第2話
「領域解除したらアリスは遠距離キープで援護射撃!ティリスはナイフ投擲で中距離から急所を狙え!」
「「はい!」」
咄嗟の指示だったが、二人とも思っていたように走り出す。
しかし、オークの二匹は微動だにしなかった。
それが少し気にもなったが、俺は手を挙げる。
「《回収魔術(リトリーヴ)》!」
領域解除と共に、範囲内にあったテント類などを一気に《個人収納空間(ストレージ)》に収める。
同時に俺はオークへと向かって歩き出す。
速度を生かし、相手の背後へと回り込んだティリスは真っ先に攻撃を仕掛けた。
「《複製魔法(デュプリケイション)》!《投擲》」
ティリスの投げたナイフは直線を描きながら、オークの首の後ろへ。
刃の先端はオークの鎧と兜の狭い隙間に見事命中。
しかし、オークたちの表情に変化は見られない。
「ティリス!《貫通力強化(ペネトレイター)》を使って投げるんだ!」
「ボクそれ使えません!」
おっとぉ……。
俺は足に力を入れて、ティリスの横へと跳ぶ。
「え?」
「ちなみに魔術は?属性系だと何が使える?」
「え、えっと……、風がメインです」
風か。
それならまだどうにかなるかもしれない。
「じゃあ、《風刃射出魔術(ウィンドカッター)》や《突風射出魔術(ガスト)》は?」
「どっちも使えます。中級魔法は《竜巻魔法(トルネイド)》も使えます」
「《竜巻魔術(トルネイド)》は混戦で使えないから、《風刃射出魔術(ウィンドカッター)》や《突風射出魔術(ガスト)》で相手の体勢を崩すようにしてくれ」
「は、はい!」
中距離程度に離れた状態で小声で話したけど、こっちの手の内バレてないよな?
この戦闘終わったら個々の戦力はきちんと把握しよう。
そう心に決めて、俺は再びオークに向かって歩き出す。
その瞬間、オーク二匹の体が目の前から掻き消える。
遅れて俺も足に力を入れ、アリスの体に腕を回して助け出す。
「え?」
アリスのとぼけた声と共に振り下ろされた超重量の大剣は地面をえぐり、砂礫を周囲に撒き散らした。
「っぶね!なんつー力だよ!?」
「ピーターッ!」
アリスが声を上げたので、俺は着地と同時に跳んで二匹目の攻撃をカンで避ける。
一瞬遅れて地面にめり込んだのはぶっとい棘の付いた鉄球。
あんなのが当たったら潰れる程度じゃすまない。
久しぶりに冷や汗をかいた。
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