第10話 その頃のクラスメイト達
「……何処だ……ここは」
俺、
どういう事だ?
何で俺は、こんな場所で寝ていたんだ?
確か俺は、いつも通り学校に行って…友人とHRまで適当に話をしていて…………はっ!!
「そうだ、突然教室が謎の光に包まれて……はっ!!他の皆は!!」
俺は、謎の光にクラスメイトの皆も巻き込まれてた筈と辺りを見回す。
「うっ……う~ん」
「ん~~ぁれ?…ここ何処?」
「ぅん~~~~グゥグゥ」
「……ぁ"あ"?何処だよ、ここは」
「ん?……これは」
すると、やはりと言うか見慣れたクラスメイトの姿があり、徐々に皆眠りから覚め始めていた。
「どうやら、飛ばされた?のは俺だけじゃなかったんだな。……それにしても」
俺は、自分が目覚めた場所を見回しながら観察する。
そこは、俺達のクラス30人が余裕で収まる程の広さがあり、建物全体が白い石材で造られていた。
建物の高さは目測で14、15メートル位あり、天井部分には、まるで聖母の様な幻想的な美しい女性を模したステンドグラスが嵌められていた。
まるで、教会みたいな場所だな。と俺がその様に考えていた……その時
ギイーーッ、という音が聞こえてきた。
「「「「「「!?」」」」」」
俺、そして目が覚めたクラスメイトの皆も聞こえてきた音に驚きながら、音の発生源……建物の唯一の出入口であるドアへと視線を向ける。
そして、音の正体……ドアを開けて入って来た者達が俺達の目の前に現れる。
その姿は、全員が一様に真っ白な布地に所々が銀や金の装飾を施された法衣の様な服を着ている5人の40、50代位の男達だった。
そして、男達は俺達に気付くと5人の中でも装飾が華やかな男が笑顔を浮かべながら、謎の言語で話し掛けてきた。
「ようこそおいでくださいました。勇者の皆様。」
は?……勇者だって?
それって、俺達の事を言ってるのか?
というか、今話した言語は何語だ?
それに、何で俺はそんな言語を聞き取れるうえに理解出来たんだ。
突然の勇者扱い、そして、自分の身に起きている現象に困惑するが、男達は俺達の現状について何か知っている様に感じる。
なので
「あなた達は、何者だ。そして、ここはいったい何処だ。何故、俺達を勇者と呼ぶ」
警戒しながら今しがた理解した言語を使い、男達に疑問をぶつけた。
「疑問に思うのも当然でしょう。どうぞついて来て下さい。別の場所に話し合いに適した部屋があります」
しかし、答えは帰ってこず先程話し掛けてきて男がその様に言い身を翻し歩き出す。
恐らく、その部屋に案内するつもりなのだろう。
どうするべきかと思い皆の方に顔を向けると、皆も困惑しながらも頷き返してくれたので男達について行く事にする。
「いったい、これからどうなるんだ」
困惑により、俺の口から意図せずそんな言葉が出るのだった。
※※※※※
建物から出た俺達は、現在別の建物内の長い廊下を歩いている。
正直建物から出て歩いただけなのに、既に疲れつつある俺だった。
何故かって?
ここに来る短時間の間に見たモノが半端なさすぎて精神が殺られそうなんだよ!!
ハァ~~、頭が痛くなりそうだ。
今の所わかった事だが、ここはまず俺が暮らしている日本ではない。
そう思った理由だが、まず最初にいた建物から出た際に見えた光景がとてもじゃないが日本じゃあり得ない光景だったからだ。
視界の先に見える街並みは、俺が暮らしてる都内の高層ビルやマンションが建ち並ぶ様な景色ではなく、中世ヨーロッパの様な昔ながらのレンガや木材を使った建物が建ち並んでいた。
それだけでも、十分に驚きの光景だったのだが、何よりも驚いたのは、俺達が出た建物の横に建っていたのが見上げるほどに大きい………………城だった。
そう…………城だったのだ。
日本にある様な日本式の物ではなく、西洋の石材で造られる様な大きな城。
こんなもの日本にある筈がない。
あったら1度や2度は、テレビや雑誌で見たことがあっても良い筈だが、こんな城や街並みは見たことがない。
なので、俺はこの時点で日本ではないだろうと確信した。
そして、そんな場所に飛ばされ?俺達が今現在歩いているのが、今いった城の中にある廊下だったりする。
「ハァ~どうなってんだ」
「おい、大丈夫か勇輝」
「あ、将吾」
ため息をついていた時、背後から聞き慣れた声が聞こえ振り替える。
そこには、思った通り茶髪でガタイの良い見た目ヤンキーな幼馴染みの
「ちょっと驚き過ぎて疲れがな」
「まぁ、確かにな。それより勇輝……これどう思う?」
将吾は、苦笑いしながら同意した後、真面目な顔になり聞いてくる。
これ、とは恐らく今の現状の事だろう。
「わからない。少なくともこの場所が日本ではないと俺は思う」
「だよな、俺もそう思う。……なぁ、かなり突拍子もない事を言うんだがもしかしてここって異世界ってやつなんじゃねえか?」
「異世界?」
「あぁ、前にアイツに借りた漫画とかで今の状況に似た場面があったんだよ。それに、あのおっさん俺達の事を勇者とか言ったじゃねえか」
「確かに、困惑してて考えもしなかったが言われてみたらアイツの読んでたラノベや漫画に似てるな」
俺が将吾とそんな事を話ていたその時
「勇輝君、将吾君」
「噂をすれば来たな」
「あぁ、そうだな」
俺のもう1人の幼馴染み黒髪瓶底眼鏡がトレードマークの
「どうしたんだ亮介」
「もしかして何か気付いた事でもあったか」
俺と将吾が聞くと亮介は頷きながら口を開いた。
「あぁ、1つ気付いた事があったのと天之君に伝えることがあってね」
「流石だな、もう気付いた事があったのか」
「あぁマジで、俺達何てここが異世界なんじゃね?くらいしか思い付いてねえのによ」
俺と将吾は素直に凄いと言うが、亮介は首を振りながら否定する。
「いや、これに関しては建物から出たのが僕が最後だったからわかっただけ。それと、僕もここは異世界だと思うよ」
「そうか?、けどよいったい何がわかったんだ?それに、天之に伝える事って」
「ゴメン、わかった事に関してはクラス全員で落ち着いて話したいから。それで、天之君に伝えたい事ってのはね今からある話し合い、クラスのリーダーな天之君が中心になると思うから話は天之君が受け答えして欲しいんだ。ワンチャン王様とか出るかもだけど、漫画じゃないし出てくる確率は低いと思うから頑張ってね」
「なるほどな、わかったやってみるよ」
俺が、亮介の要望に答えた時…………
「皆様、部屋に到着しました。こちらの部屋へお入り下さい」
タイミング良く目的の部屋へ到着した。
さて、いったいどんな話が始まるのやら。
※※※※※
俺達が通された部屋は、かなり広い会議室の様な部屋で中には楕円形の大きな机が置かれ、既に何名かの人がおり、特に豪華な服を着た貫禄のある男性と俺達と同じくらいの歳の物凄い美少女を中心に奥から備え付けの椅子に座っていた。
「勇者様方、どうぞこちらの椅子にお座り下さい」
「はい、失礼します」
俺達は、言われた通りに椅子に座る。
そして、それを合図に話し合いが始まった。
「異世界の勇者諸君、私の名は、ガゼウス=アストレア。アストレア王国の国王をしている。此度は、我々が行った勇者召喚により迷惑を掛けた事を詫びよう。すまなかった」
開口一番に豪華な服を着た男が爆弾発言をしてきた。
俺達は、確かに異世界じゃね?
とは、確かに考えてたがまさかの話し合い初っぱなから"ここは異世界ですよ"と予想が肯定されてしまうとは思いもしなかった。
しかも、この男今自分の事を国王とか言わなかったか?
俺は、何かの間違いじゃと思いながら周りを見ると他の人達が慌ててるので聞き間違えではなかった様だ。
いや、亮介には、「ワンチャン王様とか出るかもだけど、漫画じゃないし出てくる確率は低いと思うから頑張ってね」とか言われたけど、普通に出てきたんですけど!?
は、ははは…ま、マジか……俺今から国のトップと話をしないといけないのかよ。
「あ、え~と、ガゼウス陛下?他の皆様も動揺されて
ますので頭を上げて下さい。それよりも、どうして俺達を勇者召喚?されたのか教えて貰えないでしょうか」
俺は、動揺を何とか意地で押さえ込み俺達全員が気になっている事を質問する。
「そうか、うむ。すまんなそなたらを召喚した理由を話すとしよう」
そして、ガゼウス陛下は俺達を召喚した理由を話し出した。
今から数百年前、この大陸に2体の強大な力を持つ魔物がいた。
1体は、魔王と呼ばれる魔物。
多種多様な魔物を従え大陸の様々な場所に現れては破壊の限りを尽くしたという。
もう1体は、血の女王の異名を持った吸血鬼。
魔王に匹敵する力を持ち数多くの眷属を率いて一夜で大国を滅ぼしたと言われる。
そんな厄災のごとき2体が、かつて何度も大陸でぶつかり合い人々は絶望に包まれていたそうだ。
しかし、絶望に包まれる人々に対し悲しんだ女神様により、1つの希望の光が生まれた。
それが…………勇者。
勇者は、女神様より授けられた聖なる力で2体に対抗し何とか倒す事が出来大陸に平和をもたらした。
だが、現在再び大陸に魔王と呼ばれる魔物が現れて魔物を従え暴れている。
しかし、かつて魔王を倒した勇者は、既にこの世におらず新たな勇者が現れる事はなく自分達では、魔王に対抗する事は出来なかった。
苦肉の策としてかつて王国の大魔法使いが編み出したという勇者召喚で異世界より勇者を呼び出す事にした。
「本来なら、我々の世界の事は我らが解決すべき事だが、魔王の力は強大ゆえ我らではどうしようもなく異世界よりそなたらを召喚する事にしたのだ。そなたらからすれば、身勝手極まりない行為なのはわかる。だが、この大陸に暮らす民の為、どうか我々に力を貸してくれないだろうか」
ガゼウス陛下は、俺達を召喚した理由と経緯を話し再び頭を下げてきた…………しかし
「ガゼウス陛下……スミマセン、俺達も突然の事過ぎて頭が混乱しているんです。なので、この返事は後日させて貰えないでしょうか。一度友人達としっかり話し合いたいんです」
俺は、答えをこの場で答えず先延ばしにした。
「自分達の命が懸かっているゆえ、今すぐ答える事が出来ないのも仕方なかろう。うむ、では後日返事を聞かせてくれ」
ガゼウス陛下は、怒るでもなく納得し俺の返答を了承してくれた。
「そなたらも疲れたであろう。今回は、これで話し合いを終えよう。クロード、バゼット、勇者の方々を部屋へお連れしろ」
ガゼウス陛下が自身の背後に立つ2人の男女に声をかけ2人が俺達の前まで進み出てきた。
「承知しました。……勇者様、部屋まで案内させて頂きます。近衛騎士団団長を務めるクロードと申します。そして、こちらが」
「同じく近衛騎士団副団長を務めるバゼットと申します」
男性がクロードさん、女性がバゼットさんの様だ。
「それでは、案内します。ついて来て下さい」
「はい、お願いします」
そして、俺達は無事?話し合いを終え俺達が泊まるであろう部屋に案内された。
※※※※※
「ハァ~~緊っ張した~~!!」
「はは……お疲れさん」
「悪かったね。まさか国王本人が出てくるとはちょっと予想外だったよ」
現在俺達は、城にある寮?の様な場所に男女に別れて案内された。
1部屋3人なので俺達は幼馴染みトリオで部屋に入らせてもらった。
「そろそろフロアに行こっか」
「ん?確かにそろそろ皆も集まってるかもね」
「あぁ~~たしかに」
実は、別れる前に皆には寮のフロアに集まる様に言ったのだ。
なので、恐らく皆もそろそろ集まってる事だろう。
そう思い、フロアに行くと。
「遅いぞ、リーダー。もう、皆集まってるぞ」
「え、マジで皆早いな。それじゃあ始めるか」
そして、俺達はこれからどうするか話合った。
まず、皆はもうここが異世界なのに疑問を持っておらず異世界に召喚された事を理解していた。
そして、国王の願いをどうするのかだが、これに関しては反対が大半だった。
俺も、これに関しては自分だけならともかく、皆を無理やり巻き込んでまで助けるのはどうかと思っている。
しかし、亮介は違った。
「これに関しては、乗っておいた方が良いと思う」
「え?どうして?」
クラスの女子の1人が亮介の答えに聞き返した。
「向こうの雰囲気的に本気で困ってるみたいだし、直ぐに無茶な事はしないと思う。それに、仮に日本に帰れるとして向こうの協力が不可欠だろうし機嫌を損ねるのは良くない」
亮介の答えに全員は「……あ」と理解する。
しかし、亮介の話はまだ終わっておらず話を続ける。
「それに、皆は気付いてるかな。…………足りてないんだよ」
「足りてない?何の事だ」
俺、そしてクラスの皆は、亮介の話が理解出来ず俺は亮介に聞き返す。
「だから、1人足りてないんだよ」
「1人って…………まさかっ!?」
俺は、ようやく亮介の話を理解しフロア全体を見渡し今になって気付くことが出来た。
「…………居ない」
「そう、神白さん………神白緋璃さんが居ないんだ」
皆は、その話を聞いた瞬間自分達の周りを見渡し気付く。
「マジだ……居ない」
「え、嘘でしょ、神白さん……何で」
「嘘……緋璃」
「マジかよ……マジで居ねえ」
その事実に気付きフロアは驚愕に包まれる。
「目覚めたあの場所には、神白さんは居なかった。もしかしたら、誰よりも早く目覚めて出ていったのかもしれない。だけど、それはいくらなんでもあり得ないと僕は思う。もしかしたら、神白さんはこの世界に喚ばれなかったのかもしれない。だけど、神白さんは教室の中に確かに居た。皆もそれは、覚えてるでしょ?」
亮介の言葉にクラスの皆は、頷いていた。
「だったら、僕は神白さんもこの世界に……何処か別の場所に居るんじゃないかと思うんだ。僕は、この世界云々よりも、そんなクラスメイトを僅かな可能性があるなら見つけてクラス皆揃って帰りたい」
俺達は、その言葉に自然と顔を合わせ頷く。
皆の心は決まった。
俺は、皆の心を代表し言葉にする。
「あぁ、そうだな。俺達も帰るなら皆揃ってが良いに決まってる。…………そうだろ皆!!」
「当然だ!!」
「ええ!!必ず見つけてやるわ!!」
「当たり前よ!!見つけ出して一言文句言ってやるんだから!!」
「ああ!!皆揃って日本に帰ろうぜ!!」
皆は、俺の問いに答えていき、フロアは熱気に包まれていく。
「それじゃあ皆!!俺達の今後の目的だ!!神白さんの発見を第一!!そして、日本に帰る為に魔王をぶっ飛ばす!!これを目的とするそれで良いか!!」
俺の宣言に対し皆は………………
「「「「「「おおおおおおおおおーーーーッ!!! 」」」」」
確固たる意思を宿した声をあげた。
そして、後日俺達クラスメイト一同はガゼウス陛下の願いに対して引き受けると答えるのだった。
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