第22話


翌日。


シエルの家で朝食を取った俺は、シエルと共に地上に降りて、森の中を歩いていた。


モンスターを倒し、ガチャを引いて、ジャイアント・スネークを倒せるようなスキルを手に入れるためだった。


「ごめんね、私が引き受けちゃったのに…何もできないで…」


家を出るときに上原にそう謝られた。


彼女のスキルは戦闘向きではないため、万全を期してシエルの家の中で待ってもらうことにしたのだ。


「すまんのぉ、ジャイアント・スネークは私たちエルフの問題なのに人間の、それも異世界人のお主を巻き込んでしまって…」


モンスターを探しながら森の中を歩いていると、シエルがそんなふうに謝ってきた。


俺は気にしないでくれ、という意味を込めて首を振る。


「いえいえ。シエルさんには恩がありますから。出来ることはさせてもらいたいんです」


「ありがたいことじゃ…それで、ええと、お主のスキル、確かスキルガチャ、だったか?」


「はい。そうです」


「そのスキルは、モンスターを倒せば倒すほど強くなるのだったか?」


「まぁ、大雑把にいうとそんな感じです。モンスターを倒すとそれがポイントとして加算されて、そのポイントを使ってガチャを回し、新たにスキルを獲得できるんです」


「はぁ…改めて聞くと、とんでもないスキルじゃな。スキルを増やすスキルなど…数千年も生きているが聞いたことがない」


「…数千年」


シエルのセリフに、俺はチラリと彼女の体を見てしまった。


背丈は小学生ぐらい。


体型もつるぺたで、完全に幼女のそれ。


とても数千年を生きているようには見えない。


「ん?どうかしたか?有馬殿」


「いえ…なんでもないです」


シエルに首を傾げられ、俺は慌てて視線を逸らした。


「それより…モンスターを効率的に狩れる場所があるんでしたっけ?」


「ああ。そうじゃ。この森の各所に、モンスターが自然と集まってくる場所というのが幾つかある。今からお主をそこへ案内しようと思う」


そうしてシエルに先導されながら、森の中を歩くことしばし。


「ここじゃ」


不意にシエルが足を止めた。


「ここにモンスターが…?」


そこは特に周囲と大差ない、木々の生い茂った空間だった。


シエル曰く、ここはモンスターがよく集まってくるスポットらしい。


俺は周囲を見渡した。


今のところモンスターらしき影は見当たらないが…


ガサガサガサ


「ん?」


「お?早速きおったな」


前方の茂みがガサガサと揺れた。


直後。


『グオオオオオオオ!!!』


「!?」


「ホワイト・グリズリーか」


咆哮と共に、ホッキョクグマのような真っ白なクマが姿を表した。


体長は5メートルはありそうだ。


地球のクマよりも数倍、凶暴そうである。


「有馬殿。倒せそうか?無理なら私が弱らせても良いぞ」


「いえ、やってみます」


この程度のモンスターにさえ勝てないのなら、体長数十メートルのジャイアント・スネークなんて到底倒せないだろう。


俺は前に出て、白いクマと対峙する。


「鑑定!」


最初にやることは、鑑定スキルを使いこのモンスターの情報を得ることだろう。


ホワイト・グリズリー


モンスターランク:B


「ランク…?」


出てきたのは名前と、ランクBという情報だった。


このランクというのは、スキルランク同様、モンスターの強さを表してるのだろうか。


ランクBというのは一体どれぐらいの強さなんだ?


『グオオオオオ!!』


「…っ」


って、今はそんなことを考えている場合じゃないな。


俺はとりあえず、手当たり次第にスキルを使ってみることにした。


「ファイア・アロー!!」


火属性初級魔法のファイア・アローをホワイト・グリズリーに対して使う。


『グオ?』


「効かないか…」


何かしたか?


そんなふうにホワイト・グリズリーが首を傾げる。


どうやら今まで倒してきたモンスターと違い、こいつには生半可な魔法は効きそうになかった。


『グオオオオオ!!!』


ホワイト・グリズリーが襲いかかってくる。


「有馬殿!!」


「ファイア・ウォール!」


シエルが何かをしようとしていたが、俺がその前にファイア・ウォールを使い、炎の壁を作り出す。


『グオオオオ!?』


ホワイト・グリズリーは、炎を恐れるように背後に飛びのいた。


よかった。


やはり炎自体は、抑止力にはなるようだな。


「だったら…」


俺は防御はファイア・ウォールで行うことにして、もう一つの攻撃手段を使うことにした。


「収納!」


ホワイト・グリズリーの頭上を狙い、収納スキルを発動させる。


ズドン!


『グオオオオオ!?』


突如出現した大岩に、ホワイト・グリズリーが押しつぶされ、悲鳴をあげる。


『グオ…グオオオ…』


なんとか大岩の下から抜け出していたが、ダメージは相当入っている。


「なっ…今のは?」


シエルが驚いているが、説明している暇はない。


俺は弱っているホワイト・グリズリーに近づいていって、もう一度ファイア・ウォールを使った。


「ファイア・ウォール!」


『グオオオオオ!?』


ホワイト・グリズリーが驚いて、後退する。


その隙に俺は、地面に転がった大岩に触れて、再び亜空間に収納した。


それから。


「収納!」


再度、ホワイト・グリズリーの頭上で大岩を解放した。


ズドン!


『グゴォ…』


今度は短い悲鳴が上がった。


大岩の下敷きになったホワイト・グリズリーは、しばらくビクビクと痙攣していたが、やがてぐったりと脱力し、動かなくなったのだった。




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