新学期準備2

ランディール魔法具店は魔法具の販売と加工を行うお店で、私の杖を買ったところだ。気の良いおじ様が店主をしている。


「おや、お二人さんいらっしゃい」


「こんにちは、魔法石からピアスを作って欲しいのですが、お願いできますか?」


そう尋ねると、おじ様はにっこり笑ってうなずいた。


「ペア用のピアスだね。加工ならすぐ出来るよ」


おじ様に杖を預けてから、15分程で2人分のピアスが完成した。本当にすぐだったけれど、なぜかピアスは片耳ずつしかない。


「あぁ、ペアのピアスは片耳しかないんだ。後輩は右耳、先輩は左耳につける風習があるんだよ」


ピアスを受け取り、不思議そうに眺めている私の目線に気づいたおじ様は、丁寧に説明してくれた。スマートな気づかいに惚れ惚れしてしまう。


「教えていただき、ありがとうございます。ピアスも自分でつけたいくらい素敵です!」


そうお礼を言うと、


「お嬢さん方に喜んでもらえて良かった。また何かご入用の際は、是非お越しくださいね」


と、嬉しそうに笑ってくれた。笑顔が素敵すぎます、おじ様。




魔法具店を出て、他の店で教科書等の買い物を済ますと、すっかり夕方になってしまった。そろそろ帰らなくては。


「マーガレット、今日はありがとう。おかげで少し落ち着いたわ」


「どういたしまして!あのね、リリーが頼ってくれて嬉しかったの。今年度は一緒に学校で過ごすことも少なくなるけど、ずっと仲良しでいてね」


ぎゅーっと抱きついてきたマーガレットと笑いあっていると、本当に少し落ち着いた。マーガレットは気弱な私のそばにいつもいてくれる。


昨年度まではお互いペアがいなかったので、一緒に授業を受けたり、自主練したり、テスト勉強をしていたのだが、今年度からはそれが出来ない。


ペアへの不安、親友と会えなくなる悲しみ、色々な感情がこみあげて泣きそうになってしまった。それに気づいたマーガレットは、小さな紙袋を渡してきた。


「これ、渡しておくね。さっき魔法具店で買っておいたの。シールドの効果を付与してあるわ」


青と黄色の石が散りばめられたブレスレットだ。私とマーガレットの魔法石を模しているのだろう。とても可愛らしい。


「ありがとう、私いつもマーガレットに頼ってばかりで……」


「何言っているのよ。入学テストの時、助けてくれたじゃない。それに、私リリーが大好きだから!」


そう言って笑ったマーガレットの腕には、お揃いのブレスレットが光っていた。




マーガレットと分かれて帰宅した後、家で書類を読み直す。後一週間で始業式だ。しっかりしなくては。もうマーガレットに頼ってばかりはいられないのだから。


もらったブレスレットをギュッと握り、気合を入れた。

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