続・滅亡したオーランド王国の国王と王女たちの物語 1

 ついに我らはアマゾナと言う女将が言っていた西の大陸をつなぐ玄関口となる町『ラメール』に到着した。


「フハハハ…ッ!娘たちっ!見たかっ!ついに我らはレベッカの次なる足がかりとなる町『ラメール』にやってきたぞっ!見たかっ!私の可愛い娘を狙う悪党どもめっ!貴様らよりも先にヤング一家が辿り着いたのだーっ!」


腰に手を当て港に立ち、青い空を見上げた私は高笑いした。

ククク、ざまぁみろっ!キング一味め!あんなアバズレ発情女を連れているから我等に先を越されるのだ!


「ククク…それにしてもあれは傑作だった…。途中の寂れた田舎の村で彼奴に遭遇した時はどうなるかと思ったが、あのアバズレ女が森の中に馬車を隠して村男を引きずりこんでいる最中に私達が先に出発出来たのだからな…。彼奴等、馬車を見失った時は青ざめておったわ!あのリーゼロッテとかいう女が一緒に行動している限り、彼奴等には勝ち目など無いわっ!ガーハッハッハッ!!」


すると―。


バサバサバサッ!!


港で餌をつついていたカモメやうみねこが一斉に空を飛び立った。


「見ろっ!ジョセフィーヌッ!エリザベスッ!エミリーッ!鳥たちも我等の門出を祝って一斉に飛び立って行ったぞ!我等もこの港から大海原に出発だ!」



すると―。


「もう本当に鬱陶しいわね。そんな事よりもあのランスの顔を思い出すだけでイライラするから私の前でキング一家の名を出さないで頂戴よっ!本当に腹の立つ…兎に角こんな気分を晴らすにはお酒しか無いわ!お酒!まずは酒場に行きましょうよっ!」


荷馬車の上からはすっかりたくましくなったジョセフィーヌが喚く。


「そんなことより、船に乗るにはお金がかかるわ。私達にはもう路銀は殆ど残されていないのよ?やはりここで少しお金を稼いでおいた方が良いわ。何処かでウェイトレスの求人が出ていないかしら?働かないと勘が鈍くなってしまうわ」


この旅で一番ある意味、成長したのはエリザベスかもしれない。エリザベスに財布を預けておけば、しっかり閉めておいてくれるのは間違いないだろう。


「え〜また何処かへ行くの?もうこれ以上さすらいの度に出るのは嫌よ!いい加減私は1つの土地で落ち着いて暮らしたいのよ!レベッカなんて放って置きましょうよ!」


親不孝者のエミリーはまたしても勝手なことをほざいてくる。


「駄目だっ!」

「駄目よっ!」


私とジョセフィーヌの声がハモる。


「いいか?レベッカはあの最低最悪のキング一家に狙われているのだぞ?レベッカは我等の大切な家族だ。彼奴等の魔の手からレベッカを守るのが我等の使命なのだ!」


私の言葉にジョセフィーヌが激しく抗議する。


「ふざけないでよっ!私の前で、にっくきキング一味の名を出さないでと言っているでしょう?!兎に角レベッカを見つけ次第、監禁してやるっ!二度と太陽がおがめなくしてやるんだからっ!」


「おいっ?!レベッカに手荒な真似をするのは私が許さんぞっ?!」


「何よ、レベッカレベッカって!それより暫く出発は無理よっ!路銀を稼がなくちゃならないのよっ!」


「私はもう何処にも行きたくないわよっ!この際、この町でもいいわっ!旅なんかやめましょうよっ!」


こうして私達の親子喧嘩は再び勃発した―。

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