第16話


「スキル、手に入った?」


「ああ」


「どんなスキル…?」


「収納、ってスキルらしい…ちょっと待ってくれ。今確認する」


俺は自分のステータスを開き、新たに獲得したスキル『収納』について調べる。



スキル:<収納>


スキルランク:A


効果:亜空間にモノを収納することが出来る。


「シンプルだな…わかりやすではあるが」

効果説明欄には、ものすごく簡潔に、スキルの力が書かれてあった。


亜空間にモノを収納することができる。


なるほど。


異世界小説でいうところの、アイテムボックス、的なスキルか…


「今度はどんな効果…?戦う系?」


尋ねてくる上原に首を振った。


「いや、上原のマップスキル見たいな、補助系だな。しかし、これは相当便利だぞ。まだ試してないからわからんが、自分で運ばずとも多くの荷物を持ち運び出来るかもしれん」


「へ、へぇ…?」


あんまりわかっていなさそうな上原。


まぁ、実際にやってみた方がわかりやすそうだ。


俺は近くに落ちていた手頃な石を拾い上げた。


「ええと…スキル発動にはスキル名を言うわけだから…収納!」


これまで同様、スキルを使うためにスキル名を口にする。


「…!」


直後、俺の手の中の石が、ふっと消えた。


「すごおおおい!!」


上原が目を丸くする。


「どこ行っちゃったの!?」


「亜空間ってところに収納されてるらしい。


もちろん取り出しも出来るよな?…収納!」


もう一度スキル名を叫ぶ。


すると消えた石が、近くの空中に突然現れて、ボトッと地面に落ちた。


「わっ…どこから…?ええ、ど、どう言う仕組みなの…?」


「魔法的な何かだろ。考えても無駄だ」


ここは異世界。


新しい概念は、そう言うモノだと受け入れるほかないだろう。


「どんなモノでも収納できるのかな…?」


「さあな。流石に大きさ制限とか重量制限とか、あと容量制限もあると思うんだが…せっかくだから試してみるか」


俺は収納スキルを使って出来ることを一通り試してみることにした。




「お、あれとかでも行けるかな?」


「あ、あれは流石に…」


「まぁ、物は試しだ。やってみよう」


収納スキルの検証を始めてからしばらく。


俺はさまざまなモノを収納し、スキルの限界などを調べてみていた。


現在はどれぐらい大きなものを収納出来るのか調べている最中。


つい先ほど、俺では持ち上げられないほどの大きな石を収納してみたばかりだった。


「無理だと思うんだけど…」


「俺は案外行けると思うぜ」


今度挑戦するのは、直径数メートルの大岩。


重さにして数百キロはありそうだ。


上原は無理だと思っているようだが、俺は案外行けるんじゃないかと思っている。


「じゃあ行くぞ…収納!」


俺は大岩に手を当てて、スキルを発動させた。


「「…!?」」


パッと、俺たちの目の前から大岩が消失した。


俺も上原も目を見合わせる。


「す、すごい…!」


「ま、マジでいけた…」


行ける予感はしていたものの、実際に成功するとやはり衝撃を受けてしまう。


あんな大岩でも収納出来るんだったら、もはやなんでも行けるのではないか。


「出してみるか…ええと…ちょっと離れたところじゃないと危ないよな」


収納できることがわかったので、俺は大岩を取り出してみることにした。


ここまでの検証で、収納したものを出す位置は、ある程度自分で調整できることもわかっている。


俺は少し離れば場所に、大岩が出るイメージを思い描く。


「収納!」


ゴトと重々しい音がして、大岩が現れ地面に落ちた。


ぐらっと地面から振動が伝わってくる。


「すごいスキルだけど…注意しないといけないね…私たちの真上にでも落ちてきたら…」


「確かに、それは怖いな……ん?」


上原のセリフで、俺はふと思いついた。


この収納スキル。


一見すると戦闘には役に立たないサポート系のスキルだが…使い方によっては戦闘に組み込めるかもしれない…


「上原。ちょっとためしたいことがあるんだが…」


俺はたった今思いついたことを上原に告げた…


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