第5話 ガギの逃走
輸送車。
ガギは手錠をかけられて
輸送車でガタゴト揺られていた。
ガギは綿あめのような香りをしていた。
「盗みそこなったのは
今日で1000回目だな。」
ガギの隣でパケジが気持ちよさそうに言う。
やっと指名手配の一人を捕まえられたのだ。
「いや、今日で1081回目だ。
あのケダモノ、節操なく食いやがる。」
「なに!お前そんなに…」
そんなに事件を起こしてたのかと言おうとして、
パケジは息を飲んだ。
パケジの額に冷たい銃口がピタリとつきつけられていた。
トウマの夢にアイツが現れたのは
この時が最初だった。
それから毎日現れる。
最初は夢の中の知らない人だと思って
気にしなかった。
でも、ピエロの派手な恰好が目立つので
つい見てしまった。
その時、夢の中で目があう。
鳥肌がたった。
ピエロは歯を見せて、にたぁと笑った。
ピエロは手錠をかけられていて
銃を手に持っていた。
どこかから逃げてきたのだろうか。
ピエロは足を引きずりながら歩いてきた。
「俺様が見えんだろ?はずせよ。」
有無を言わさず、鍵を渡された。
甘い綿あめの香りがする。
「あんまり嗅ぐな。催眠ガスだ。」
震えながら手錠をはずした。
手錠がはずれると、
ピエロは鍵を持ったトウマの手を
そのままおしりのポケットに入れた。
吐き気がしてぐらっとなる。
気がつけば、トウマは布団の中にいた。
「寝てたのか。」
手が生暖かい気がする。
目をこすろうとした時に手が重かった。
堅いものが顔にぶつかる。
トウマの右手には手錠をかかっていた。
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