太閤立志伝……主にⅤ



 太閤立志伝と言うゲームは皆様ご存じでしょうか?


 開発、発売は「信長の野望」のKOEI。現コーエー・テクモです。

 リコエイションゲームと銘打たれたこのシリーズ。

 他には「維新の嵐」と「大航海時代」もそうだったかな。

 シミュレーションゲームとRPGゲームを融合させた自由度の高いゲームということなんですけど「太閤立志伝Ⅴ」はヤバいくらい自由度が高かったですね。


 どれだけ自由度が高いのかというのを文章で表現するのは難しいのですけど、まず

 登場キャラが1000人近くいて、主人公としてその殆どが選べる、というのと

 有名な人物にはそれぞれの連続したイベントが設定されており、その人物の人生をなぞることができるのと、架空の歴史イベント(関ケ原西軍勝利、大阪の陣豊臣家勝利)もある、ってことと、

 就ける職業が武士の他に商人、忍者、海賊という、勢力に属して天下統一などを狙う職業の他、兼業の職業として剣豪、鍛冶屋、医師、茶人があり、兼業でも天下一になることができるという、どんな世界の立身出世も可能という、何やっても良いという恐ろしさ。


 まだ私が独身だった2004年に「太閤立志伝Ⅴ」は発売されましたが、10年以上はこのゲームで遊び倒していたと思います。

 何故か突然ふっとやりたくなってしまうゲームなのです。

 結婚後も妻の目を盗みこそこそっとやってました。

 このゲームのせいで私の家のPS2は数年前まで現役稼働していました。

 生涯で最も多く私の時間を奪い取って行ったゲームだと思います。

 もしこのシステムで更に世界を充実させた続編が出ていたとしたら、多分日本の人口の0.1%の生産性はガタ落ちしていたでしょう。

 ですから熱望された「太閤立志伝Ⅵ」が出なかったのは良かったのかも知れません。


 私以外にもこのゲームにハマった人は多いようで、いまだにググると「太閤立志伝Ⅴ」の攻略データサイトは無数に残っていますし、やる夫スレでも名作「やる夫の太閤立志伝」の他、「太閤立志伝Ⅴ」の世界を下敷きにした架空歴史モノ作品がかなりの数存在します。

 そうした「太閤立志伝Ⅴ」世界を下敷きにした架空歴史やる夫スレは史実厨のアドバイザー様に攻撃されるというところまでがお約束ですね。

 史実は史実、ゲームはゲームで別物だし別腹!

 作中に座で特産品を買って他の町で売って稼ぐ、って描写が出てたら、それは太閤立志伝Ⅴの世界の話だからね。

 用法を守って楽しめないのは野暮ってもんですな。


 まあそれは置いとくとして、「太閤立志伝Ⅴ」のアウトラインから説明していきたいと思います。


 プレイヤーは戦国時代の一武将として、この世界を生きていきます。


 武将というのは登場キャラクター全体を指すと思っていただきたいと思います。

 海賊でも忍者でも、プレイヤーが操れるキャラクターは全て武将です。


 この武将には全てパラメータが設定されていて、武将のステータス画面を見ると「統率」「武力」「政務」「知謀」「魅力」「野望」の能力値の数値が棒グラフで表示されています。


 更に「技能」があり、「足軽」「騎馬」「鉄砲」「水軍」「弓術」「武芸」「軍学」「忍術」「建築」「開墾」「鉱山」「算術」「礼法」「弁舌」「茶道」「医術」の18種類。それぞれの技能は4段階まで伸びます。プレイヤーが操作する武将のみ5段階まで技能が伸びます。


 能力値は成長しません。それぞれの武将に設定された数値から基本は変わりません。

 技能は、師事したり行動したりすることによって伸びます。


 鍛冶は技能の中に含まれませんが、町の鍛冶の元で作業を手伝うアルバイトをすると、鍛冶に関連する「鉱山」技能が上ったりします。これは全ての行動に経験値が設定されており、何か行動すれば(移動以外は)関連した経験値がもらえて、一定の値を満たすと技能レベルが上がるのです。


 技能レベルが上がるとそれに対応した行動がしやすくなります。

 序盤にお金を稼ぐために各地の特産品を他の町で売ったりしますが、この売り買いはスロットマシンのようなミニゲームを成功させると安く買えたり高く売ったりできるのですが、このスロットマシンが「弁舌」技能が高くなればスロットの絵柄の種類が少なく整理されますし、「算術」技能が高くなると当たり絵柄の数が多くなり、当てやすくなるのです。


 また、こうした行動の成果を大きくする要素として「札」というものも存在します。

 むしろこの有効な「札」をいかに多く集めるかが肝かも知れません。

 鍛冶や医師をするには鍛冶や医師に必要な「札」を持っていないと出来なかったりします。


 「札」は登場人物の「主人公札」、「剣豪」や「名工」などの「称号札」、個人戦闘の時に使える「秘技札」、合戦の時に使う「合戦札」、様々な効果をもたらす「その他札」、マップ上の名所に行くともらえる「名所札」があります。


 「主人公札」は、仲良くなったり一定の条件を満たすと貰える札で、札を貰った人物は次のプレイでプレイヤーキャラクターとして選択することができます。

 けっこう貰うための条件がシビアなキャラクターも存在します。私がやっていたPS2初期出荷版では通常の手段では「猿飛佐助」が手に入らず札コンプリートができない致命的なバグがありましたが、裏技的な方法でどうにか手に入れたのはいい思い出です。


 「称号札」は「名声」というパラメータを上げてくれます。「名声」が上ると、大名などなかなか会ってもらえない武将に会うことができたりします。逆に「悪名」というパラメータを上げる「称号札」も存在し、「悪名」が上ると会ってくれない人物が出たり、どこかの勢力に士官できなくなったりします。

 また、「称号札」は取得すると成長しない「能力値」を上げる効果があるものもあります。「剣豪」の称号札は、武力を+10してくれますね。


 「秘技札」は、取得するとそのとおり個人戦で使えるようになります。

 個人戦は街道を歩いていて山賊に襲われた時や、忍びの里を抜けて抜け忍になった時に追手に遭遇した時などに起こります。刀、槍、苦無、鎖鎌、弓、火縄銃を使った戦闘です。

 戦闘方法は至って簡単、自分と敵、1つのターンで動く、守る、秘技で攻撃する、の何れかを選んで入力し決定すると、敵と自分がそれぞれの行動をします。

 移動して自分の武器の射程範囲に敵が入れば攻撃します。敵の射程範囲に自分が入っていると攻撃されます。敵の行動を読んで自分は攻撃できて敵は攻撃できない位置に移動するのがコツで、敵の体力を0にすれば勝利です。

 それで攻撃には通常攻撃と秘技による攻撃があります。

 通常攻撃は単に斬りつけるだけですが、秘技は攻撃範囲が広かったり、攻撃威力が高かったり、特殊な効果を持つ攻撃があったり、相手の攻撃を無効化したりします。

 秘技は気合いというものを消費して使用しますが、気合いはスタート時点は4で最大8。1ターンにつき1つ増え、相手の攻撃を食らったりコマンド「守る」を選ぶと更に1増えます。強力な秘技はそれだけ気合いの消費量も多くなります。

 「剣聖」上泉信綱が使う最強の秘技の一つ「まろばし」は、消費気合8です。この「まろばし」は個人戦のフィールド全てが射程範囲という極悪技。武力の低いキャラで上泉信綱に挑むと逃げ回っていても「まろばし」一撃でやられますので、手合わせは避けた方が無難でしょう。


 「合戦札」は合戦の時に使用する札です。

 合戦は「商人」プレイ以外の「武士」「忍者」「海賊」という勢力プレイで必ず行われますので、何か勢力で天下一を目指すなら、「合戦札」の取得は必須です。

 合戦は昔の「信長の野望」風のHEX画面による野戦と、城の城門を挟んで攻城側と守備側が対峙する籠城戦に分かれます。

 最大の勝利、敗北条件は野戦、籠城戦とも総大将の備の壊滅。

 野戦で総大将の備を壊滅させてしまえば籠城戦にならずに城や拠点が落とせます。

 籠城戦では敵の総大将撃破を狙うよりも、敵を本丸まで追い詰めある程度兵を減らしたら、交渉して降伏勧告した方がその城を統治する時に色々と有利です。

 この時の交渉は「弁舌」技能が高く「魅力」が高い武将が行った方が敵が降伏を受け入れやすいです。当然交渉した武将の勲功は多く貰えますから、プレイヤーキャラクターが担えるように「弁舌」技能を上げておきましょう。

 武田家の複数武将と他家の限られた僅かな武将が持っている「風林火山」の札は、野戦や攻城戦で大活躍です。総大将のみが使える札ですが、味方全体(援軍は除く)の攻撃力、守備力、移動力を上げます。使われると本当に面倒くさいんです。

 「合戦札」を使うには合戦中の命令のタイミングで使用できますが、札を使用するには軍学ポイントを消費します。武将の技能「軍学」のレベルが高いと使える軍学ポイントの最大値が増えます。最大10で開始時点では4です。

 「風林火山」は総大将のみが使える札ですが、一武将として総大将の下で戦う時に使える「合戦札」で多くの敵備えを撃破して「勲功」を貯めるのが出世の道ですね。

 出世すると、率いる兵の数が身分に応じて多くなります。


 「その他札」は文字通りその他。でも一つ一つの行動の成果を上乗せしたり、持っていないとできない行動があったりするので重要です。

 実は鍛冶屋や医師は、この「その他札」がないと行えない職業です。

 鍛冶屋ならば「相州伝」「美濃伝」「備前伝」といった刀鍛冶の技法の札、医師ならば「診療」「生薬調合」といった札が必要です。

 鍛冶屋や医師は、勢力プレイをしていても兼業できますので、鍛冶屋や医師の技能を勢力プレイに生かすこともできます。


 「名所札」はまんま名所の札。日本全体のマップ上をプレイヤーキャラは移動するのですが、日本各地に名所と呼ばれる場所が存在します。その名所の札です。

 現代のダムカードみたいなものかも知れません。

 名所では剣豪プレイの時に瞑想して「秘技」を開眼したり、名所札を集めた結果手に入る称号札が必要になることもあったりなど、他の札と違って地味ではありますけど、全国マップを移動すると少しづつ減る体力を少しだけ回復したりする効果もありますので、たまには立ち寄りたいですね。


 こうした札は全部で1200枚。

 一度のプレイで全部の札は集められないようになっています(家康の父の人物札とかは、一番早いシナリオに登場して僅か数カ月で死去したりします)。

 一度集め出すと全部集めないと何となく気になりますよね。

 それで何度もプレイしちゃったりします。

 人物札は簡単にくれる人物もいれば、プレイヤーが上位の称号札を持っていないとくれなかったり、特定の人物プレイでないとくれない人物がいたりしますが、けっこう「同名のよしみ」とか「武田四天王」とかのコンボで複数枚一気に獲得できたりもします。

 「称号札」はその称号にふさわしい実績を得れば取れますが、悪の「称号札」には4回主君を裏切るですとか、裏切った主君の家を滅ぼすですとか、極悪なプレイをしないと手に入らないものもあって面倒です。

 「合戦札」「その他札」は、技能レベルを上げるための修行で手に入ることが多いです。「風林火山」などはその札を持っている人物から軍学の技能師事を受けて技能レベルが上がると貰えます。

 「足軽」「弓術」「軍学」「建築」「鉱山」「弁舌」は懇意にしている武将からの技能師事で上げ、「騎馬」は町の馬屋での修行、「鉄砲」は町の鍛冶屋での修行、「水軍」は海賊砦での修行、「武芸」は道場での修行、「忍術」は忍びの里での修行、「開墾」は京と府内の町の南蛮寺での修行、「算術」は町の商家での修行、「礼法」は町の寺での修行、「茶道」は堺の町の茶人宅での修行、「医術」は京、敦賀、甲府などにいる医師宅での修行で上がり、札も貰えます。

 この修行は全て種類の違うミニゲームで行います。

 私はシューティングゲームが苦手なので「騎馬」の修行が苦手でしたが、「軍学」や「建築」、「礼法」の修行のパズル的ミニゲームは好きでいつまでも遊んでられるな、と思いました。


 こうして自分の技能を上げて札を集め、経験を積んでそれぞれの世界で天下一を目指すわけですが、別に最短ルートで攻略、とか考えずにのんびり好きに遊ぶことも自由です。

 最初は商人を選んで金を溜め、忍者や海賊になって技術を磨き、武士になっても最初に仕官したところを見限って他の家に仕官したり。

 最後は浪人に戻って道場を開いたっていいのです。


 ひりつく緊張感を求め上泉信綱との天覧試合決勝戦を楽しんでも良いですし、ひたすら辻斬りに精を出し悪名を高めるだけ高めたっていいのです。


 ある程度札を集めると次のプレイでは自分で作成した新武将を登場させることもできます。

 この世界では既に結婚している武将には妻がいますが、独身の武将は酒場の娘や女武将などの女キャラクターと結婚することもできますので、自分が作った新武将を使ってプレイヤーとして遊ぶ以外に、好きな容姿の女武将を作って史実の武将と結婚させてもいい訳です。

 ちなみに結婚したら自宅画面で妻が迎えてくれます。

 妻に話しかけるとけっこう役立つ情報を教えてくれたりとかしますが、単なる照れみたいなセリフもあって、面白いです。

 妻に話しかけていると手料理を出してくれますが、愛情がしっかり育まれていると手料理を食べると体力が回復します。

 愛情が育まれていないと逆に体力が減る怖いことになりますけど。


 妻とは愛情値が設定されていますが、他の全武将とプレイヤーキャラの間にも親密値というものがあり、その武将宅に行って話しかけたり酒場で酒を振る舞ったり、好みに合う贈り物をしたりすると親密値が上がり、徐々に親し気に話しかけてくれるようになったり、相手が商人や鍛冶屋だったりすると商品を安くしてくれたり、特別な品を出してくれたりもします。


 色々な場所に行って他の武将に話しかけているだけでもけっこう面白かったりします。

 ただ、武将には相性が設定されているので、なかなか親密になれず、ずっと敵視される武将もいたりしますけど、それも人の世ですね。


 こうして何をしてもいい自由度の高いゲーム「太閤立志伝Ⅴ」ですが、初めてのプレイヤーには、ある程度この世界を知って貰うために最初に用意されたシナリオ「おすすめ武将」が5人最初に用意されています。


 武将プレイ「木下藤吉郎」

 忍者プレイ「服部半蔵」

 海賊プレイ「九鬼嘉隆」

 商人プレイ「納屋助左衛門」

 剣豪プレイ「柳生宗厳」


 この5人は、彼等の生きざまを追体験できるイベントが盛沢山なので、太閤世界を楽しむためには非常に良いです。

 誰から始めても良いのですが……


 変な話、短いプレイ時間でエンディングを見たいのであれば、剣豪プレイの「柳生宗厳」が良いかも知れません。

 剣豪は本来副業なので、エンディング達成条件が割と簡単です。

 ①天覧試合優勝

 ②道場を開き武将の弟子を20人にする

 ③道場を開き門下生を10000人以上にする

 ④会得可能な刀剣秘技を全て取得する

 ⑤兵法指南役をしている大名家が天下を統一する

 まあでもせっかく「柳生宗厳」でプレイするなら③を目指したいところです。

 

 「柳生宗厳」が弟子入りする新陰流は「剣聖」上泉信綱が師匠になります。

 師匠に手合わせで勝たないと秘技を教えてもらえないのですが、柳生宗厳の場合は上泉先生は一度旅に出て、兄弟子である疋田豊五郎を近畿に残していくので、基本は兄弟子の疋田豊五郎に手合わせで勝ち新陰流の技を教えてもらい、疋田豊五郎が持っていない最後の秘技「まろばし」と、新陰流の印可状を貰う時、その時一度だけ上泉先生に勝てば良いのです。

 しかし上泉先生に勝つ、というのはかなり難しいです。

 他の武将の場合だと京の町の吉岡憲法から教えてもらえる「かすみ」があれば何とかなるのですが。「かすみ」は消費気合い4で次のターン相手の動きを止めるという秘技で使い勝手がいいのです。

 でも吉岡流に入門しないと「かすみ」は取れなかった気がするので、新陰流の同様の秘技「一刀両断」を使っていくしかなかったかな。消費気合6なので、連続使用が「一刀両断」は難しいのです。

 半ば運頼みですね。

 新陰流の印可を受けた後、確か瞑想すると「無刀取り」の秘技を覚え、同時に柳生新陰流を開眼する、という流れだったはず。

 その後も瞑想していくと、道場の門下生を増やす効果のある「防具」と「袋竹刀」の札を取れるはずです。瞑想にちょっと時間がかかりますけどね。


 天覧試合に出て優勝でエンディングを迎えるつもりなら、もう一人の「剣聖」塚原卜伝が最大の壁かも知れません。

 塚原卜伝の使う秘技「一の太刀」は、相手の攻撃を無効化する「無刀取り」を使っても関係なくダメージを与える秘技です。これはある意味上泉信綱の「まろばし」よりも恐ろしい秘技。塚原卜伝との試合は動きの読み合いを制しないといけません。けっこうこっちの動き読まれているかのように動いてくるので、上泉先生よりも私は苦手です。


 でも何やかんやで強敵を倒し「柳生宗厳」をクリアしたら、木下藤吉郎の立身出世を楽しむのも良いですし、「納屋助左衛門」で四海踏破し、昔の大河ドラマ「黄金の日々」の気分を味わうのも良いでしょう。


 あー、何かまたやりたくなってきた。久々にPS2を引っ張り出そうかな。


 今回なぜ突然これを書こうかと思ったのかというと、Twitter広告で「太閤立志伝Ⅴ」がリマスター+新要素搭載で発売されるというのを見たからです。

 いや、これはヤバい。

 また時間がどんどん消費されてしまう。


 私が買ったら多分小説書かないでずーっとやってるでしょうね。


 老後の楽しみに取っておきたいところですが、多分我慢できないでしょう。



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