退院後の私

いまだに続く体の不調

 無事退院した後は、痛みも無く自宅でひっそりと過ごしました。

 と言いますか、入院中ずっとまともに食べることが出来なかったり、痛みであまり動けなかったので筋肉が落ちてしまったのです。お腹にチューブも生やしたままだったので、大人しくしていました。



 退院してから1週間後

 病院でお腹のチューブを外しました。

 この頃は完全にれは止まり、お薬で痛みを逃すことも出来ていました。

 なのでとりあえずチューブはお役御免やくごめんです。ですがこの開いた穴がなかなか閉じませんでした。体にじゅうぶんな栄養がないと傷のなおりも遅くなると、近所に住んでる看護婦さんが言ってました。




 退院してから1ヶ月後

 胆管たんかんに入れたチューブ(ステント)を胃カメラを飲んで取り出しました。

 このチューブ(ステント)は入れたままだと、チューブの中が詰まった場合が大変です。なのでこの病院では長くても3ヶ月で取ってしまうのだとか。


 胃カメラを飲むときにまたボヤーっとするお薬を使ってもらったのですが、なぜか今回は、それが全く効きません!? めちゃくちゃ痛くて苦しかったです!

 スルーっとなにかが胆管たんかん辺りから抜けて、口から出ていった感触もわかりました。


 効かなかったのですが薬を使っているために終わってからベッドで休みます。すると横になったとたんにフッと意識がとびました。

「なんで今さら……っ!」

 と思ったのは当然ですよね。家に帰って当時まだ生きていた義父に話すと涙を流して大笑いしていました。


 その後の診察で、これで治療は終わりましたと主治医さんから言われました。

 こうして私の病気は完全に完治したことになりました。



 しかしながら、今私は様々な症状に悩まされています。


 最もつらいのは、お腹が弱くなったことです。

 たんのうを取ってしまったためか、たんぱく質や油ものを分解する能力が落ちました。これは個人差があるのですが、私の場合はちょっとひどかったみたいです。

 動物性でも、植物性でもたんぱく質は一緒です。

 お肉とか、チーズや豆腐とか、卵や豆乳でも一緒です。

 食べすぎるとお腹がユルくなりすぎてしまい、おトイレから出られません。

 食べられる上限は今もさぐっている最中ですが、一人前は食べられなくなりました。


 それにお酒もあまり飲めなくなりました。

 ウイスキーならストレートで瓶半分、ビール瓶なら丸々3本、缶チューハイならジュースと同じ感覚、という感じで長女妊娠前までは楽しんでいました。


 ですがこの間13年ぶりに缶チューハイを一本飲んだだけで、手術した辺りが痛くなって困りました。確かにお酒はひかえめに、と言われていたのでアルコールの低いものにしたのですが。

 これからも断酒は続きそうです。



 食べる量も戻っていません。

 約40日もまともな食事をとれなかったため、ごはんを以前の半分くらいしか食べられなくなりました。食べすぎると胆汁漏たんじゅうもれの所が痛んで食べられないのです。そして食べられないので筋肉も落ちました。

 しかも体を作る基礎のたんぱく質も必要最低限もとれないので、筋肉も回復しないまま。

 運動すると具合が悪くなってしまうので無理は出来ません。


 するとますます体力が戻らないので、筋肉もそのままです。

 最初の頃は家事も満足に出来ませんでした。

 今は一人で家事のほとんどをこなせるようになったのですが、ごみ捨てだけは旦那にお願いしています。



 そして、結果的に旦那の仕事の手伝いが出来なくなりました。

 お腹が痛くなっておトイレも近いため、お出掛けが困難になりました。お客様のお宅でトイレにこもるのは失礼ですからね。

 重たいものも持てなくなってしまったので作業も難しくなりました。





 結果だけを見れば『たんのう炎』は完治したと言えるでしょう。

 それを治すために先生方も力を尽くしてくれたと思っています。

 ですが現状は、こうしていまだに苦しんでいる自分がいます。


 この世に、絶対はありません。

 専門であるお医者様でも、見落としや間違いを、するときはするんです。


『自分だけは大丈夫』


 そう思うことは、ごく自然な事なのです。

 ではもし、大丈夫じゃなかったら?

 私の場合は……。



『なっちゃったもんはしょうがない』と割りきってみました!

 さすがにこういう結果が待っているとは思ってもみませんでしたが、確かに手術に合意したのは私自身ですし。『事実は小説より奇なり』と言えるような経験を出来るなんてそうそう無いことですから。

 私が選んだことなのでこれもまた、きっと運命(笑)。


 と、痛むお腹と付き合いながら今日もお酒のコマーシャルを見て『美味しそうだなー』と一人のんきに考える毎日です。

 生活はガラリと変わりましたがこの生活を楽しもうと、今日も元気に家族のごはんを作ります。


 それともし、今流行りの感染症にかかってしまったとしても、必要以上に自分を責めなくていいと私は思います。

 いくら自分が気を付けていても、こうした他人(ウイルス)からの不可抗力ふかこうりょくには勝てませんからね。



 もし皆さまが私と同じような立場に置かれた時は、どうぞ頭の片隅に『しょうがないから、今をもっとより良くしよう』と思ってみてくださいな。

 きっと、何か突破口が開けるようになるかも知れません。

 ……あと、出来るならば事前に病院のサイトの口コミをしっかりと見ることも忘れずに!



 ここまで呼んでくださり、ありがとうございました!



                         -完-













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2泊3日の手術のはずが42泊43日になってしまった私のお話 織香 @oruka-yuno

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