第42話 吸血鬼さん○○になる

 ※遅れてごめんなさい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 カラクに無事到着し『憩いの原』で久々の熟睡を満喫した翌日。


「さて、街を探索していきますか!」


 新しく訪れた街であるカラクをアカリは、見て回ろうとしていた。

 アカリは、この世界に来てかれこれ1ヶ月位経過したが今までオーレストだけしか街は見た事がない。

 その為、現在のアカリは何気に内心とてもテンションが上がっていてワクワクしていた。


 当然だけど、この街の事は何も知らないし何があるんだろう。

 どんなモノがあるのか楽しみだね。


 アカリは、どんなモノがあるのかと想像しながらまずは、何処に行こうかと考え…………


 ま、適当に色々と見て回れば良っか。

 それじゃあ、しゅっぱつしんこ~~♪


 手当たり次第に、見て回る事にしたのだった。


 ※※※※※


 時は進んで、お昼時


「さて、どうしたもんか」


 街中探索をしていたアカリは、非常に大きな問題に直面していた。

 その大きな問題というのが何なのかと言うと。


「…………ここ何処?」


 このアカリ、良い歳?精神年齢?をしていながら道に迷って迷子になっていたのだ。


「見覚えは…………無いね」


 周りを見るが、何処かの通りなのだろうが人通りが少ない場所で周辺の建物等の景色に見覚えはなく自分が今日通った道では無い事だけはわかった。


「いや、本当にここ何処なんだろう?何でこんな所に着いたんだっけ?」


 アカリは、自分がこの場所に居る経緯を思い出そうと今日のこれまでの街中探索を思い出す。


 確か、街中探索を始めて…………


 ~~~回想中~~~


 あ~あのお店面白そ~~

  ↓

 あっちも何かありそ~。あ、こっちも気になる~

 ↓

 あれ?ここ何処だろ? ⇐ 今ココ


 ~~~回想終了~~~


 あ、うん。

 文字通り好奇心の赴くままに適当に見て回ってたせいでこうなってるね。

 完全な自業自得だわ。


「ハァ~……やらかした」


 アカリは、やらかしたと片手で顔を覆って項垂れて落ち込んだ。

 しかし、落ち込んでばかりいられないので一先ず、見覚えがある場所に出るべく移動する事にした。


 それにしても、本当に全く道がわからないや。

 誰かに聞いてみるべきかな?

 だけどなぁ、この歳で道に迷ったので教えて下さいって言うのも少々恥ずかしいし。

 こんな時、ラノベや漫画だと女の子が絡まれたりしてるのに遭遇して助けたお礼に案内してもらえたりするけど。


「そんな偶然あるわ「やめて下さい!」…………ナンデ?( ・◇・)?」


 私は、あまりにも思った事が都合良く目の前で展開され呆然としてしまった。


 え?何故に?

 こう言うのって勇者とかの物語の主人公に起きるモノだよね?

 私勇者じゃなくて吸血鬼ですが?


「まぁ、良いや。困ってたのは事実だし」


 アカリは、一先ず目の前でしつこくナンパ?されてる少女を助けてあげる事にした。


 ※※※※※


 その日、私は家族と経営してる食堂の食材の仕入れや道具を買う為に出ていた。

 あらかた、購入も終わって後程店に届けてもらえると言う事で荷物も少なくすんだ事にラッキーと思ったのに、運が悪い事に店でも評判の悪い客である2人の男に出会ってしまった。


「そんな嫌がんなよ。俺達は、お前の店の常連客だぞ?良いのか大切なお客様をそんな手荒に扱ってよ」

「別に良いんだぜ?他の連中に『あの店の店員は、客に対する対応が最低な店』って言ってもよ?」

「な!?店の悪口を言うのはやめて下さい!」

「だったら、俺達の言う事を聞けよ。そしたら、何もしないでいてやるよ」

「そうそう。何、別に痛い事は何もしないぜ?どちらかと言えば俺もお前も気持ち良くなるんだから怖がる心配はいらないぜ?」

「や、やだ。離して!誰か、誰か助けて!」


 私は、逃げようとしたがビクともせず周りに助けを求めたが運の悪い事に人通りが少なく僅かに居た人もガラの悪い2人を怖がって皆顔を背けて離れていった。


「おいおい、人聞きの悪い事言うなよ」

「ハハハ、誰も助けてくれないみたいだな?それじゃあ、3人で楽しもうぜ?」

「何で、グス…助けてよ。誰か、ヒグッ…助けて」


 私は、これから自分の身に起こるであろう事を思い涙が出てきた。


 何で、私別に悪い事してないのに。

 お父さん、お母さん、助けて。

 助けて、助けてよ。

 誰でも良いから、お願い助けて。


 私が、誰でも良いから助けてと心の中で願ったその時…………


「それじゃあ、行くか。ほら、行く……あ?何だお前?」

「俺達に何の用だよ」

「え?」


 私を連れて行こうとした男の腕を横から伸びてきた手が掴んで止めてきた。


「はい。ストーップ。その辺でやめようね」


 男の腕を掴んだ人物。

 声からして私と同じ位の歳と思われるフードを深く被った少女は、男の腕を掴んだままそう言った。


「あ"?指図すんじゃねえよ!」

「そもそも、お前誰だよ。邪魔しやがって。何様のつもりだ?あ"ぁ"?」

「ん?その子を助けにきた通りすがり」


 いきなり現れて楽しみを邪魔されたのだ。

 男達は、その事に苛立ちを隠さず少女を脅す様に話している。

 しかし、少女はそんな男達の様子等意にも介さずあっけらかんとそう口にした。


 私の事を助けにきたと。


「助けて…くれるの?」

「うん。今助けてあげるからちょっとだけ待ってて?」


 目の前の少女は、本当に助けにきてくれたのか聞き返した私の言葉に優しく安心する様な声でそう言ってくれた。


「ありがとう」


 私がそう言うと少女は、こちらに向けていた視線を男達に向けるのだった。


 ※※※※※


 さてと、この子もかなり怖がってるしさっさと終わらせよっかな?


「とりあえずさ、この手を離して?」

「あ"?何言ってんだてめえ。離すわけないだろ」

「痛っ!」


 アカリが、離す様に男に言うが当然ながら男は離す訳なく寧ろより強く少女の腕を握った。

 それを見てアカリは、平和に会話で解決するのは無理かと判断した。


 ハァ~ここで大人しく下がれば良いのに。


「私は、離してって言ったんだよ?ねぇ?聞こえなかったのかな?もう一回だけ言うよ?…離せ」


 男の腕を握る力を強めながらそう言う。


「ぐあ"ぁ"ぁ"!?は、離しやがれ!!」

「な!?てめえ!ソイツを離しやがれ!」

「あんまり近寄らないでくれる?それ以上近付くならコイツの腕握り潰すよ?」

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"!?痛でぇ"ぇ"!!や、やめてくれっ!!」


 男の痛がり方から、本当に危ないとわかったのかもう1人が止めようとしてくる。

 それを私は、冗談抜きで握り潰す手前位の力で握る事で脅して止める。


「あ」

「やっと離したか。危ないから私の後ろに隠れてて」

「は、はい」


 腕の痛みで掴んでいる事が出来なくなったのだろう。

 男がようやく少女の腕を掴んでいた手を離した。

 なので、少女に後ろに隠れててもらい男達が少女に再び危害を加えられない様にする。


 手を離したしこの男は、もういっか。


 アカリは、少女の腕を離したので用がなくなった男の腕を離して解放した。


「痛でぇぇ。痛でぇぇよ。腕が、俺の腕があぁ」

「てめえ!!俺のダチに何してくれてんだ!!」

「大袈裟だなぁ。何も腕が千切れた訳でも炭化した訳でもないのに。別に、折ってないし潰してないじゃんか」


 まぁ、私と違って再生スキルが無いから回復は遅いだろうけどね。

 けど、実際本当に腕を潰してもなければ骨を折ってもないから痛いだけだろうに騒ぎすぎでしょ大の大人がさぁ。


 アカリは、腕を押さえて『痛でぇぇ』と騒ぐ男とそれを見てアカリに怒りの視線と罵声を浴びせる男を呆れた目で眺めていた。

 その目が気に食わなかったのだろう。


「てめえ~!!!クソ野郎があっ!!」


 私に罵声を浴びせてた男が逆上して殴りかかってきた。


 なので


「逆ギレすんな……っと」

「グハッ!?」

「え!?」


 殴ってきた男の右腕を横に反らして加減した掌底打ちを男の胸部に打ち込む。

 ちなみに、何故握り拳でなく掌底なのかというと加減しても握り拳じゃ肋骨を砕きそうだから。

 その点、掌底なら拳でなく掌なのでその心配は少なくすむ。


 まぁ、下手すれば普通に折れるから絶対に大丈夫とは言えないけど。

 だけど、感覚的に折れた感じはなかったから大丈夫でしょ。

 とりあえず、脅してさっさと引き上げてもらうか。


「ねぇ。こっちは、お前らみたいな小者相手に加減するのも面倒なの。怪我したくないんだったらさっさと帰ってくれない?」

「な!?馬鹿にすんじぁ「ドガァッ!!!」ヒィッ!!」


 反論しようとしたので、身体強化による部分強化で足を強化し男の直ぐ横の地面を踏み砕く。


「何か言った?」

「す、すみませんでした~!!」


 砕かれた地面を見たことで、本当に身の危険を感じたのだろう。

 今度こそ、本当に男達は私と少女の前から立ち去っていった。


「フゥ~一件落着。お待たせ。これでもう大丈夫だよ?そう言えば、何処か怪我とかしてない?」


 アカリは、男達が去ったのを確認すると自分の後ろに隠れている少女の方を向いてそう言った。


「はい!何処も怪我はしてないです。本当に助けてくれてありがとうございました!」

「どういたしまして。何処も怪我してない様で良かっ!?……ビックリした。ん?どうかした?」


 私が、少女と話していた途中に突然強い風が吹いた事で被っていたフードが脱げて驚いたものの直ぐに被り直そうとする。

 しかし、被ろうとしたその時、目の前の少女が自分を見て固まっているのに気付いた。


 どうしたんだろ。

 やっぱり、どっか怪我してたのかな?

 だけど、怪我はしてないってさっき本人が言ってたしなぁ…………ん?そう言えば、こんな感じの事が前にもあった様な。


 アカリが、前にもあった様なと思い出そうとしてると目の前の少女が口を開いた。


「女神様ですか?」


 あ~~あれだ。

 アリサにカリナさん、フィーの3人の私を見た時の反応に似てるんだ。

 もう、結構前でフード被る様になったから最近こんな反応が少なくて忘れてたよ。

 とりあえず…………


「違います」

「それじゃあ、天使様ですか?」

「違うよ」

「それじゃあ、聖女様ですか?」

「違うね」

「それじゃあ、何ですか?」

「いや、一般人吸血鬼だけど?」

「え!?」

「え?」


 え?何でそこで驚くの?

 仮に本当にそんな存在が現世に現れるとしてもこんな街中の街道沿いに居るわけないと思うのだが。


「まぁ、良いや。とりあえず、自己紹介しとくね。私はアカリ。アカリって呼び捨てで良いよ」

「アカリさん……アカリさん。良い名前ですね。私は、ユリっていいます」

「ユリね。よろしく」


 ユリは、薄く緑がかった黒髪のロングヘアに翠の瞳。

 顔は、可愛い系と贔屓目抜きに確かに可愛い見た目をしていた。

 さっきの男共がナンパ?しようとしていたのも一応は納得できる。


「はい。よろしくお願いします。それでですね。助けてもらったお礼がしたいんですけど。良かったらウチでお昼ご飯食べていきませんか。是非、ご馳走させてください」

「お昼ご飯かぁ」


 もうお昼時にしては良い時間だし確かに、私自身お腹が空いてきたから提案としては素直にありがたくはある。


 せっかくだし、ご馳走になろうかなぁ。


「それじゃあ、お昼お願いしていいかな?」

「はい。喜んで!それじゃあ、案内しますね」


 こうして、アカリは偶然助けた少女ユリにお昼ご飯をご馳走してもらう事になるのだった。


 ※※※※※


「こ、これは!?」


 アカリは、目の前に出された食事に驚愕していた。


「どうぞ、ウチの食堂でも人気なオーク肉の特盛丼です!」

「す、凄いね」


 目の前には、前世でテレビ番組の大食いバトル等に出てきそうな途轍もなく大盛な見た目焼き肉丼なオーク肉の丼ぶり。

 その途轍もないサイズにアカリは、自分で頼んでおいてなんだが正直滅茶苦茶驚いていた。


「はい。アカリさんが、お肉系でガッツリしたものをご希望でしたのでウチで一番ガッツリしたものをお持ちしました。あの、やっぱり他のモノにされますか?」

「いや、大丈夫…………多分ボソ」

「無理は、しないで下さいね」

「うん。ありがとう。それじゃあ、いただきます」


 そうして、アカリは目の前のオーク肉の特盛丼を食べ始めた。

 さて、アカリがこんなガッツリした肉料理を食べてる理由だが別にアカリが肉尽くしな料理が好みだからという訳ではない。

 どちらかと言えば、前世ではあっさりした料理が好みだった。

 しかし、何故か転生した今世ではやけに肉を沢山使った料理が食べたくなってしまうのだ。

 その為、以前もアリサと食事した時もウルフ肉のステーキを食べていた。

 ただ、別にあっさりした料理が嫌いになった訳ではないので今でも、あっさりした料理は食べている。


 前から思ってたけど肉料理がやけに食べたくなるのって吸血鬼になったのが原因なのかな?

 血を吸わない代わりに肉とか食べて補ってるとか?

 死にかけたり刺された時も、肉を食べたくなったからギルドの食堂や宿で頼んで食べたりしてたけど。

 う~ん…………うん。わからん。

 別に、問題は起きてないし別にいっか。


 アカリは、考えても答えが出ないので諦める事にして目の前の料理に意識を戻す。


「モグモグ、後、もう少し。モグモグ」


 目の前の特盛丼は、何気に後少しで完食間近まで減っていた。


 これで、最後の一口。


「モグモグ……フゥ~ご馳走様」


 そして、あれだけ沢山あった特盛丼が今完食された。


「おおお!凄いです!男性でも中々完食される事が少ないのに完食されるなんて!」

「え?」


 え?何か人気とか言ってるから皆完食してるものと思ってたんだけど。

 もしかして、誰も中々食べきれない名物料理って方で人気なの?

 いや、まぁ、この身体になってからそれなりに食べれるから何とか食べきれたけどさぁ。


「ユリ。美味しかったよ。ありがとう」


 ただ、美味しかったのは事実なのでお礼は言っておく。


「はい。ありがとうございます!」

「それじゃあ、私はそろそろ行くね」


 お昼ご飯も食べ終わったので店を後にしようと思ったその時、店の奥から2人の人物が小走りで近付いてきた。


「アカリさん。もう、行かれるのですね」

「ウチの娘を助けていただきありがとうございました」

「お母さん、お父さん」


 近付いてきたのは、ユリの両親だった。


「気にしなくて良いですよ。それに、こうして美味しい食事もタダで食べさせてもらいましたし」

「それでもです」

「妻の言う通りです。本当にありがとうございました。もし、ウチの近くに来る事があればお越しください。是非、またご馳走します」

「その時は、またお願いしますね」

「はい!」

「お待ちしてます!」

「それじゃあ、私はこれで。美味しかったです」

「「「はい。またのお越しをお待ちしてます」」」


 ユリとユリの両親の見送りの声を背にアカリは、店を後にした。


「それにしても、料理美味しかったなぁ。量は、ちょっと多かったけど」


 さて、道に迷って迷子になっていたアカリが、こうして歩いているが道に迷った問題に関しては、実はユリに聞いたお陰でちゃっかり解決していたのだ。

 何なら、その際にオススメの店の情報を聞いたのでこれから行ってみようかと思っていた。


「ユリに聞いたお店に行きますか」


 ※※※※※


「フゥ~今日は、楽しかった」


 あれから、お店を見て回ったアカリは、存分に買い物を楽しんで宿に帰ってきていた。


「まだまだ、見てない場所もあるし明日も見て回ろうかなぁ。う~ん……まぁ、明日でいっか」


 アカリは、明日の予定をどうしようかと考えたがもう遅いので明日考える事にして寝る事にした。

 既に、食事と入浴は済ませてあるので今日は、後は寝るだけである。


「それじゃあ、おやす『カーーン!!!カーーン!!!カーーン!!!』ふぁっ!?な、何!?」


 突如鳴り響く鐘の音。

 それに驚きアカリは、ベッドから跳び跳ねる様に起きて音が聞こえてきた外を確認するべく窓を開ける。

 すると、今も先程の鐘の音が鳴り続けていた。


「何、いったい何が起きてるの?」


 アカリのその疑問は、直ぐに知る事が出来た。


『カーーン!!!カーーン!!!魔王が攻めて来ました!!街の住民は速やかに避難してください!!繰り返します!!魔王が攻めて来ました街の住民は速やかに避難してください!!』


 鐘の音の直後、どうやっているのか知らないが街中に聞こえる程の大きさでその様に警告の声が聞こえてきた。


 魔王が攻めて来たと。


「嘘でしょ」


 アカリは、その警告が信じられず呆然とそう呟いたがそれを否定するかの様に今も鐘の音、警告の声、そして…………


「いやぁーーー!!」

「魔王が、魔王が来たぞーーー!!」

「クソ!どけよ!!」

「落ち着いて避難してください!皆さん落ち着いて!」

「ママ~!パパ~!何処~うえぇぇん!」


 警告が鳴り出して少ししか経っていないというのに窓の外は既に阿鼻叫喚の惨状に変わり果てていた。


 ※※※※※


 俺は、自分が見ている光景が信じられなかった。

 だってそうだろ。

 誰が信じられるって言うんだ。

 あと少しで門番の仕事が終わると俺は思っていた。

 同僚だってそうだ。

 いつもと同じで、交代の奴が来たら帰りに酒を飲みに行こうと駄弁っていた。

 なのによ、ついさっきまで何も無かったはずの場所に突然夜の暗闇よりも更に黒い闇が広がったと思ったらそこから数え切れない程の大小様々な魔物が現れるなんて。


「ちくしょう。もう駄目だ」

「諦めんな!もう少しで冒険者と領軍が来るはずだ!ここで、諦めたら本当にこの街が終わるんだぞ!」

「だけど、コレを見ろよ!どうしろって言うんだよ!」


 城壁上に居る俺達の目の前には、見えるだけでも軽く1000を越えている。

 そう、見える範囲だけでも最低でも1000体もの魔物が居るのだ。

 それだけでも、絶望的なのに大群の中にはゴブリンナイトにゴブリンキング、オークジェネラル、スケルトンナイト、スケルトンジャイアント等の進化個体が数多く居るのだ。

 そして、現在大群の魔物の中でも10メートル近いサイズを誇るスケルトンジャイアントが片手に骨で出来ていると思われる武器を手に城壁を壊そうと暴れ他の魔物達もそれに続く様に鉄格子で閉ざされている城門を破壊して街の中へと侵入しようとしていた。


「こんなの、どうすれば良いんだよ」

「俺だって、そんなのわかんねぇよ。だけど、諦められねぇだろうってうわ!?」

「おわぁ!?」


 俺達が、そんな言い争いをしてる間も魔物達は暴れ続け遂にスケルトンジャイアントの攻撃により大きな振動と共に城壁の一部にヒビが入った。


「おい。不味いぞ!これ以上攻撃が続いたら城壁が持たない」

「そんなんわかってる!だけど、俺達じゃあんな奴の攻撃防ぎようがないだろ!」


 俺達は、自分達の無力差を呪いながら魔物達の攻撃を眺めるしか出来なかった。


「クソッ!!本当にもうどうしようもないのかよ…………ん?」

「おい、どうした…………?何か聞こえる?」


 俺達は、何処からか魔物の暴れる音以外の何かが聞えてきた。

 それは、段々大きくなりその音が何か直ぐにわかった。


「~~~~~シャオラアアアアアアァァァァァッッッ!!!!!」

「「ハアッ!?」」


 聞こえてきた音。

 それは、何故か上空から落下してくる少女の雄叫びだった。

 しかも、その少女は何処からか巨大な大鎚を取り出し落下しながら振り上げ…………


 ドッガアアアアァァァァンッッッ!!!!


 たったの一撃でスケルトンジャイアントを粉砕し撃破したのだった。


「「…………ハアァァッ!!!??」」

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