134話

パレードは続き、冒険者が歩く姿が見え始める。


騎士団や団長達が賛辞を受ける中、すこし寂しい気持ちになる冒険者達がほとんどだった。


何故なら王都で誰もしらない冒険者が声を掛けられるとは思っていなかったからだ。ただ手ぐらいは振ってくれるかもと期待する程度であった。


しかし以外に予想を大きく裏切られた。


「見て見て冒険者達が見えたわよ」


「凄~い、あの筋肉」


「見て見て、綺麗なお姉さんもいるよ」


「皆強そうだなぁ~」


「もちろん強いだろう。その強さで街を救ったのだから」


「知ってるか?冒険者は誰一人逃げなかったんだって」


「それにグラス領が沈めばいつか王都も危ないことになっていたと聞いたよ」


「マジか。冒険者の方々有り難う」


「街を守ってくれて有り難う」


「勇敢なる冒険者に乾杯」


始めは個々の特徴だった言葉がいつしか感謝の言葉に変わっていった。


この言葉を聞いた冒険者達は胸を張る者、照れる者、泣いて喜ぶ者など様々だった。

ただ一つ言えることは、多くの冒険者達はこのパレードのことを生涯自慢することだろう。


そしてついにアスラン達が見えると歓声は最高潮に達した。


「ついに来たぞ」


「クロード様~~~。」


「エミリア様~~~。」


もう名前を叫ぶ者で溢れ返った。


そしてここでも一番の完成を浴びたのはエリーナだった。


「キャ~、エリーナ様よ」


「私達のたmrに王女自ら戦場に向かわれたのよ」


「エリーナ様だけは別格だな」


「あ~、一目見れただけで満足」


「キャ~~~、キャ~~~~。」


アスラン達もエリーナの人気に苦笑いである。


もちろん良く耳を澄ませれば、クロードの勇猛果敢な突進や奇跡の世代の集まり、そしてドラゴン討伐覇者のアスランのことなどが話されている。

しかし、エリーナの人気が凄すぎるのだ。


「なあ、聞いていたがエリーナの人気は凄いな」


「だろ。アスランが一番の主役なのにな」


「まあ目立たなくてこれはこれでいいんだが」


「まっ、まってよ。私はアスランが褒められているのを沢山聞きたいのよ。せっかく表舞台に降り立ったのに…」


「まあ今回ばかりはアスランも逃げられないしな」


アスランは苦笑いをしながら伝えた。


「俺さ、フローズンと約束?したんだ。強くなるために妥協しないって。そのために必要なことなら何だって引き受けるさ。それがあいつにしてやれる最後の約束だから」


「アスラン様素敵ですわ。私お嫁にいこうかしら」


「ちょ、ちょっとなに言ってるのエミリア」


「え、何って、私の街を救っていただいた英雄様に私を差し出そうかなと」


「かなとじゃないわよ。どさくさに紛れてとんでもないことを言うわね。アスランも笑ってないで何かいいなさい」


「いいなさいと言われても…。でもやはりこの感じが懐かしくていいよね」


「確かにな。こんな風に話せる俺らはずっと親友だな」


アスランとクロードが拳を合わせるとエミリアとエリーナも慌てて拳を合わせた。


この時偶然に日の光がスポットライトのように4人を包み込み、それを見た住民達が騒ぎだした結果、拍手が巻き起こった。


そして最後に精鋭騎士団が登場すると住民達は精鋭騎士団から目が離せない。


それもそのはず、精鋭騎士団は左手で胸に拳で2回叩き、右手で槍を天にかざした。それと同時に副長が叫んだ。


「我らの英雄に感謝を。リベリア王国に栄光を。我らの勝利は天をも貫き奇跡を呼び寄せた。勝利の二文字として…皆の者お祭りだ~、叫べ~~~~~。」


住民は副長に煽られるように各々が好きに叫びながらパレードを見送った。


いつしかこのパレードの出来事も吟遊詩人によってスタンピードの戦とは別に歌われ、愛され、語り継がれていった。




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