第3話


「まぁ、皆さんのその反応は当然だと思っています。私も、今の話を一気に全て信じてもらおうなどとは思っていません。段階的に、理

解していただければいいと考えています」


サッカー部のエースであり、女子人気の高いイケメンであり、ついでにクラスのリーダー的存在でもある斎藤の意見に、エレナは冷静に対応した。


そんな彼女に対して、斎藤がさらに詰め寄る。


「段階的に?魔法だとか魔王だとか、スキルだとか…そんな突拍子もない話をどう段階的に俺らに理解させるんですか?」


「そうですねぇ」


ちょっときつい口調の斎藤を意に返すことなく、エレナは頬に手をあてがった。


そして徐に、右腕を上げた。


「ん?なんのつもりですか?」


斎藤が首を傾げる。


なぜならエレナの上げた腕が斎藤に向けられていたからだ。


「ウインド・カッター」


不意に一陣の風が吹いた。


ザシュ。


ボト。


「え…」


斎藤の口から間抜けな声が漏れた。


切断音とともに、ボトっと何かが地面に落ちる音。


「きゃああああああああ」


切り落とされた斎藤の腕を前にして、誰かが甲高い悲鳴をあげる。


「はああっ!?」


「斎藤くんの腕が!?」


「どういうことだ!?」


クラスメイトたちが騒然となる中、斎藤が半分になった自分の腕を押さえて泣き叫ぶ。


「痛い痛い痛い!?いだいよおおおおおおおおおおおおお!!!俺の腕がああああああああああああああああああ!!!」


血の吹き出す切り口を押さえながら、白目を剥いて絶叫する。


「エクス・ヒール」


そんな中、エレナは表情ひとつ変えずに、再び斎藤に向かって何かをした。


「俺の腕がああああああ…って、うええええええええええ!?生えてきてるぅううう!?」


斎藤が絶叫するのをやめる。


切り口から新たな腕が生えてきたからだ。


血もとまり、痛みも完全に引いたようだ。


斎藤は地面に落ちた自分の腕と、新しく自分に生えた腕を交互みながら、理解の追いつかないといった表情。


そんな中、エレナが言った。


「これが魔法です。しんじてもらえたでしょうか?」


「「「「「…」」」」」


今度は誰一人として「残念系」だとか「厨二病」などと言ったことを口にしなかった。



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