第五十一章 シンハの処分
第五十一章 シンハの処分
「ところでアニル、私は一体どうなる?祭司裁判にかけられて、
シンハが尋ねた。
「
スバル医薬長が口を
「では私はどうなる?次期祭司長であるお前はどう考えている?」
シンハがもう一度アニルに尋ねた。
「それについては悩んでいるところだ。シンハ。お前を
「それならばこういうのはどうだ?私がこれからカルナスヴァルナ国に
シンハが
「確かに良い考えだ。だが、お前はまた裏切るかもしれない。」
アニルが
「信用できなければお前が私に呪いをかけろ。そうすれば私は裏切れない。」
シンハはむきになって言った。
「それはどうかな?
アニルが
「そんなことはしない!
シンハが
「ハッハッハ、お前の口から
アニルが笑い声を上げながら尋ねた。
「アジタ祭司長だ。」
シンハが言った。真剣だった。アニルは笑うのを止めた。
「本気のようだな。」
アニルが言った。
「もちろんだ。」
シンハが真っ直ぐアニルを見上げて言った。
「ならば、お前を使者としてカルナスヴァルナ国へ送ろう。」
アニルが
「危険です!もしまた裏切られるようなことがあれば、今度こそスターネーシヴァラ国はカルナスヴァルナ国に攻め込まれます。」
プータマリ司書長が止めた。
「大丈夫です。シンハは裏切りません。自分の
アニルが
「だが失敗したらどうする?たとえシンハが裏切らなくても、シャシャーンカ王に呪いをかけるのを失敗することはあるだろう?」
スバル医薬長が言った。
「シンハは失敗しません。そうだろう、シンハ?」
アニルがシンハに尋ねた。
「ああ。決して失敗などしない。」
シンハは力強い真剣な目で言った。
「では決まりですね。」
アニルはそう言うとシンハの
「ダメだ!」
全員がハルシャ王子の方を見た。
「シャシャーンカ王に呪いをかけた後、シンハはどうなる!?自由の身か!?そいつは兄上を
ハルシャ王子が激しい口調で言った。
「ハルシャ王子、この作戦にはシンハが
アニルがハルシャ王子に言い聞かせるように言った。
「でもそいつが
ハルシャ王子が
「生きてカルナスヴァルナ国を出る可能性よりも、呪いをかけたすぐ後に兵士たちに殺される可能性の方が高いのです。もし生き延びたのならそれは天がまだシンハを見捨てていないということ…」
その時、アニルの言葉を
「生きてカルナスヴァルナ国を出られたならば、私はスターネーシヴァラ国に戻って参ります。」
ハルシャ王子が驚いてシンハの顔を見上げた。
「生きて帰れたならば、その時裁きを。」
シンハがハルシャ王子をまっすぐ見つめて言った。ハルシャ王子は言葉が出てこなかった。
「戻って来ることはないシンハ。戻ってきても、ハルシャ王子の心に
アニルが言った。シンハは確かにその通りだと思った。
「行け。」
ハルシャ王子が小さな声でつぶやいた。驚いて見開かれたシンハの目がハルシャ王子を
「行け。行ってシャシャーンカ王に呪いをかけて来い。」
ハルシャ王子がシンハから目を
「さあ、ハルシャ王子も納得してくださったことですし、準備に取り掛かかろう、シンハ。もたもたしていたらカルナスヴァルナ軍が攻めて来るかもしれない。大臣方も万が一に備えていて下さい。」
アニルが言った。シンハはハルシャ王子に言おうとしていた言葉を引っ込めてアニルに返事をした。
「ああ。」
「
ルハーニが言った。けれどハルシャ王子はうつむいて黙ったままだった。
シンハはアニルに連れられて王宮の外に行った。王宮を出たところには一頭の馬が用意されていた。アニルはその馬に食料と水が乗せてあることを確認すると、シンハに向き直った。
「シンハ、呪いをかけたらすぐに逃げろ。シャシャーンカ王は必ずお前を殺そうとする。」
アニルが言った。
「分かっている。」
シンハが
「これを渡しておく。
アニルが小さな丸い
「アニル、早く私に呪いをかけろ。」
シンハが
「お前は裏切らない。だから呪いをかける必要はない。」
アニルが言った。シンハは
「すまなかった。」
馬が
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