ペアの確定

「確かに、ペア確定書を受理いたしました。ペアのことで何かあれば、事務局にご連絡ください。ペア専用の選択授業等もありますので、講義要項をご確認くださいね」


事務局に着くとすぐに、ペア確定書をサクッと提出されてしまった。担当の事務員さんはクロードにお願いされた途端、秒速で処理をしていた。口を挟む間もないとはこのことである。


「これで僕たちは晴れてペアになったね」


ぎゅっと肩を抱かれ、身体がすくむ。クロードがそのまま歩きだしたので、無理やり連れていかれる形で私も歩き出す。後ろでは、遠巻きに見ていた人々から黄色い声が上がっていた。


「ちょっと、離してっ……!どこに連れていくのですか?」


「んー?二人きりになれる場所、かなー」


そんな場所に連れていかれたら堪ったもんじゃない。必死に抵抗するが、力が強くて抜け出せない。負けじとバタバタ暴れると、ようやく足を止めてくれた。


「ちょーっと暴れすぎじゃない?仕方ないなあ」


クロードが面倒くさそうに地面に手をかざすと、スッと金色の魔法陣が現れた。この魔法は……!


あっという間に光に包まれ、気が付いたら小さな部屋にいた。おそらく練習室の一室だろう。転移魔法をかけられたようだ。あの一瞬で杖も使わずに発動するなんて、やはり魔力が普通の学生とは段違いだ。


状況を理解した瞬間、急な目眩が起き、へなへなとしゃがみ込む。急激な転移に酔ったみたいだ。


トンっと足元に鞄を置かれ、顔を上げるとクロードが呆れた様子でこちらを見つめていた。


「もー暴れるからだよ。座っていればすぐ治まるから」


そう言って椅子をすすめてくれる。


「ここは?」


「魔法実践棟の練習室だよ。人が多いと落ち着かないでしょ」


目眩がマシになってきて、周りをぐるっと確認すると、クロードが私の杖をクルクルと回していた。いつの間に……鞄にしまってあったはずなのに。魔法がかけられている学生鞄は、杖なども収納できる上、他人が開けることは出来ないはずだった。


「リリーの魔法石は綺麗な青色アジュライトなんだねぇ。あ、ピアス出して?」


「はい、っていうか私の杖……」


どこまでもマイペースな人だな。先ほどからクロードのペースに巻き込まれっぱなしだ。げんなりとしながら鞄からピアスを取り出し、差し出す。


クロードは受け取るそぶりを見せず、杖の魔法石をゆっくり撫でながら、


「つけて。ココね」


と、左耳を指差した。

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