第104話 風龍戦
今回も、本編が短めです。
巨大モンスターとの戦闘描写が難し過ぎて変かもしれません。
何卒ご容赦ください。
~~~~~~~~~~
『私をブッ殺すだと。小娘、自分が「死ね!!」なッ!』
何か
本当は、炎槍を放って焼き貫いて殺したかったが、この糞蜥蜴が生意気にも火属性耐性を取得しているので仕方なく水槍を放った。
先に放った炎槍とは違い近距離+複数放ってる事で反れる事も外れる様な事もなく蜥蜴に向かい一直線に数十の水槍が高速飛来していく。
「グアアアアァァァァァァ!!!!」
しかし、糞蜥蜴であっても一応は龍の一体。
簡単には喰らってくれず周囲に吹き荒れる暴風以上の強力な爆風を発生させ水槍は蜥蜴の身体に触れる事なくあらぬ方向へと飛んでいった。
「チッ!」
まさか、全て防がれるとは思わなかった。
だが、攻撃を防がれる可能も考えてはいたので苛つきはしても焦りはしない。
直ぐに、次の攻撃に移ろうとする。
「ッ!クソ!!」
しかし、発動していた魔力感知に反応があり咄嗟に右横へと跳んだ。
「ぐぅ"ッ!」
が、僅かに動くのが遅かった。
跳んだ瞬間、私の左半身を襲う焼ける様な痛み。
左半身を見てみれば、案の定肩、腕、脇腹、腰、足。
至る所が、刃で裂かれた様に斬られていた。
風刃の類いか。
反応出来たのに、攻撃速度が速くて回避出来なかった。
糞が。
左半身に攻撃を喰らってしまい身体を何ヵ所も斬られてしまった。
普通なら大ダメージだが、別に問題無い。
身体を多少深く斬られたが、部位欠損する様なダメージではない。
既に出血も止まり傷も自前の回復力と再生スキルで治っている。
『直撃したはずなのに何故』
今の私にマトモなダメージを与えたければ、身体を斬るのではなく削り取るか光属性魔法を当てる。
それか、半身を消し飛ばす位しなければ致命傷にはならないと思う。
だが、殺す相手に律義に教えてやる義理は無い。
私は、蜥蜴が驚いてる所に空力で作った足場を蹴って蜥蜴に高速接近。
収納から大剣の破砕を取り出し魔力を込めて強化。
首目掛けて全力で振り抜いた。
「ハア!!」
刃が首に触れる。
『遅いぞ』
と思った瞬間、そんな声が聞こえた。
分からない。
何も、見えなかった。
鱗に覆われていた首は目の前から消えており、代わりに直ぐ目の前に太く長い何かがトンデモない速度で迫っていた。
気付いた時には、既に遅い。
遅過ぎた。
「がぁ"ッ"!」
回避不能。
霧化の発動も間に合う訳がなく気付いた次の瞬間には、胸部に金属の如き硬い何かが衝突。
身体の肉が潰れたと思う様な錯覚。
いや、恐らく錯覚ではなく身体の肉が本当に潰れたのだろう。
『ブチッベキミシッミリ』と嫌な音が体内から聞こえると同時に耐え難い激痛が胸部から全身に走り次の瞬間には、私は抵抗等一切何も出来ず吹き飛ばされた。
『ズガアアァァァァァァン!!!!!』
「ガハッ!!」
吹き飛ばされた直後、身体が再び何かに衝突したかと思うと次には、身体が浮遊感らしきものに包まれる。
あまりに一瞬の事に何に衝突したのか分からなかった。
しかし、今私の視界に映っている夜空の景色からして地面に叩き付けられた。
そして、反動で空中にバウンドでもしたのではないだろうか。
空中でバランスを整え空力を発動して立つ。
「ハァ"ハァ"ハァ"……ゴフッ」
身体が糞痛い。
息もしずらいし咳と同時にエゲツナイ量の血反吐を吐き出した。
だけど、痛いだけだ。
身体は動くし痛みも引いてきてる。
まだ、やれる。
「クソが。なんつー威力だよ」
視界に映った地面。
私が叩き付けられたと思われる箇所が直径十m位放射状にバキバキに砕けていた。
「あ、破砕が無い。…………まぁ、いいや。それより、どうすれば」
吸血鬼の動体視力でもギリギリ見えるかどうかの速度で迫る攻撃。
正直、また同じ攻撃が来ても避けられる自信は無い。
近距離での戦闘は、分が悪いので止めた方がいいだろう。
かといって、遠距離攻撃となると遠距離からの魔法は吹き荒れる暴風で変な方向へと飛んでいくので駄目。
最低限近付かなければ、糞蜥蜴には当たらないだろう。
けど、そうすれば糞蜥蜴の間合いに接近する事になるので下手したら近距離戦をする事になる。
うん、詰んだ。
「クソ。余裕そうなのがムカつくなぁ」
私が、どうすれば殺せるのか悩んでるというのに蜥蜴野郎は殺し合いの最中であるにも関わらず追撃する事なく余裕そうに地面に佇んでいる。
取るに足らない存在。
殺そうと思えば、片手間にでも殺せるとでも思っているからこその余裕の態度なのだろう。
流石の私でも、蜥蜴の態度が目茶苦茶ムカつく。
どうにか、その余裕の態度を変えてやりたい。
慌て混乱し舐めた態度で舐めプした事を酷く後悔させてやりたい。
魔法が届かないのは、多分空気抵抗が大きくて暴風で反れるのと単純に速度が足りないからかな。
初手の投石が届いたのは、石が小さくて空気抵抗が少ないのと速度が速かったから。
魔法より速く投石よりも格段に威力の高い攻撃。
そんな攻撃手段があれば蜥蜴に攻撃が届くと思われるが、都合良くそんな攻撃手段等持っていない。
と思ったが、普通にあった。
「形状は、これでいいか」
そう呟いた私の右手に握られているのは、二mはある黒色の一本の鋭い槍。
血液支配+黒血で造り出したお手製の黒血槍だ。
私が、新たに何かしようとしてるのが蜥蜴からも見えているはず。
だというのに、蜥蜴は自身なら簡単に対処出来ると考えているのか何か妨害をしようとする様子が一切ない。
私が、攻撃してからでも簡単に防げると思っているのだろう。
まさしく、強者故の慢心。
だからこそ、付け入る隙になる。
「吠え面かかせてやる」
全身に身体強化+右腕に部分強化。
更に、既に黒血で強化されている黒血槍に更に魔力を込めて強化の重ね掛けを施すと右手を後ろに引き絞り黒血槍を構え…………
「死に晒せーーー!!!!」
全力で蜥蜴に向けて黒血槍を投げた。
放たれた槍は、吹き荒れる暴風で反れる事なく弾丸の如き速さでの真っ直ぐに蜥蜴に向けて飛んでいく。
投擲した瞬間になって、ようやく行動し始めた蜥蜴。
しかし、動き出すのが少し遅い。
既に私の投擲した黒血槍は、蜥蜴の目と鼻の先。
『ッ!!?グガアア"ァ"ァ"ァ"ーーー!!!』
顔面を串刺しにしたつもりだったのだが、回避と知覚強化のスキルのおかげか顔面串刺しになるのは避けて右翼の一部を抉り取る結果で終わった。
ちょっと残念。
しかし、その余裕綽々の態度を崩す事は出来た。
「ハッ!遅いんだよ。馬鹿が」
私は、内心目茶苦茶スカッとして実に晴れやかな邪悪な笑みを浮かべて翼を抉られた痛みに苦しむ蜥蜴を見下ろした。
『小娘、貴様ーーーーッ!!!!』
「短気だなぁ。糞蜥蜴が」
仮にも抑止力の代行者を名乗るくせに、身体の一部を抉られた程度でキレ叫ぶ。
名乗る身分に対して分不相応としか思えない。
本当に抑止力の代行者を名乗るのなら、この程度我慢して即座に反撃してくるべきだ。
『代行者たる私を害そうとするなど。小娘、殺されても文句は言えんぞ!!』
「うるせぇなあ!!こちとら、初めから死ぬ気で挑んでんだよ!!!」
私は、そう言い放つと更にもう一本黒血槍を造り出し全力で投擲した。
だが、流石に先の一投で危険だと理解された為にアッサリと回避される。
糞蜥蜴程の強者だ。
回避するのは分かっていた。
だから、先の投擲は意識を反らさせるのが目的。
投擲直後に私は、脚へ部分強化を施し蜥蜴との間合いを詰める。
『だったら、死ぬといい』
完全に勘だった。
私は、蜥蜴の手前十m辺りで咄嗟に空力の足場を蹴り上に跳んだ。
直後、私の真下を見えない速度で何かが通り抜けた。
『勘の良い小娘だな』
「チッ!」
直感で空を蹴り下に跳ぶ。
やはり直後に頭上を何かが通り抜けた。
そして、今度は辛うじて見えた。
蜥蜴が、腕を振り抜いていたのが。
風爪か。
鑑定で確認出来たスキルにあった。
スキルの詳細は不明だが、なんとなく分かる。
風の爪を生み出し放つスキルだろう。
糞が。
マジで面倒過ぎだろコイツ。
当たれば無傷では済まないだろう。
下手すれば、胴体が輪切りにされる可能性もあったので避けられた事に内心目茶苦茶安堵する。
だが、安堵している暇はない。
せっかく、こうして糞蜥蜴の近くに接近出来たのだ。
「たんまり喰らいな!!」
私は、糞蜥蜴が追撃してくるより先に攻撃を仕掛けるべく一瞬で、百を越える黒血剣を造り出し糞蜥蜴に向けて一斉射出。
現在の私と糞蜥蜴の距離は十m弱。
つまりは、近距離から黒血剣の弾幕攻撃を受ける事になる。
「ッ!!グアアァァァァァッ!!!」
幾らかは鱗を裂いて身体に深く刺さった。
しかし、瞬時に金剛を発動されたのか刺さりはしても身体の浅い所までしか刺さらず決定打となりそうなダメージにはならなかった。
「チッ!」
この攻撃でも、たいしてダメージを与えられず軽くショックを受ける。
だが、落ち込んでる暇等微塵もない。
糞蜥蜴の反撃を警戒して置き土産だけ放り投げ即座に空を蹴り離れる。
『ドガアアァァァァァァン!!!!!』
「グア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァァ!!!!」
離れた直後、置き土産の暴走火球が爆発。
糞蜥蜴の姿が爆炎で見えなくなる。
悲鳴が聞こえてはいるが恐らく火属性耐性を取得してるので大したダメージにはなっていないだろう。
「ほら、やっぱり」
爆炎が晴れたそこには、案の定少し焦げただけでピンピンしている糞蜥蜴の姿が見えた。
『小娘、貴様まさかと思っていたが、本当に吸血鬼だったとはな』
「あ?それがどうしたってのさ」
吸血鬼だったらなんだっていうのか。
質問の意図が理解出来ない。
内心疑問に思っていると糞蜥蜴が言葉を続けた。
『人間であれば、まだ謝れば見逃しても良かった。だが、吸血鬼なら話は別だ。生かしてはおけん。全力で殺させてもらうぞ!!』
「はぁ!?」
意味が分からない。
何で吸血鬼と分かった途端に全力で殺しにくるのか意味不明だ。
だが、糞蜥蜴は宣言通り私を殺すべくこれまでとは異なり自分から攻撃を仕掛けてきた。
「グアアァァァァ!!!」
糞蜥蜴が咆哮をあげる。
そして直後、その攻撃は放たれた。
それは、目に見える程に凝縮した風の塊の渦。
巨大な竜巻だ。
周囲の木々、岩石が竜巻内に吸い込まれた瞬間、粉々に粉砕されたのが見えた。
そんな、当たれば確実に大ダメージ確定だろう竜巻が私に向けて五つ放たれたのだ。
「ちょっ!?ふっざけんなよ糞が!!!」
私を囲いこみ逃げ場を無くす様に勢い良く迫る竜巻。
巻き込まれたら、良くて全身がズタボロになるか四肢が断裂。
最悪で、全身がバラバラになって即死。
そんな、確定で絶体絶命の攻撃に対して私は避けようと竜巻から離れようとした。
『させるか』
「ちょっ!?」
しかし、そんな私の動きを糞蜥蜴が頭上高くから風の塊を幾つもの放ち行く手を阻んできた。
ヤバいヤバいヤバい!!!
死ぬ死ぬ死ぬ!!!!
完全に周囲を竜巻によって囲まれてしまった。
このままだと、確実に致命傷か即死する。
私は、何とか生き延びるべく火属性魔法と並列思考を同時発動。
「吹き飛べ!!!」
五つの巨大な暴走火球を生み出し竜巻にぶちかました。
竜巻と暴走火球が接触。
瞬間、爆発寸前だった火球が竜巻と接触した事で大爆発。
竜巻は爆発により強引に消滅した。
た、助かった。
何とか生き延びる事が出来て安堵する。
しかし、安堵出来たのはほんの一瞬だった。
竜巻が消滅した直後、その反応に気付く。
「ッ!!?」
桁違いの魔力が収束する反応。
バッと反応のある頭上を見上げれば、そこには反応の原因である糞蜥蜴の姿が見えた。
ヤバい攻撃がくる。
直感で察した私は、その場から離れようと空を蹴り全力で離れようとした。
『無駄だ』
瞬間、白く光輝く巨大な極光が放たれた。
夜闇に包まれる森を明るく照らす神々しいとさえ思える極光。
しかし、神々しいのは見た目だけ。
その正体は、空を裂き触れたモノをこの世から消滅させる桁違いに凝縮された魔力の放出。
ブレスと呼ばれる必殺の一撃。
「ぁ」
風龍のブレスが、私を呑み込んだ。
~~~~~~~~~~
※アカリの秘密その8
初対面の人や知人、友人には比較的丁寧な言葉遣いで接するが、クズや敵認定した相手。
又は、戦闘中になると途端に言葉遣いが悪くなる。
#前話のおまけのアカリの過去話である『部活動体験』ですが、続きはその内またおまけ話として書きます。
又、『部活動体験』以外のアカリの過去話を下手でも書いて欲しいと少しでも読書の皆様から反応があれば不定期におまけ話として書くかもです。
以上
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます