第13話


「す、スキルを試すの…?」


「ああ。動く前に使い方を確かめておいた方がいいと思う」


「そ、そうだね…わかった!」


上原が納得したように頷いた。


しかし、すぐに困り顔になる。


「あれ…ええと…スキルってどうやって使うんだっけ…?」


「そういや何も言われていなかったな」


言われてみれば、俺たちはまだスキルの使い方を知らない。


エレナから教わったのは、自分のステータスの確認の仕方のみだ。


「ええと…うーんと…」


どうしていいか分からずに上原があたふたしだす。


「そうだなぁ…ゲーム脳かもしれないが…スキル名を叫んでみるってのはどうだ?」


「スキル名を?」


「ああ。ほら、よくゲームや小説や漫画であるだろ?戦う時に魔法名を言ったり、能力名を言ったりするやつ。とりあえず出来ることを試してみようぜ」


「わかった!じゃあ…マップ!」


上原が自らのスキル名を口にする。


「ふわああああああ!!!」


「どうかしたか?」


「すごい!目の前に地図が現れた!!」


上原が目の前の虚空を見ながら驚いている。


「ん?上原には今、地図が見えているのか?」


「う、うん…!ここら辺に写ってる…」


上原が自分の目の前を手で示す。


だが、俺には何も見えない。


きっとステータスと同様本人にしか見えない仕様なんだろう。


「どうだ?俺たちの近くにあるか…?」


「ええと…地図の右上に、集落みたいなのがある…よく分からないけど…これ、もしかしたら人の集落かも…」


「おお!それは…」


僥倖だな、と。


そう言おうとした俺は、近くでガサガサと茂みが動いたのでそっちをみる。


「お?」


「え?」


俺たちは互いに顔を見合わせる。


今、確かに動いたよな。


『グゲ!』


唐突に奇妙な鳴き声。


それとともに、何かが草むらから飛び出してきた。


「ゴブリン!?」


そいつを目にした時、俺は思わず叫んでいた。


『グゲゲ!!』


鳴き声を上げながら近づいてくるそいつは、緑色の皮膚といい、小柄な体型といい、額から生えているツノといい、ゲームや小説の中に出てくるゴブリンというモンスターそのものだった。


「ひっ!?やだこないでっ!!」


上原が悲痛な叫びを上げて、飛び退く。 


俺はぐっと拳を構えた。


「た、戦うの!?」


すっかり逃げようとしていた上原がゴブリンと対峙する俺に驚く。


「ああ。勝てそうだしな。上原は下がっていてくれ」


ゴブリンの体長は人間の子供ほどであり、腕も足も細かったため、俺は勝てると判断した。


『グギィ…』


ゴブリンがジリジリと近づいてくる。


「おらっ!!」


先制攻撃として、回し蹴りを食らわせてみた。


『…』


鈍い音がなって、ゴブリンの首があらぬ方向に折れた。


どさっという音と共にゴブリンが地面に倒れ、動かなくなる。

 

「す、すごおおい!!」


上原が驚きの声を上げる。


俺も自分で倒しておきながら、あまりに簡単に言ったことに驚いていた。


「さて、確かモンスターを倒すとガチャポイントが手に入るんだったよな…?」


ステータス画面のスキル説明欄には確かそんな記載があったはずだ。


ピロリン! 


〜ゴブリン1匹の討伐を確認〜


〜10GPを手に入れました〜


「!?」


唐突に頭の中に通知オンのようなものが流れた。


同時に機械音声で、ガチャポイントが手に入ったことがアナウンスされる。


俺は急いで自分のステータスを確認した。


所持GP:10


「おお…」


新たに所持GPという項目が増えており、そこに10と表示されている。


このポイントを消費してガチャが引けるわけか。


「有馬、くん…?」


「ああ、すまん。今ガチャポイントが手に入ってな」


「えっ、それじゃあ、ガチャを…?」


「引けるかどうか、今から試してみる…スキルガチャ!」


上原がしたように、俺も自分のスキル名を口に出す。


すると…


〜初回限定割引〜

〜1ガチャ、10ポイント〜

ポイントを消費してガチャを引きますか?


「すげぇ…ソシャゲみたいだ…」


目の前にそれっぽいボタンが出てきた。


通常は1ガチャ100GPを必要とするが、初回限定で10ポイントで引くことが出来るらしい。


引かない手はないな。


「ポチッとな」


俺は迷わずボタンを押した。


すると、それっぽい演出の後に…


パンパカパーン!!


〜スキル:『火属性初級魔法』を手に入れました〜


「…!」


またしても先ほどと同じように、頭の中に機械音のようなものが流れたのだった。


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