第10話
少し間をおいてから彼女は目を丸くして驚いた。
ああ……この反応だったらきっと駄目だったんだろうな。
そう思って静かに去ろうとしたとき、彼女が口を開いた。
「あの、お互い名前も知らないので、まずはお友達からでもいいでしょうか……?」
「え、本当にいいの?!」
半分冗談みたいな口調で言ったので、彼女の答えに驚いてしまった。
「は、はい。不束者ですが、よろしくお願いいたします!」
そのセリフって結婚するときに言うのじゃないのだろうか?
なんか……ちょっと照れ臭いな。
「こ、こちらこそよろしく。俺は
「
二人とも自己紹介をしたら、なんだか気まずくなってしまった。
くそぉ……いつも一人でいたからこういう時の場のつなげ方がわからないじゃないか!
俺の小さな脳をフル回転させた俺はピーン! ときた。
そういえば、まだ連絡先を聞いていなかったような気がする。
とりあえず、其れから聞いてみようかな!
「ねえ平井……さん、メールアドレスと電話番号聞いてもいいかな?」
「ふぇ? うーんと……ちょっと待ってくださいね」
平井さんはいきなり聞かれたので驚いてスマホを探していたみたいだったのだけれど、俺もそれと同じくらい、いやそれ以上に驚いてしまった。
だってこの子、小動物みたいに可愛いじゃないか!
「ふぇ」って言ってる女子初めて見たけれど、こんなにかわいいなんて知らなかったぞ?!
それに、平井さんよく見たらめっちゃ色ぞりだし、それになによりも細いし、声可愛いし……めっちゃ可愛い!
「あの……メールアドレスのほうはこっちで、電話のほうが下です」
「ごめん、考え事してて気づかなかったよ~」
「そうでしたか、お取込み中に話しかけてしまってすみません」
「あ……いや、全然平気だから、むしろもっと話しかけてきてくれて大丈夫だからね!」
「そうなんですね、では喜んで!」
彼女はぺこりと頭を下げて静かに去っていった。
俺も頭を下げてからしばらくは彼女のことを目で追いかけてしまった。
「なんか……ものすごくかわいい女の子を当てちゃったのかもしれない!」
平井さんと俺が釣り合うのか疑問に思ったけれど、なによりも彼女と友達になれたのが一番うれしかった。
後は”あいつ”に復讐するだけだ……!
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