第2話
「アリスさん、他の人の魔力の動きって見えますか?」
「見えるはずないじゃないですか。《魔力感知(センシング)》って魔術は習得してますけど、感じ取る程度で視覚化には至らないですし」
え、なんでそんな不思議な生物を見るような目で俺を見てるの?
おかしくないよ。
元の世界で仲間に話した時だって……、あれ?どんな表情してたっけ。
「いや、俺の住んでた国では普通だって」
「ホントですかぁ?」
「そういえば、ピーターさんってどこの国の人なんですか?」
ティリスが思い出したかのように尋ねてくる。
そんな素朴な質問を受けて、俺はアリスと目を合わせ同時に声を出す。
「「異世界人だ(らしいです)」」
ティリスは俺の回答に再び首を傾げる。
「異世界……じん?」
「そう……。この世界にはない日本という国から来た純正日本人だ」
「ニホン……。確かに聞いたことないですね」
ティリスは俺の言葉を信じ、納得したかに思えた。
しかし、素朴かつ純粋な疑問が俺を貫く。
「でも……なんで言葉が通じるんでしょう?」
俺の中に走る衝撃!
しかも、横でアリスがうんうんと頷いている。
「えっと……、どういうこと?」
「いえ……。生まれた世界が違うのになんで言葉が普通に通じるのかなって思いまして」
え、ご都合主義とかじゃないの?
「ピーターは言葉が通じることに違和感を感じなかったんですか?」
「まったく……」
そうか。
それで初対面だった頃のアリスもちょっと疑ってたのか。
ぜんっぜん気にしてなかった。
だって、アニメキャラも漫画のキャラも普通に喋ってたし……。
「え、なんで俺の言葉が通じてるの?」
「今更過ぎませんか?」
俺が驚きを隠しきれずにいると、アリスがため息を吐いた。
「むしろ、そういう風にはぐらかしているだけで、本当はどこかの国のスパイなんじゃないですか?」
「「え?」」
ティリスと俺の声が重なる。
「ピーターは黒髪に黒い瞳、肌もこの辺の人に比べれば色がついてます。魔族でも中々見ない容姿なんですよ」
そりゃあ、純正日本人の黄色人種だからな。
「確かに……。この辺では見ない感じですよね。ボクも外国出身の方なんだろうなって思ってたくらいですし」
「マジか」
日本人の姿が異世界では特殊っていうのはフィクション通りなのかよ。
真面目になんで言葉が通じるのかわかんなくなってきたな。
少しばかり真剣に考え、そして俺は一つの結論を見つける。
「よしっ、こうしよう」
静かに俺の言葉を待っていた二人は、真剣な表情で俺の顔を見つめていた。
「フィクションにありがちなご都合主義展開だと」
「すみません。何を言ってるのか分かりません」
「ありがち……と言われても、全然馴染みが無いんですが」
異世界出身の二人に俺らの世界の常識は通じなかった。
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