第3話 女神はせっかちで俺はハズレ枠だった?

そして一瞬の暗闇の後、古代ギリシアの神殿の様な場所に立っていた。


服装が死ぬ前のスーツ姿だったが、イキナリズボンがずれる。

よく見たら上着もブカブカだ、これってもしかしてと身体を弄ってみたら、やはり若返っていた。

ヒゲもなくてツルツル、身体も細い。

身体の感覚が鋭敏で、確かに若い頃はこんな感じだったと思い出す。


ズボンを締めなおして、靴がブカブカになっていることにも気付き舌打ちをすると、不意に背後から声が掛かった。


「あら、随分可愛くなっちゃって、でもワタクシはおじさまの方が好みだったのに」


声の方に向くと、銀髪が腰まで伸びており、翠のきれいな瞳の西洋風なお姉さんが居た。


「来てくれてありがとうね、時間が無いから少ししか会えないけど、あなたに加護を授けようと思います」


「あの、もしかして賢神様でしょうか?」


「そうよ、ワタクシが賢神です。

ワタクシの世界の人間は知恵を怠り、力のある勇者ばっかりを召喚して無駄に神力を消費しています。

闘神、戦神も何か考えている様ですが、ワタクシはあなたの様に知恵と工夫で逆境をなんとか出来る人間こそがこの世界を救う事が出来ると信じております。

既にそちらの世界の主神様より恩恵は得ている様ですが、ワタクシからは元素魔法と高速処理思考、無限収納を授けます。

これから召喚者の元へ送りますが、貴方は自分の正しいと思う行動を取りなさい。

ワタクシはいつでも貴方のことを見ていますわよ」


一方的に話され、また景色が暗転する。

「ちょっと、まだ聞きたいことが!!!」


今度は石造りの大きな部屋中に居た。


「おおっ!また新たな勇者が来られたぞ!」


なんか漫画に出て来そうな貴族風の服を着た人達が沢山いる、他には鎧を着た騎士らしきヤツ等、明かりがランプだが今は昼らしい、部屋の中が薄暗いのは窓を閉めているせいか?

窓も木で出来ているようだ、確かに文明は中世といったところか・・・


どうやら俺以外にも同時に勇者召喚されているらしい。そう言えば神力を使ってとか賢神が言ってたっけ。


「なぁんだ、この坊主は、本当に勇者なのか?服装も変じゃし、ステータスを見せてみろ!」


身長が2メートル近くある、筋肉質で金髪で髭のオヤジが声をかけてきた。

金属の全身鎧に剣を腰にぶら下げている、あ、俺って何も装備もらってないじゃん。。。


ステータス?ゲームとかのアレか?とか考えていると突然半透明な画面が空中に表示された。

ナニコレゲーム仕様?


***

ジル・イツカ 男 ヒューマン 15歳


称号:『ハッカー』『賢神の勇者』


スキル:【言語理解】【肉体強化】【格闘適性】【自己再生】【ハッキング】【元素魔法】【高速処理思考】【無限収納】

ステータス:

肉体:万全

精神;異常なし

攻撃:15

防御:5

弱点:特になし

***


名前が変わってる、バグじゃね?


格闘適性は昔習ってた空手と古武術かな、賢神の勇者って、あの女に召喚されたからか?


ステータスが超少ないんだけど、んでこれって他人にも見えるのかな?


「ふむ、どうやら見えているようじゃな、ではそれを皆にも見えるように念じろ」


言うとおりに念じてみると、どうやら他人にも俺のステータスが見えるようになったらしい。俺のステータスを見て、貴族らしい服を着た奴等があからさまに落胆する。

鎧を着た他の勇者ぽいのや騎士っぽいのは苦笑している。


この攻撃とか防御の数字のせいなのか?

いきなりハズレ勇者枠か?

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