花金『鍵』(もはや日曜の夜だよ)

 あの、白くてやわらかい腕は、握るとどれだけ沈むのだろう。

 そんな彼女の腕は、まるでピアノを弾くかのように、キーボードを打ち込んでいる。


「……ここを踏むと、データが飛ぶ仕組みね……だとしたら……」


 ブルーライトに照らされた彼女の横顔は、アクアリウムのように幻想的で美しい。赤い唇は、熱帯魚のような華やかで優雅な色を連想させる。

 だが、彼女が美しいだけかはーー今、開かれた画面を見ればわかるだろう。

 彼女は仕組まれたトラップを次々とかわしていく。


パスワードは……〈Harmful〉。これでおしまい」


『い』のところで、彼女はEnterキーを叩いた。

 どうやら、アクセス出来たようだ。


「流石ですまりこさん! トラップだらけのセキュリティを、こうも短時間で終わらせるなんて!」


 まりこさんはこちらを向き、女神のように微笑みながら、こう言った。



「どれだけ強固なセキュリティでも、穴はあるのよ。神楽耶くん。




 ええ、穴はあるの。レンコンみたいにね……」




「…………一つじゃないってことっすね。穴」





 風が吹いた。

 空調は切っておいたはずなんだけど。



お題【鍵】


レギュレーション

・やわらかい

・アクセス

・有害


かしこまりこ様、神楽耶夏輝さま。

勝手にお二人を登場させてごペンなさい。

あなーのあいた、レンコンさんっ♪


今回の花金はこちら

https://kakuyomu.jp/users/onestory/news/16816700427593756268#comment-16816700427659483941


来週の花金はこちら

https://kakuyomu.jp/users/onestory/news/16816700427616185940

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