第546話 思い出話・姫のパンツは俺が脱がす

 なんだろう。この様子、フォルナが「言葉で言わなくても察してもらわないと困りますわ。今、ワタクシは凄く手を繋ぎたいのに、ワタクシの口から言葉にする前に、ヴェルトが察して繋いでくださらないとダメですわ」って言ってたときと似てる。



「…………拭くものが欲しいのか?」


「んほんふふうんん、ほがっ(それもそうだけど、違う)!」



 違うのか? じゃあ、なんだ?

 だが、俺が分かる前に、ペットが何かに気づいたように「アッ」となった。



「そ、そっか、ひ、姫様………」


「……へっほんほーふ、ふぁんふぉふぁふぃふぇふふぁふぁん(ペット・アソーク、ど、どうにかしてくださらない)?」


「って、そ、そうおっしゃられましても、私も手足ぐるぐる巻きにされて………」



 なんだよ? なんなんだ? ペットは顔真っ赤にしてるけど、恥ずかしいことなのか?



「おい、ペット~?」


「あ、あのね、ヴェルトくん、そのね、姫様その………ごにょごにょごにょ」


「はあ? な~んだ、パンツが脱げねーのか、じゃあ、そのまま漏らせば? どうせ、もうお前は『お漏らしクレオ』なんだしさ」


「ちょっ、ヴェヴェヴェヴェ、ヴェルトくんッ!」



 そっか。クレオはスカートだけど、下にパンツ履いてるんだから、それを降ろさないとできないよな?

 でも、両手足を縛られてるクレオは、壁に寄りかかりながら立ち上がることはできるけど、パンツを自力で下ろすことができない。

 くだらね~………



「ほろふっ(殺すッ)! へるふぉひーふぁ(ヴェルト・ジーハ)! ふぁふぁらふほろふっ(必ず殺す)!」


「ヴェルトくんさいていだよ~、そんなひどいことダメだよ~!」


「馬鹿、俺たちユーカイされてるのに、お漏らしぐらいでギャーギャー言うなよな!」



 そうなんだよ。今、俺たち三人は変な二人に誘拐されてるんだ。そっちのほうが問題だよ。

 なのに、クレオは、物凄い黒いオーラみたいなの出して、何だか鼻水すすってる声?



「ひふぉい(酷い)……もふふぃにふぁい(もう、死にたい)……ふぁんふぇふぉんふぁおふぉに(なんでこんなことに)」


「あ~、もう! お漏らしぐらいで泣くなよ~! ……ッ仕方ないな~」



 そんなに嫌なのかよ。ほんっと、高慢ちきな女ってのは嫌だ。

 仕方ねえ、俺もうまく動けないけど。


「ふぁ、ふぁにふぉ(な、なにを)?」

「ヴェルトくん?」


 クレオは両手首と両手足を、鉄の輪っかで手を後ろで縛られ、足首も同じ輪っかでガッチリ縛られている。

 それに比べて俺とクレオは縄でぐるぐる巻きにされている。

 だから、俺は立ち上がることはできないし、こうやって虫みたいに這って進むしかない。


「俺がお前のパンツを下ろしてやるよ」

「ふぁっ!」

「へっ!」


 だって、それしかできねーし。ペットみたいなトロイ奴は、こうやって体をうまく使って、這って進むことはできないし。



「ふぉ、ふぉっふぉっ(ちょっ、ちょっとっ)!


「ヴェヴェヴェヴェヴェ、ヴェルトトくん! そおそそ、そんなのなんてことを!」


「だって、漏らすの嫌なんだろ? だったら、これしかねーだろうが!」


「ふぉふぉ、ふぉふふぁふぇふぉ(そそ、それはそうだけれど)!」


「だ、大体ヴェルトくんだって両手縛られてるのに、どうやってクレオ姫の下着を?」


「ん? こいつスカートだし、顔突っ込んで口で引っ張れば下げられるだろ?」


「…………………………ふぇっ?」


「……………………………えっ?」



 これしか思いつかねーんだけどダメか?



「ふぁっふぇふぃふぃふぁってふふぇふぉっ(ダメに決まっているでしょう)!」


「なんでそんなエッチなことしようとしちゃうの! ヴェルトくんのスケベ~!」


「エッチじゃねーし。大体、こいつのパンツなんて昨日見てるし、俺子供だからそういうの興味ねーし」


「ふぁ、ふぉふぇふぇふぉふぉっ(そ、それでもよっ)!」


「そういう問題じゃないよ! お、男の子が女の子のスカートの中に頭入れるって、し、しかも、し、下着を口で引っ張って脱がすなんて………だ、ダメだよーっ!」


「じゃあ、ペットがやれよ! それか漏らせよ!」


「へっほんほーふ(ペット・アソーク)!」


「……うう~、う、うんしょっ、ん、だ、ダメ……ヴェルトくんみたいに這って動けないよ~……」



 別に俺はどっちでもいい。クレオが漏らして泣き叫んでも、俺には関係ねーし。

 ただ、昨日のカンチョーはやりすぎたから、そのお詫びの意味で助けてやろうとしただけだし。

 脱がされるより、漏らす方がいいんなら……


「じゃ、じゃあ、ヴェルトくんは目を瞑って! わ、私が、ここから位置を指示するから、ヴェルトくんは絶対に目を開けないで、姫様の下着をッ! 姫様、それならどうでしょうか?」


 つまり、ペットが俺を誘導して、うまい具合に俺にクレオのパンツ脱がせってことか? それ、難しいぞ?



「ふぁ、ふぁんふぉゆふ、ふぃふぁふぁふぃう(な、なんという、二者択一)」


「姫様……そのそれで、よろしいでしょうか?」


「ふううううううううううう! ……………………コクり」



 漏らすのそんなに嫌なんだ。

 クレオは、何だか魂抜かれたみたいに呆然として、足をだらんと伸ばして「もうどうにでもなれ」みたいな様子だった。


「じゃ、じゃあ、ヴェルトくん、もうちょっと、前に出て」


 まあ、めんどくさいけど、そういうことならもう、俺もやろう。

 目を瞑ったら本当に何が何だか分からねえけど、ペットに言われた通りに俺はもう少し這って前へ出た。



「ゆっくり、ゆっくりだよ? そう、そこ! そこで、ちょっとだけ顔を下ろして、そう、ゆっくりゆっくり………そこでちょっと口で摘んで首を上げて! それ、スカートだから」


「ふぁふっ(ひゃっ)! ふぃ、ふぃふぃふぁ(い、息が)、ふふぉふぉっふぃ(ふとももに)……」



 ゆっくりと顔を下ろして何かが口にあたって、それを摘んで持ち上げた。

 ペロンとめくれたような感覚。これがスカートか。

 なら、今、クレオはスカートが完全にめくれた状態……って言われても、目を閉じてるからわからないけど。



「そ、そこからだよ? 重要なのは、そこからだよ? ゆっくり、ゆっくり、口を開けて………そこっ!」


「あむっあむ」


「ふぁーーーーーーっ! ふぉふぉふぉふぁああーっ(そそそそそこはーっ!)! ん、あん!」


「ちがーーーーーうっ! ヴぇ、ヴェルトくん、そ、そこは女の子の一番大事で一番ダメなところっ! そんなとこパクッてしちゃダメえぇ! もうちょっと上だよ~!」


「あっ? そんなこと言ったって………も、もっと上? あ~~~~、ん、あむ、あむ」

 

「んんんんーーーーーーっっ! おふぇふぉーーーっ(おへそーーーーっ)! くふゅぐっふぁい(くすぐったい)!」



 ダメだ、難しいぞ、これ! しかも、ちょっとズレたところにいくと、クレオメチャクチャ暴れるし。

 もう、目を開けてやった方が早くないか?


 

「よし、そこだよ! うん、ゆっくりゆっくりずらす感じで……あっ、姫様、少しだけお尻を浮かせて下さい、そうしたら……ッ、あっ、だめ! バランスが崩れちゃ……あーーっ! 姫様のお尻にヴェルトくんが! ッ、ヴェルトくん、早くそこから抜け出して、でも目を絶対あけちゃダメ! あっ、ヴェルトくん、苦しくてもフガフガしないで! ひ、姫様、堪えてください! って、姫様が痙攣を! 姫様、お股に力を入れないでください! ヴェルトくんが挟まれて抜け出せなくなってます! あああ~~、そんな、どうしてそんな態勢に? もう、ダメだよ~、見てられないよ~、ううう~、ヴェルトくん、姫様、頑張ってください! ああ~、二人の態勢が……ヴェルト君の顔が姫様のお股に、姫様のお顔がヴェルト君のお股に~!?」


 

 正直、この時、どういう態勢で悪戦苦闘をしていたか、ペットにしか分からない。



「そうだ! 姫様、膝を折り曲げて、お尻を突き出して四つん這いになってください! そうすれば脱がしやすくなります! そう、ヴェルトくんゆっくりゆっくり、そうそこ! ……ッキャッ! ば、馬車が揺れて……あーーーっ!」


「うごっ、がぶ…………?」


「むふぉーーーーーーーっ! ふぁ、ふぁまれ(か、噛まれ)?」


「ヴェ、ヴェルトくんが姫様のお尻を噛ん………もうむずかしいよ~!」



 ただ、結局そのあともイロイロと失敗したし、クレオも極限状態だったけど、なんとか間に合った。


 そのあと暫く………



――――ほぉ~~~~♥



 何とか間に合った。



「もふ、ふぃふぃふぉふぁらふふぃふぉふぁふぇふぉふぉふぇふぃ……ふぉふふぃふぇふぁふぃ(この私が、一度ならず二度まで同じ男に辱められ……もう生きていけない)………」



 死んだように項垂れてるけど、ようやくスッキリしたんだし、早くどうやって助かるかを考えようよ。





――あとがき――

三人の窮地はまだまだ続きますが、果たして……? お楽しみ。


また、少しでも本作を多くの人に見て頂きたく、引き続き本作の応援をよろしくお願い致します!


下にある【★で称える】より、『☆☆☆』を『★★★』にして頂ければ、1人3★まで評価して応援することができます!!


この作品を少しでも、


『面白い!』


と思われましたら、下の【★で称える】ボタンを押して評価頂けないでしょうか?

作者が今後作品を更新していく上での大きなモチベーションとなります。

それと追加で図々しいとは思いますが、フォローの登録もして頂けると嬉しいです!


何卒よろしくお願い申し上げます!!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る