第25話


「有馬殿。そろそろ夜じゃ。今日のところは引き上げよう」


「そうですね」


あれから。


俺とシエルは一日中モンスターを倒し続け、俺はさらに200GPを手にしていた。


これであと二つ、新たにスキルを手に入れることが出来る。


一日の収穫としては十分じゃないだろうか。


「本当に…目を見張るような戦闘力じゃ…確認じゃが…有馬殿は、つい数日前にこの世界に転移してきたのであろう?」


帰り道、シエルがそんなことを聞いてくる。


「ええ、そうですが」


「元の世界はどのようなところだったのじゃ…?魔法はあったか?モンスターはおるのか?」


「いえ、そのようなものは全く。法整備の行き届いた、平和な国でした」


「そ、そうか…異世界人というのは改めて、とんでもない存在だな…」


シエルが重々しい口調で呟いた。


まぁ、俺の実力というよりも完全にスキルのおかげなんだけどな。


「有馬殿。湖に案内するから、水浴びをしてくるといい」


エルフの集落に帰った俺は、シエルの案内で近くの湖へと行き、体を洗い流す。


水は綺麗で、ひんやりと冷たい。


体を擦り、汚れを洗い落とす。


「あっ」


「ん?」


不意に背後で声がした。


振り返ると、そこには呆然と立ち尽くしている上原がいた。


「ごごご、ごめんなさい有馬くんっ!!シエルさんに水浴びをしてこいって言われて…」

「あー、うん。大丈夫だぞ」


俺の裸を見たからだろうか、慌てて両手で顔を隠してそんなことを言う上原。


特に不快にも思わなかった俺は、ジャンプして体の水を切り、湖から出て服を身につける。


「もう手を退けても大丈夫だぞ。ほら、上原入れよ」


「う、うん…」


上原が恐る恐る手を退ける。


そして、俺が服を着ているのを見て、ほっと胸を撫で下ろした。


「ほ、本当にごめんなさい…有馬くんがいるなんて思わなくて…」


「男だし、別に見られてもなんともないぞ。むしろ見苦しいものをみせてすまってすまないな」


「そ、そんな…見苦しいなんて…すごく立派で…はっ!!」


「…」


「…きゅう」


自分の発言でさらに自爆する上原。


うん、これは一人にしてあげたほうがいいな。


そう判断した俺は、さっさと湖を後にしたのだった。

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