人居るから」
「むっ。なら……ちょっと職員室まで行ってきます」
「ああ」
ちょっと拗ねながら?吉野は階段を下りていった。っか、付いて行ってなにになるんだか。逆に俺が捕まるだろうが。とか思いつつ。また生徒会室の方を確認。
が、まだ古市が出てこない。
静かな廊下だ。
吉野が居なくなり。1人になったしで暇。ということもあり再度生徒会室へと見に行くことにした。
再度チラリと生徒会室を覗くと……。
「—―えっ?」
待て待て待て。古市何してるんだよ。
俺が目にしたのは先ほどのように机につぶれている古市ではなく……何故か生徒会室の窓を開けて身体を半分以上外に出している古市だった。何か覗いている?
っか。なんか……俺こんな光景どこかで……。
とか思いながらとりあえずちょっと急ぎ足で俺は生徒会室の中に入った。
「—―—―へっ?」
すると古市が足音でこちらに気が付いたか振り向いた。
「何してるんだよ。古市。落ちるぞ」
「く、葛先輩。まだ居たんですか?メッセージ送ったのに……」
あれ?もしかして泣いていた?と、一瞬思ったが。ここで変なことを言うと……だが。やっぱり普通に言うことに。
「ちょっとな。っか……うん。まあ気になったから残ってた」
「そうですか……ちょっと外見ていただけです……気分転換に」
「気分転換ね。なんかあったか?」
「……」
「古市?どうした?」
「……はぁ――葛先輩」
「うん?」
とか言いながら古市はこちらに。ではなく。俺を見たまま後ろ。窓側にもたれようとして……窓の高さは古市の腰あたり。つまりそのままもたれると……最悪バランスを崩して――。
「まてまて、古市窓開いてるから。自分の居る場所忘れるなよ!」
俺は言いながら古市のところへと近づいた。
「へ、きゃっ――」
っか、自分で開けたんだろ。忘れるなよ。とか思いながら俺は古市の手を慌てて掴みこちらに引っ張った。
古市よ。今ガチで焦った顔したから状況忘れていただろ。とか、思いながら俺は古市をこちらに引っ張り……が、ちょっと勢いがありすぎたのか――。
「きゃぁ」
――――ガッシャン!
「いってー」
……。
……。
……。
頭痛いっす。机で打ったっす。ちょっと思ったより古市が俺にもたれてきたというか。強く引っ張りすぎたみたいだ。まあとりあえず……古市は……大丈夫だ。居る。俺の上に。うん?上に?居る?
「……びっくりした」
「びっくりしたのはこっちだよ。なんで窓側に持たれるかな?自分で開けたんだろ?」
「……葛先輩を見たら。急に安心して窓のこと忘れました」
「意味わからん。っか。何があったの前に……どかないか?」
「……あー、ちょっとこのままで。痛そうな感じでしたが……ちょっと我慢してください」
と、古市は何故か俺に乗っかったまま。っかそのまま倒れてきて……抱きつく?まあくっついてきた。
……さらに謎だ。なにが起こっている!?なんでくっついたよ。っか……いい香り。じゃなくて……とりあえず落ち着け。落ち着け。俺。
「……」
「……」
「おい……古市。この状況は何だ」
「葛先輩のそば……なんか落ち着くんですよねー」
「……」
女の子の考えることはわかりません。っか、古市の考えることがわかりませんか。
「っか……何がどうなってるんだ?讃大はなんか普通に帰っていったし」
「あー、実はですね……さっき讃大先輩に確認したんですよ」
「確認?」
「……はい、ここ数日なんか讃大先輩が誰かと付き合っているという噂がありましてね」
「……なにそれ。楽しそうの話。俺知らんかったが――」
「葛先輩。今変な事言うとこのまま叫びますよ」
「……大人しくします。ってこれ俺が乗られているのだが……」
「……むっ」
「はい。どうぞ」
「で、さっき聞いてみたんですよ」
「ほう」
「そしたら」
「……楓華には関係ないことだから気にするな。ですって」
「……もしかして――怒ってらっしゃる?」
「です!」
「…………」
うん。あれか。副会長殿……讃大に相手にされなかったというか。うん。ちょっといろいろあってショックを受けたのかな?うん。
「私結構アピールしていたのに……全く讃大先輩は……後輩。単なる副会長としか見てくれてないことがわかりました」
「……な、なるほど」
「で――ちょっと悲しくなりました」
「頑張ってたのにな」
「……まだまだ頑張ります。むしろグイグイ行く計画です」
「…………とりあえず――元気だな」
「でも……ちょっと自信が……でも葛先輩から今パワーもらってます」
そういえば……まだこいつ俺にくっついているな……俺にそんな癒しパワーはないぞ?ってかマジでそろそろ離れてほしいのだが――。
「俺にそんな効果はないからな?ってそろそろ離れてくれないか?」
「……襲いたくなりました?にひひー」
「蹴り飛ばしてどけた方がいいか?」
「葛先輩はそんなことできませんよね?知ってますよ」
「……とりあえず降りろ。床は痛い」
「あっ……ちなみに葛先輩」
すると古市が、俺から目線を外し話し出した。
「なんだよ」
「今……この瞬間を私たち以外の人が見たらどうなりますかね?」
「まあやばいな。誤解が生まれる可能性が高いな。まあそんなことは無いとは思うがとりあえずそんなことが起こる前に古市がどいてくれないか?ずっとくっついてるよな?」
うん。俺なんやかんやで頑張ってるぞ?後輩に押し倒された。ではないが。くっつかれながら普通に話していたんだから。とか俺が思っていると。
「……手遅れかもですよ」
「はい?」
「だって――」
と、古市が視線をドアの方に……俺も身体を起こし見てみると――。
「……吉野?」
「……お、お邪魔しました!」
俺がドアのところにいた人影。吉野に声をかけると――。
吉野は走り出した。ちょっと髪だけが残ったがすぐにこちらも消えた。
「待て待て吉野!」
「夜空ちゃん!違うから!待ってー」
まあ現状。吉野はすぐ見えなくなった。
「……なんか……やばいですよね?」
「いやいや、やばいな」
「ですよねー。追いかけましょう」
古市はすぐ立ち上がってくれたので俺と古市は吉野を追いかけた。
生徒会室を出るが。吉野の姿は廊下にはない。無駄に足が早いんだよあいつ。そんなに早いなら先生にも捕まるなよ。とか思いつつ階段の方に向かおうとした時だった。
「—―きゃぁ!?」
――――バダバタ――ガッシャン。
「……」
「……」
廊下に出た俺と古市は顔を見合わせた。今の吉野の声じゃね?と、無言で確認。階段の方から……悲鳴と、落ちた?音。
慌てて古市と階段の方に向かうと。
「夜空ちゃん!」
階段の1番下で吉野が床に倒れていた。
……こんな時だが。余計なことを報告すると。吉野の制服のスカートが捲れ上がり。真っ白なのが見えていた。って、そんなことはマジで必要ないことか。
俺と古市はあわてて吉野の元に駆け寄ったのだった。
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