第63話 第2層?断念。自衛隊1
結局ずーっと直進していたら、俺のマップの端から上矢印の階段マークが現れた。俺たちはマップを一周してしまったわけだ。
「振り出しだ。階段のあった部屋がマップに現れた。ここから10部屋くらい進めば1周だ。ここまでなん部屋通ってきたかな?」
「確か90?」
「ということは、1周は部屋が100個だか99個ってことか。全部の部屋を見て回るとなると、今の方向は東西方向だから、南北方向にも同じく100部屋あるとすると部屋の数は全部で1万。ちょっと、多いよな。
この層は諦めて、上の階を真面目に探索しよう。
今日はここまで。続きは明日だ」
「はい」
第2層の探索はそこで断念して俺たちは屋敷に転移した。この日の収穫は、
金貨;300枚ほど。
スキルブック:
打撃武器×2
盾術×2
体術×1
片手武器×2
両手武器×1
ダガーナイフ×1
長剣×1
最後に手に入った長剣は立派な鞘に入っていて、抜いてみたところ、素人の俺でもかなりの
普段着に着替えた俺は風呂の準備を始め、華ちゃんは発電機の確認をしたりしていた。
俺から順番に風呂に入って、夕食を食べ、後片付けの終わったリサと一緒に華ちゃんが風呂に入って出てきたところで、この日もケーキを出してやった。
この日子どもたちは前回俺の食べたイチゴショートケーキ。華ちゃんはレアチーズケーキ、リサはモンブランだった。みんな真剣にパンフレットを覗き込んでその日のケーキを決めるのだが、結局全部の種類を試すと思うよ。
錬金工房の中の素材ボックスを調べたところ、牛乳がほとんどなくなっていた。牛乳の成分を考えれば、牛乳も簡単に錬金工房内で錬成できそうだが、何か違うような気もするので、そのうち大量に補充しておこう。
翌朝。いつも通り朝の日課を終え、配達仕事の子どもたちを送り出したところで、華ちゃんに、
「着替えたら、今日もダンジョンにいくぞ」
「はい」
10分ほどで二人そろってダンジョンの第1層、階段のある部屋に転移した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方こちらは千葉県習志野市郊外に出現した第3ピラミッド内に進入し調査を開始した偵察小隊。
最初に隊員の手で、投光器が設置され洞窟内は明るく照らされた。出入り口近くには小隊本部として簡易テーブルが置かれ、通信機器につながったノートパソコンを始め各種の機器が並べられた。
隊員の中には撮影係もおり、そういった作業風景などをビデオ撮影して記録している。
次に数名の隊員が3次元レーザースキャナ型測定機を空洞の真ん中あたりに設置し、空洞の正確な立体測量図面を作っていった。データは有線で第1中隊本部に送られている。採取された岩石サンプルも試料瓶に入れられて、こちらはピラミッドの出口から外に置かれ、第1中隊の隊員の手で中隊本部に届けられた。その後サンプルは、分析のため都内の研究所に運ばれていった。
空洞の壁には全部で6個の穴が空いており、その先は洞窟になっている。偵察小隊では、右手前の穴から順にH1からH6までの名まえを付け、午前1時、6名からなる偵察分隊(第1分隊)をH1洞窟に向かわせた。正式装備ではないが都市部での偵察用に開発された小型ドローンが、分隊に事前に危険を報せる役目を負って、偵察分隊に先行してH1洞窟に入っていった。偵察ドローンの操縦は小隊本部の隊員が行っている。
電波は洞窟内では見通せる範囲内なら届くが、カーブの先などでは届かなくなるため、偵察分隊は、要所に小型の電波中継器を設置しながら先行するドローンを追っている。この中継器により偵察分隊は小隊本部と無線でのやり取りができ、小隊本部からドローンを操縦できる。
偵察分隊の隊員たちは暗視ゴーグルを装備し、武器は小銃と大型自動拳銃、小銃に着剣可能なコンバットナイフ、各種手榴弾などを携帯している。
また、偵察分隊はモンスターに遭遇した場合は速やかに制圧するよう命令されており、死骸回収用にファスナーの付いた厚手のビニール袋も複数携帯している。死骸を収納した回収袋はその場に放置し、別途小隊本部から派遣される回収員が回収することになっているが、モンスターの死骸が想定以上に大きい場合は偵察分隊もモンスターの死骸運搬に協力することになる。
偵察分隊が、H1洞窟に入って10分ほど。分隊は500メートルほど洞窟内に進出している。小隊本部に置かれたノートパソコンのモニターには分隊長の暗視ゴーグルからの映像が映し出されている。ちなみに暗視ゴーグルからの映像は全分隊員から小隊本部に送られてきており、有線でピラミッド外部でバックアップに当たっている第1中隊の中隊本部にも送られている。もちろん暗視ゴーグルの輝度は窟内での発光現象のためかなり抑えられている。
ノートパソコンのモニターを眺めていた偵察小隊の小隊長のもとに、
「小隊長、分隊の前方50メートルに分岐があります。
さらに、H1洞窟前方より4足獣と思われる生物が4体接近してきます。距離は分隊まで100メートル」
と、別のノートパソコンでドローンを操縦していた隊員から報告があった。
小隊長は分隊長に音声通話を入れた。
「前方50メートルに分岐がある。さらにその先50メートルに4足獣と思われる生物が4体。分隊に向かって接近中だ。第1分隊、事前の指示通り未確認生物を制圧せよ」
「『第1分隊、了解』
いま前方より4足獣と思われる生物が4体視認できました。距離は50メートル。
各員、射撃準備! 距離30で射撃開始するぞ』
『
バババ、バババ、バババ。
各員が三点射を2回行った時には4足獣は4体とも洞窟の地面に斃れていた。一部
『未確認生物の制圧完了。
これより、死骸の回収を行います』
分隊長の暗視ゴーグルが射殺された4足獣を映し出した。その映像は小隊本部のノートパソコンのモニターにも映し出されている。もちろん、ドローンからも映像が届いている。
「これは、大型犬? いや狼か?
いずれにせよ植物などどこにも生えていない環境でこれほどの大きさの生物が生息していることは謎だな。ダンジョンだからで片付く話なのかもしれないが、現代科学が音を立てて崩れるようで、解剖結果が空恐ろしいな」
小隊長は第1分隊長に、
「死体の回収に2名送る。第1分隊はその2名と共にモンスターの死骸を回収して小隊本部に撤収せよ」
『第1小隊、了解』
「その分岐をH1-1洞窟と名づける。現在のH1洞窟はH1-0と呼称する。
第2分隊はH1-1洞窟の分岐点まで進出し、H1-0の捜索を引き継ぐように」
「第2分隊了解」
本部で待機していた第2分隊の6名がH1-0に向かっていった。
偵察小隊の小隊長は第2分隊がH1-0に向かったところで、第1中隊本部に対して増援を要請したところ、第1中隊から1個空挺小隊30名が増援に送られることとなった。増援の小隊は偵察小隊の指揮下に入る。
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