魔法石が導く運命

@moso_ko

プロローグ

あの時、この男に屈しないでペア希望を取り下げていれば良かった。脅しは「ペア希望取り下げの重大な理由」に該当するだろうに……。後悔とともに杖に魔力を込める。




「ほら、ちゃんと集中して。足元見てごらん、まったく魔法陣が生成されてないよ」


私の腕をつかんで塔の上を浮遊している男は、おかしそうに笑う。足元を見ると、はるか下に地面が見える。怖くて足がすくんでしまう。


簡易浮遊の魔法陣は去年習得したが、地上でしか生成したことがない。こんな空中でいきなり言われても、緊張と恐怖で出来るはずがない。魔力を無駄に消耗しすぎて、全身から力が抜けそうだった。


「クロード、もう出来ませ……」


「本当に出来ないの?本気出さないと落ちて死んじゃうよ?」


口にした懇願の言葉はあっさりと流され、さらに追いつめられる。


「やっぱり痛い目に合わないとダメみたいだね」


男はクスクスと笑いながら耳元で囁き、つかんでいた腕をぱっと離した。


落ちる――




恐怖で意識が遠のいていく。薄れゆく意識の中で、こんなことになった経緯をぼんやりと思い返した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る