第53話 魔法ってスッゲー!

という訳で以前イノシシ狩りに来たところ近くのダンジョンへとやって来た。

『日帰りできる距離にはない』?

ほら、私って移動速度が全然違うからね。

ダンジョンが深かったりモンスターが強かったりすると、日帰りできないかもしれないから一応荷物はしっかりと準備したけど。

逆に早く片付いたら別のダンジョンにはしごするんだい!

……『はしごする』って不思議な言葉よね。

次々と店を飲み歩くときくらいしか、使ってるイメージがない言葉だ。

まぁ、お酒を一切飲んでいないから馴染みがないだけだけど。

正直アルコールが怖いのよね。

理性が緩むと日頃のストレスとか爆発しちゃいそうで。

今ならそこまで爆発することもないかな?

……いや。

酒飲みは意味わからないところで意味不明なキレ方をすることがあるから、やっぱり私は止めておいた方がいいだろう。

自制心には自信がありません!


「さて、それじゃあさっそく入ってみるか。ここは結構モンスターが強いって聞いたけど、モンスターが強いってことは経験値が多いってことだよね!楽しみだなぁ~。」


入り口は特徴的だった。

木の洞に入ったらダンジョン内の木の洞へと繋がっていたのだ。

他のダンジョンも見習ってほしい、シンプルな出入り口だった。

やはり何度か冒険者たちが攻略に来ているのか、出入り口付近はしっかりと整備されていた。

広い空間にポツンと出入り口の木が立っている状況なので、出入り口が分からなくなる心配もないだろう。

人は誰もいなかった。


「というか、あそこに階段見てるんだよね。このダンジョン、広さはそこまででもないのかな?」


とりあえず時々魔力を放出しながら階段に向かって歩く。

襲ってきたのはオオカミだった。

うん、確かに結構危険な奴だね。

サクッと首を刈って倒し、魔石を壊す。

……その後数回、襲ってきたやつだけを倒して次の階へ進んだ。

経験値1%も増えないから……。


地下2階。

ここはイノシシが出るようだ。

サクッと倒し魔石を壊す。

経験値が2%増えた。


「イノシシも経験値がだいぶ増えなくなったけど、50匹倒せばレベルが上がるんだからやっぱり強敵だよなぁ。」


イノシシを探しながら階段を探す。

あくまでもレベル上げ目的なので、ちゃんと経験値が増えるイノシシが優先だ。

もう少し強くて経験値が多いモンスが出るかもしれないが、『全て倒せばいいのだろう?』精神だ。

ダンジョンだからって再湧きが早いわけじゃないらしいからね。

一匹残らず経験値にするんだい!

30分ほど走り回って、この階のイノシシは殲滅できたと思う。

やっぱりこのダンジョン、少し狭いね。

次の階へと降りた。


地下3階

熊がいた。

進化していない普通の魔物化した熊だ。

ただし結構な数がいて、普通なら危険すぎるだろう。

まぁ、普通に倒せるが。

やっぱり強くなったよなぁ~。

物理魔法で作った手刀ナイフを振り回し、問題なく殲滅した。

というか普通に爪で攻撃されたけど、服が破れるだけだったんだよね。

やっぱり筋肉は最強よ。

この階でレベルも23に上がったので、SPを振り分ける。


____________


Lv.23(15%)

・HP(体力):38/50

・MP(魔力):40/50

・STR(筋力):70

・MAG(超感覚):50

・SEN(器用さ):50

・COG(認識力):50

・INT(知力):50

・LUC(運):50

SP.21


スキル

・ステータス割り振り

・物理魔法(25/100)

____________


うん。

(筋力)以外を全て50にした。

次は(筋力)を100にしよう。

物理魔法のレベルもなかなか上がらなくなってきたのが少し気になる。

こちらは使っていくしかないので地道に頑張ろう。


SPの振り分けが終わったので地下4階へと降りた。


地下4階。

ここのメインは進化したオオカミのようだ。

これが恐らく隊長さんと出会うきっかけとなったグレートウルフなのかもしれない。

10頭ほどの群れを作ってこちらに襲い掛かて来たが、問題なく倒せた。

グレートウルフだけは毛並みが確かにグレートだったので、即死しないように倒し、撫でまわした。

ふわっふわもふもふだからね。

仕方ないね。

強さ的には単体でみるとさっきの熊とたいして変わらないが、群れで襲ってくるから熊より少し危険な感じだったかな?

この階も隅々まで回ったが、3つしか群れはなかったようだ。

次の階へ行くことにした。


地下5階。

オオカミ、イノシシ、熊、オオカミと来たので、次はイノシシかな?と思っていたが、いたのは進化した熊だった。

こいつは流石に危険なので、慎重に狩りをする。

一匹目は問題なく倒し、経験値は35%増えた。

素晴らしい。

進化したオオカミが5%しか貰えなかったことを考えれば、やはり相当強いのだろう。

さらにもう1匹倒し、レベルが上がった。

SPを48貰えたので、(筋力)に30振っておく。

これで(筋力)が100になった。

次は魔法関係かな?

(魔力)と(超感覚)を上げて行こう。

残ったSPは取っておくことにして、次の進化熊を探して歩いた。

しばらく歩き、次の熊を見つけた。

……うん、今ならたぶん殴り合いでも勝てる気がする。

特に隠れるようなこともせず全力で近づき、踏み込み、パンチした。

殴ったところがはじけ飛び、魔石だけを残して消えた。


「これはやばいな。人間相手だと殴らない方が良さそうだ。」


(力加減に気をつけよう。)と思いながら歩き回り、一匹だけ追加で倒してから次の階へと降りた。


地下6階。

広大な大地にイノシシがいた。

間違いなく進化したイノシシだ。

ただし、大きさが半端なかった。

このデカさを上手く伝えようとするのなら、エジプトのスフィンクスくらいの大きさだと言えば分かってもらえるだろうか?

とにかくデカかった。


「これ、どうやって倒せばいいの?」


少なくとも、一般的な剣では皮膚を切るだけで、全く致命傷にならないだろう。

全力で殴っても、痛がるとは思うが倒せるとは思えない。

射程が長く、貫通力の高い攻撃方法が必要な魔物だった。


「物理魔法で遠距離攻撃が正解かな?いや、足関節に狙いを絞って、先に動けなくするべきだろうか?……とりあえず、魔法から試してみるか。」


とりあえず魔力を大量に出して、形を整える。

イメージは太さ2メートルくらい、長さ10メートルくらいの槍だ。

魔力に反応したのか、イノシシはこちらに気づいたようだ。

あまりイノシシのことは考えないようにしながら、魔力の槍を出来る限りの速度でイノシシへと射出し、物理魔法で実体化する。

イノシシは避けようとしたが、流石に的がデカいので外すことはなかった。

物理魔法によって作られた槍は、イノシシの左前脚付け根の内側に刺さった。


「大成功じゃないかな?昔と比べてステータスが上がってるから遠距離でも問題なく魔法で戦える気がするな。」


魔法の威力は、基本的に(超感覚)と込めた魔力の量で決まる。

魔力を込めれば込めるほどいいという訳ではなく、魔力をコントロールできる上限が(超感覚)によって決まるため、どちらかというと(超感覚)の方が重要なのだ。

(超感覚)は魔法の大きさ、動かすときの速さと正確さとコントロールできる距離に関係があるので、以前実験したときにはしょぼかった『飛ばす物理魔法』も、今では桁違いに威力が上がっていた。

もちろん(魔力)が多いほど、高威力の魔法を連発できるので、そちらの方も重要なのだが……。


そんなことを知らない主人公、イノシシが力尽き、魔石を残して消滅するまで「魔法ってスゲー!」と感動していた。


魔石を壊しレベルアップしたので、増えたSPを当然(魔力)に振って100にした。


「残りSPが39か……。魔法を使うなら(超感覚)にも振るべきかな?いや、ここは(認識力)に振るべきなのか?さっき熊の前に踏み込んだ時、自分の体の動きに頭が付いてこなかった感じがしたし……。」


突進による衝突事故が怖いので(認識力)に30振った。


____________


Lv.25(0%)

・HP(体力):38/50

・MP(魔力):19/100

・STR(筋力):100

・MAG(超感覚):50

・SEN(器用さ):50

・COG(認識力):80

・INT(知力):50

・LUC(運):50

SP.9


スキル

・ステータス割り振り

・物理魔法(26/100)

____________


「流石ダンジョン。どんどんレベルが上がるな~。」


見渡してもあの超巨大イノシシは見えないが、階段はあったので下に降りることにした。


「あ、さっきの階で最後か。」


3度目の広間である。

奥の方には大きな魔石があるが、今回壊すつもりはない。


「モンスターが再設置されたらまた来よう。」


こうして最初のダンジョン探索は終了した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る