メルボルンムーヴ

 絶賛メルボルンムーヴが来ています。

 というのも、かしこまりこ様の『最高のシナリオ』とエッセイ『カクヨム失敗日記』『カクヨム旅行記』を読んで、メルボルンにすごく興味を惹かれてしまい、

 Amazonで『令嬢探偵ミス・フィッシャー 華麗なる最初の事件』(ケリー・グリーンウッド著、高里ひろ訳、mirabooks)を買いました。

 まだ最後まで読んでないけど、ミスフィッシャー面白い……けど1920年代で、性犯罪や堕胎、性差別や抑圧された女性の話がてんこもりなので、割としんどい。みぞおちグルグルする。ドクター・マクミランとフライニーの掛け合い、ドットとフライニーの掛け合いでなんとか乗り切ります。


まりこ様の作品はこちら↓

『【完結】最高のシナリオ』https://kakuyomu.jp/works/16816452219490310394

『【完結】カクヨム失敗日記』https://kakuyomu.jp/works/1177354054918892319

『カクヨム旅行記』https://kakuyomu.jp/works/1177354055079224509


 んで、私、メルボルン含むオーストラリアについて調べていたのです。今までなんも知らなかったからゼロからのスタート。

 オーストラリアってこんなに日本と因縁、いえ深い関係があるんだなあ……とびっくりしましたが、今回はそれは置いておきます。


 今回は、『最高のシナリオ』を読んで、あのセリフってこういう背景があったん? という驚きエッセイです。

 なので、今回の話はぜひ『最高のシナリオ』を読むことをお勧めします。








 最初オーストラリアは、イギリスの流刑地でした。

 ちゃんと説明すると、「遠すぎて誰もオーストラリアに行きたくなかったから囚人をぶっ込んで町を作っていた」です。なので、貧しさゆえにパン一切れを盗んでオーストラリアに流された、なんていう人もいたのです。なんちゅーいちゃもんじゃ。

 この始まりが、1788年。アメリカが独立宣言を行って10年以上(1776年)、ドーバー海峡の向こうはフランス革命(1789年)が起きる直前。ヴィクトリア朝になる約50年前の話です。


 ところが、それから60年後の1848年。アメリカのカルフォルニアで金鉱が発見され、ゴールドラッシュが起きます。そして3年後、オーストラリアでも金鉱が見つかりました。

 オーストラリアでもゴールドラッシュが起きたことで、自由移民が激増。人気のないオーストラリアはいくつかの都市を作り急激に栄えました。

 その一つが、メルボルンです。

 ちなみに、小公女セーラは1885年、同じくイギリスの植民地だったインドのダイヤモンド鉱山の話なので、同時代なのですね。まだ読んだことがないんだけど(うおい)。

 一方で、オーストラリアでは深刻な労働不足が起きます。金鉱で大人気ならなおさらです。

 そこでオーストラリアはどうしたかというと、低賃金で働かせることができる中国人・インド人をたくさん雇いました。

 ……おっとここで中国人が出てきたぞ。ルーシーの祖先かもしれないと思った私。


 中国の鉱夫はそれはもうまじめに働きました。安い賃金でこき使われよーが人より仕事をし、酒や娯楽に使うこともなく、故郷にいる家族に仕送りました。

 が、これがヨーロッパ系鉱夫たちの憎悪を駆り立てた。

 仕事を「安い賃金で働く、リーダーの言うことをちゃんと聞いて、まじめに日々を過ごす評判のいい中国鉱夫たち」にとられた結果、彼らの賃金が低下。おまけにあれだけ取れば金の採掘量も減少するわ、ということで、雇用も切られる人々が続出。


 各地でヨーロッパ系鉱夫による中国人襲撃事件が多発、という事態に。


 母に尋ねたところ、

「多分、『長く休むことなく働く』を美徳にする儒教VS『仕事しすぎは罪! 休息日は絶対働くな!』のクリスチャンでバトったのでは」とのこと。

 現在だと後者の「働きすぎはダメ絶対」のほうが正しいと思いますが、それにしたってこれはどうよ……。まず中国鉱夫たちの賃金を上げることが先なのでは(日本も人のこと言えないけども)……。




 が、「余所者に仕事をとられる」と思うと、排除する動きになるのは、現在も昔も変わらないのでしょう(先住民からしたらおめーらも余所者やんかと思うけど。日本は人のこと言えない所の話じゃないけど)。

 植民地政府は中国人排斥運動が起こると、『中国人移民制限法』なるものを成立。

 やがてこの「中国人移民問題(つまり排斥を主とする動き)」は、オーストラリア連邦を作る最大のきっかけ(1901年オーストラリア連邦成立)、

 さらにはつい最近(1970年代)まであった「白豪主義」を作ることになってしまったのです。





 こういう背景を知って、ルーシーの、

「お金のために働いてるうちは、まだまだよ。不労所得増やして、もっとお金に働いてもらわなきゃ(『第22話 ルーシー来日』)」

というセリフが、すごく印象的に思う私なのでした。

 働くってなんだろうね……。



【参考文献】

石出法太、石出みどり2009年『これならわかるオーストラリア・ニュージーランドの歴史』大月書店

Wikipedia「白豪主義」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E8%B1%AA%E4%B8%BB%E7%BE%A9#:~:text=%E7%99%BD%E8%B1%AA%E4%B8%BB%E7%BE%A9%EF%BC%88%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E7%99%BD,%E3%81%AE%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%96%B9%E9%87%9D%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%80%82

(最終アクセス2021年10月2日)

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