伊万里焼・有田焼の歴史②
始まりはとても暗い話でしたが、ここからが伊万里焼・有田焼の歴史です!
朝鮮からやって来た、陶工技術。
(古墳時代の土師器とか須恵器とかも渡来人が持ってきた技術なんですが)
李参平ーー日本名は「金ヶ江三兵衛」ですが、佐賀ではどっちかというと李参平の方が通ってますーーにより、陶石の採掘場『泉山磁石場』が発見されます。これが有田で磁器が作られた理由です。
今はもうすっからかんで、天草の方から採掘されているのですが、当時の有田ではそれはもうたくさんの上等な陶石がとれました。
陶石とは、温泉の作用でなんかこう……上手い具合に出来た石なんだそうです! 『ブラタモリ』で言ってた!
もうちょっと具体的に説明すると、陶石にはガラス成分が入ってるんです。だから土で出来た陶器より、砕いた陶石を練った土で出来た磁器の方が硬く、半透明で白いのです。
この有田の磁器生産は、波佐見などにも広がります。よく伊万里焼や有田焼と波佐見焼の違いがわからん、と言う方がいらっしゃいますが、そもそも出発点は同じです。
ただ、波佐見は民間用に作られていましたが、佐賀の方は藩主や幕府に献上するような高級品を作っていました。これらは『鍋島焼』と言います。先程言った、伊万里市大川内山で主に作られていました。
鍋島焼と言っても、窯元名ではないので(そもそも窯元名のブランドが出来たのは明治以降)、もし皿の裏に『鍋島焼』とか書かれてたら100パー偽物です。
鍋島焼は、「サイズがめっちゃ厳格に決められている」「色絵は三色が基本」「金箔は原則使わない」「高台(お皿の裏に着いた奴)は均等な櫛文様」と、ルールが厳格に決められています。
まあそれ以外は、波佐見も有田もテキトーと言うか。波佐見焼って名前つけられたのも最近というか。どっちも同じ港から輸出されていました。
伊万里港から輸出された焼き物、これを総じて『伊万里焼(古伊万里)』と言います。なので、この時は波佐見焼も伊万里焼も有田焼も「古伊万里」なわけです。
伊万里港から出た船は、大阪、江戸、そして、出島を通して、オランダからヨーロッパへと広まっていました。
元々、ヨーロッパで有名な磁器と言えば、中国の景徳鎮でした。すっごく薄いヤツ。卵の殻みたいに。
ところが17世紀中期、中国では内乱の影響により、海外への輸出が出来なくなります。
これに困ったのがヨーロッパ王侯貴族たち。
「なんとか、なんとかして東洋の磁器が欲しい!」
そこで、ほぼ技術的に遜色のない伊万里焼の登場です。江戸時代の日本は鎖国していましたが、唯一出島は、オランダとの貿易が許されていました。オランダ東インド会社(VOC)は、これを各ヨーロッパ王侯貴族たちに売りつけます。
つまり鎖国していても、オランダを通じて、佐賀の古伊万里はヨーロッパに流通していたのです。そしてオランダはヨーロッパの中でウハウハと儲けていました。まる。
伊万里焼の流通は、1670~80年代に最盛期を迎えます。それが特に反映されているのが、ドイツのシャルロッテンブルク宮殿の「磁器の間」です。
Wikipediaで「磁器の間」見ました。やっべぇ(戦慄)。
なんなのこのキラッキラ空間。ヤベェ()。
当時ドイツには、フリードリヒ一世と呼ばれる王様が君臨していました。
世界史は古代中国止まりの私にはよくわかりませんが、
その辺はきっと、これを読んだゆうすけ様がコメントで補足してくださるでしょう……(-人-)
そんなフリードリヒ一世が、妻のゾフィー・シャルロッテに与えたのが、シャルロッテンブルク宮殿。シャルロッテンブルクとは、奥様の名前からつけられたものなんですね。
このように、当時のヨーロッパでは、磁器は「白き黄金」と呼ばれ、
蒐集の執念のあまりに、「磁器病」なんて揶揄されることもあったそう。
そしてそれらは、消費者側だけでなく、生産者側にも影響を与えます。
ドイツのマイセン窯、フランスのシャンティー窯、イギリスのチェルシー窯、ボウ窯……これらの有名な窯は、盛んに伊万里焼を真似て作っていました。
その辺の事情は、「佐賀県立九州陶磁文化館」に行くと、とっても分かりやすく説明されているから、コロナ終わったらぜひ来てね☆
やがて中国のゴタゴタも終わり、伊万里焼の生産は徐々に景徳鎮に押されていくのですが、その憧れの火種は、パリ万博やウィーン万博まで残っていたのです。
もし、中国の内乱がなかったら、伊万里焼はここまで有名にならなかったかもしれません。
その時日本は、万博で何を持っていくことが出来たでしょうか?
伊万里焼キッズサイト「中国の内乱と伊万里焼発展との関わり(景徳鎮と伊万里焼)」
http://www.school-imari.ed.jp/jouhou/kidssite/tyuugokunonairan/tyuugokunonairan.html
(最終アクセス2021年7月28日)
佐賀県立博物館2020年『佐賀県立博物館50周年特別展 THIS IS SAGA-2つの海が世界とつなぎ、佐賀をつくった-』
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