いざ行かん!ドラゴンの国へ 7
「な、何と言うか…意外と神殿て遠いのね…」
ロミオとレティオを馬車屋に預け、(預ける代わりに彼等を働かせる事を確約し)私達は神殿を目指していた。
「ああ、そうだな。辿り着くまでに10分くらいは掛かりそうだ」
するとナージャさんが言った。
「私の足では12分でしたよ」
意外と細かい性格なのかも知れない。酒豪だから大雑把な性格だと思っていたのだけれど。
一方のミラージュはよほど楽しみにしているのだろう。かなり前方の列に紛れて歩いている。
「所でナージャさん、実際にドラゴンの住む国へ行けた人達っているんでしょうか?」
歩きながら私はナージャさんを見た。
「さぁ…どうなのでしょう?私の知る限り、そんな人物はいませんでしたねぇ…」
「ええっ?!ほ、本当ですかっ?!」
大変だっ!そんな話がミラージュの耳に入れば…興奮して暴れてしまうかも知れない!すると私と同じことを考えていたのかサミュエル皇子が言った。
「それなら内緒にしておいたほうが良いかも知れないね。ひょっとしてミラージュがあの神殿についた途端、ピカッ!と光り輝いて空から光が降りてきてミラージュを導いてくれるかもしれないよ?」
妙に具体例を上げながらサミュエル皇子が言う。するとその途端…
カッ!!
突如として前方の神殿がまばゆいばかりの光に包まれた。
「ええっ?!う、嘘!!」
ナージャさんが驚愕の表情を浮かべる。そしてさらに上空から一筋の光が神殿に降り注いできた。
「な、何て事だっ!こんな事があっていいのだろうかっ!!」
やはり一番驚いているのはサミュエル皇子だった。まぁ、自分の語ったことが何もかも本当に起これば誰だって驚愕するに決まっているだろう。勿論驚いているのは私達だけではなかった。周囲の人々も大騒ぎになり、皆我先に神殿目指して猛ダッシュし始めたのだ。
「レベッカ!ナージャッ!我々も急ごう!!」
サミュエル皇子も我に続けと言わんばかりに駆け出した。そしてそれを追いかける私達。果たしてあの光を登っていけるのだろうか?そしてようやく神殿に到着すると集まった人々が皆して光の下にワラワラと集まっているのだが、何も起こらずに大騒ぎになっている。
「何故だっ?!何故何も起こらない?!」
「あの光の行き着くところには神様が住んでいるはずなのにっ!」
「俺はさっき見たぞ?一人の黒髪の女性が空へ登っていくのをっ!」
「「「え…?」」」
それを聞いた私達は顔を見合わせた。
「おい、聞いたか…今の言葉」
「ええ、確かに聞きました」
ナージャさんが頷く。
「黒髪の女性と言えば…」
この台詞は私だ。
「「「ミラージュだっ(ね)!!」」」
「きっとミラージュは選ばれてあの光を登って行ったに違いない!」
「ええ、きっとそうに決まっています!」
ナージャさんは鼻息を荒くしている。
「そ、そんな…いざとなればミラージュの背中に乗ってドラゴンの国へ行こうと思っていたのに…」
でも…本当に行けないのか、試してみるのもありかもしれない。私はゆっくりと光の下へ近づいていく。
「レベッカ?どうするつもりだ?!」
サミュエル皇子が後からついてきた。
「そうですね、私達も試して見る価値はあるかもしれませんね」
ナージャさんもついてきた。
「おい、あんたたち…試しても無駄だぞ?誰もこの光の下に行っても何も変化が無かったんだから」
神殿の信者らしき男性が声を掛けてきた。
「まぁ、一度位は試させてもいいじゃないか」
別の男性が言う。そして私達3人は無言で光の下に立った。
その時、奇跡?が起こった―。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます