ハンプティ・ダンプティ兄弟 2


 空間中に置き去りにされていた白き閃光が徐々に消えていく。

 しかし、時間が経っても爆発音も爆風も吹き荒れない。

 代わりに兄弟の視界に映るのは城壁の如き大きさを持つ魔術防御障壁。


「あれは……なんだキョウダイ」

「初めて見る防御障壁だ」


 その中心より下に自分たちが撃ちこんだ《超遠距離爆撃(ミーティア)》がめり込んでいる。


「キョウダイ。なぜ《超遠距離爆撃(ミーティア)》が爆発しない?」

「兄弟よ。ワレも初めて見る術だ。答えることはできない」


 しかし、ハンプティの目には確かに見えている。

 爆発こそしていないものの、《超遠距離爆撃(ミーティア)》の着弾した障壁にヒビが入っていることを……。


「次弾装填だ。兄弟」

「キョウダイ。それは構わないが、アレを突破できるのか?」

「障壁手前の地面に撃ち、一発目を誘爆させればいい。防いでいるように見えるが、おそらくはギリギリのところで持ち堪えているだけだ」

「了解だ。キョウダイ」


 ハンプティの見立ては正しい。

 一発目の《超遠距離爆撃(ミーティア)》がそのまま爆発していれば、例え“最上級防衛魔術”と言えど、その爆風によって吹き飛んでいただろう。

 そして、そんな彼の見立ての正しさを示すかのように展開された障壁のヒビは時間を置くごとに広がっていた。


「恐らくは、あの防御障壁自体に魔術を絡め捕り、封印する効果があると見た。地面にて爆発させ、障壁さえ壊せば一発目が奴らを吹き飛ばす」

「あの三人はまだいるようだな」

「ああ。問題ない。逃げるにしてももう遅い。あのまま終わらせてやろう」


 先ほどと同じようにダンプティが《超遠距離爆撃(ミーティア)》を装填する。

 残り一発。

 そんな事を考えながら、ダンプティは二発目を発射した。

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