レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 20)
「あの〜…私達は…」
ナージャさんに言いかけた時、突然彼女は口を挟んできた。
「待って!あ〜駄目!言わないでっ!私から占わせて下さいなっ!お願いします!」
私とミラージュは顔を合わせたけれども、占い師本人から占わせて下さいと言ってくるのだから、ここはおまかせする事にしよう。
「はい、ではお願いします」
「よろしくお願い致しますわ」
2人で交互に頭を下げる。
「え〜と…それではどちらから先に占いを致しましょうか?」
ナージャさんが尋ねて来た。
「あ、いえ。私は結構ですわ」
ミラージュが断ったけれどもナージャさんは言う。
「そんな事言わないで下さい!貴女の事も是非!占わせて下さい!私の魂が叫んでいるのです。この2人の運命を占え!と」
ナージャさんは自分の胸に手を当てて言う。
「ま、まぁ…それほどまでにおっしゃるならお願いしますわ」
「分かりました!ではまずそちらの貴女から占いをしましょう」
ナージャさんはミラージュの方を見ると、水晶玉に手を当てた。
「さぁ…よーく見ていて下さいね…徐々に何かが見えてきますよ…」
すると水晶玉が怪しく光り輝き始め…景色が浮かび上がってきた。それを目にした私達は全員で息を飲んでしまった。水晶玉には空を飛ぶドラゴンたちの姿が映っていたからだ。
「ドラゴン…」
「ドラゴンですわね…」
私とミラージュが交互に呟く。
「ま…まぁ!な、何て事…!ドラゴンが映っているわ!」
しかし、一番驚いているのは占い師であるナージャさんの方だった。そしてナージャさんはミラージュをじっと見つめると言った。
「そ、そう言えば貴女の魂の色は普通の人とは違いますね…おまけに水晶に映るドラゴンの群れ…、も、もしや貴女は…!」
ま、まずい!ついに他の人にミラージュの正体がバレてしまう!
「ええ…そうです。私はドラゴンですわ。半分は人間ですけど」
ああっ!ミラージュがついにばらしてしまった!
「あ、あのどうかお願いです。私達を通報しないでくれませんか?私達はこんなところでつかまりたくはないんです!」
私は必死でナージャさんに懇願した。
「何を仰っているのですか?!そんなマネ私がするはずないではありませんか!この事は誰にも口外致しません!いいえ、むしろ何故そんなにドラゴンであることがバレるのを恐れているのですか?逆に人々から神として崇め讃えられますよ?実際にあるのですよ?ドラゴンを神として讃えている国が」
「まあ…そうなんですの?何だか悪い気はしませんね」
ミラージュはまんざらでもなさそうである。
「でも、何故ドラゴンである貴女は他の者たちとは一緒に暮らしていないのですか?」
「それは私を生んだのは人間の母であり、ドラゴンたちから認められなかったからですわ。でも出来れば、この水晶に映っている場所に行ってみたいものです。他のドラゴンにまだ会ったことがありませんから」
ナージャさんの質問にミラージュは答える。
「ははぁ…なるほど。ではこの場所をお探しということですね?よろしいでしょう、この私が占ってさしあげましょう!」
ナージャさんは目を閉じると、再び水晶に手をかざした。すると飛び交うドラゴンの姿は消え、徐々に今度は緑に広がる大平原が映った。平原の中には神殿のようなものがそびえたっている。そしてその光景がぐんぐん遠くなっていく。そう、まるで空を飛んでいくかのように。大地はどんどん遠ざかり、上空を飛んでいる事が分かった。やがて白い雲を通り抜け為の前に大きな島が浮かんでいるのが見えた。
「まあっ!島が空の上に浮かんでいるわ!」
ミラージュが驚きの声をあげる。私も言葉を無くしていた。ナージャさんも水晶玉を覗き込むと言った。
「映像の中に神殿が見えました。あの神殿は…恐らく東にある『アトラント』だと思います。神話によると、あの神殿の上空にはドラゴンが澄んでいると言われているので」
私はナージャさんの話を聞いていた。
へ〜…『アトラント』か…。
何だか面白い事になってきたかもしれない―。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます