第28話 女子高生たち3、郊外実習訓練
神殿兵の護衛を後ろに従えた3人娘、今は二人と一人と言った感じなのだが、その3人が原野の中を南に向かって進んでいく。獲物の発見は、探検Lv3を持つレンジャーの田原
「しっ! 前方、50メートル。茂みの先に何かいる。……。
イノシシじゃないかな。こっちに向かってきている」
「任せて!
三千院さんは、後ろで見てればいいわ」
勇者の山田圭子が長剣を引き抜いた。田原一葉も長剣を引き抜いて構えている。
後ろで見ていろと言われた手前もあるし、ヘイストは勝手に圭子や一葉にかけてしまうと剣を振る感覚がズレてしまうので、三千院華は自分にかけておいた。これでイノシシ程度の突進なら簡単に避けられるだろう。とはいえ、さすがに勇者とレンジャーの二人を躱して自分のもとにイノシシが突っ込んでくることはないだろうと三千院華は思っていた。
3人がイノシシに備えて、茂みの方を注視していたら、イノシシの鼻息と地面を踏みしめる音が聞こえ、茂みが揺れたかと思ったら、イノシシが先頭に立つ勇者、山田圭子に向けて突っ込んできた。
山田圭子は両手で剣を上段で構えているが、後ろから見ている三千院華にはその構えがいかにも無防備に見える。しかも勇者の剣は震えているようだ。山田圭子は少なくとも勇者なので、イノシシが突っ込んできたくらいで致命傷を負うことはないだろうが、三千院
勇者から一歩下がった位置の田原一葉は中段に剣を構えているが、こちらも明らかに腰が引けている。そのうえ勇者と同じように剣先が震えているように見える。
三千院
この二人に任せたままではマズいかもしれない。
そうとっさに判断した三千院
イノシシは山田圭子に突っ込む寸前で三千院
衝突した時にはイノシシの勢いもかなり衰えていたため、山田圭子は後ろに一歩ほど押されただけで済んだ。
われに返った山田圭子は状況から三千院
三千院
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺は街道を外れて、神殿の土地だという荒れ地を進んでいった。それほど進まないうちに、雑草を払った跡にやや大型のテントが一つ建っていた。何の目的でそんなものがこんな荒れ地の中に建っているのか見当もつかなかったし、中から人が出てくると面倒なので、さっさとそこから離れて、荒れ地に転がった玉石をアイテムボックスに収納しながら南の方に歩いていった。
玉石も結構アイテムボックスに収納できたので、そろそろ帰ろうかなと思ったところ、前方の茂みの先から剣を引き抜く音が聞こえてきた。それも1本ではなく4、5本だ。私有地に忍び込んだ自分に非があると言えば非はあるが、そもそも俺をこの世界に拉致していなければ、俺はここにいないわけだから、俺は1ミリも悪くない。
前回は死体にニトログリセリン抱かせて報復したつもりになっていたが、あの連中も俺を襲おうとして返り討ちにしただけなので、俺を拉致したことへの報復はまだ終わっていない。
それじゃあ、いっちょ揉んでやろうじゃないか。俺はアイテムボックスから如意棒を取り出し、念のために瓶入りのニトログリセリンを10個ほど作っておいた。
俺が準備万端神殿の連中が向かってくるのを身構えていたのだが、そのうち剣を鞘に収める音が聞こえてきた。
『なんだ? 俺の早とちりだったのか?』
気になったので、腰を屈め、音を立てないよう茂みの方に近づいていったら、兵隊が5人向こうの方に歩いていくところが茂みの隙間から見えた。
『向こうに何かいるのか?』
もう少し前にでて様子を窺ったら、兵隊たちの向うにあの女子高生3人が革鎧を着て立っていた。
『あいつら野外訓練してたのか。
おっ! イノシシが転がっている。女子高生と言ってもさすがは勇者さまご一行だ。
泉も川もなかったが、連中に見つかりたくはないからそろそろ帰るか』
俺はその場から、自宅の居間に転移して戻った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その時、レンジャーの田原
動物でもなく、敵意も感じられない不思議な気配だった。いつの間にか剣を構えていた神殿兵たちがその剣を鞘に仕舞ってしばらくしたらその気配が急に消えてしまった。
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