第4話


その後、カトレアの王女エレナに逆らったりするものは誰一人としていなくなった。


エレナが斎藤に向かって使った魔法がやばいとみんな感じていたのだろう。


下手に逆らって命を危険に晒すよりは、とりあえず従っておいた方がいいと考えたようだ。


「えー、では今からスキル鑑定を行いたいと思います。この水晶の前に並んで順番に手を翳してください。皆さんのスキルのランクを測ることが出来ます」


俺たち異世界人には、この世界の人々にはない能力『スキル』があるとエレナは言っていた。


そして今からそのスキルのランク、要するに強さを測定するのだとか。


俺たちは一列に並ばされ、順番に紫色の水晶の前で手を翳す。


「スキルって何?特殊能力?」


「すげー…まじで漫画みたいな能力使えるようになるのかな?」


「ってか、あのエレナって人やばすぎじゃない?斎藤くんの腕切り落とすとか…」


「私たち、日本に帰れるのかな…?」


「わかんねー…でも今は従うしかねーだろ…あの王女様、明らかにやべーんだもん。逆らったら何されるかわかんねーぜ」


クラスメイトたちは互いにヒソヒソと会話しながら、順番を待つ。


そんな中、列の戦闘でどよめきが上がった。


「おおおおおお!これは…!」


「すごい…!まさかSランクが出るとは…!」


「さすが異世界人だ…!」


兵士たちが驚きの声をあげている。


見れば、一人の女生徒が手を翳している紫色の水晶が虹色に輝いていた。


なんとなく凄そうな雰囲気がこちらまで伝わってくる。


多分、彼女のスキルは他の人に比べて特別だとかそんなところだろう。


「…というか、神崎か」


俺は手を翳している女子が誰かを確認して、なんとなく納得してしまった。


神崎加奈子。


彼女は、学校一の美少女として名高い女の子だ。


容姿は、モデル並みに整っており、今まで芸能事務所からスカウトを受けたこともあるという。


この間行われた校内ミスコンでは、本人がエントリーしていないのに、一番票が多く入っていたとして伝説になった。


また、見た目だけでなく、勉強やスポーツに関しても抜群の才能がある。


そんな完全無欠を再現したような存在の彼女だが、ひとつだけ欠点が存在する。


それは、周囲とほとんどコミュニケーションを取ろうとしないことだ。


女子が話しかけてもほとんど無視。


男ならきつい言葉で罵る。


その結果、神崎には友達らしい友達は一人もおらず、いつもひとりで席に座って読書をしている。


だから誰も神崎について詳しく知らない。


謎の多き人物だ。


そんな彼女だから…この異世界で、他とは違うスキルを手に入れたとしても俺は納得がいくような気がしていた。


「Sランクスキルですか。素晴らしいですね。もしかしたらあなたは人類の救世主になれるかもしれませんよ?」


エレナがニコニコとした笑顔で神崎に話しかける。


「…」


だが神崎は無言で王女をチラリと見た後、興味を失ったように列から捌けて行った。


「あら。つれないですねぇ。まぁいいです」


王女は特に落ち込んだようにも見えない。


やがてスキル鑑定が再開して、生徒が順番に手を翳してく。


しかし、神崎以降、水晶が虹色の輝くことはなかった。


そして…


「次のひと」


「俺か…」


そうこうしているうちに、とうとう俺の番が回ってきたのだった。



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