第37話 と言う事で、ある意味ありがとうございました。
女を追い出し何とか冷静さを取り戻した俺は、ベッドに座った状態でサカモッちゃんに一つだけある心辺りを話す。
千智「夢を見たんだ…。サキュバスみたいな女に、キスされる…。」
そう述べるとサカモッちゃんは難しい表情で考えていた。数秒後、「あ!!」と言いながら手を叩き、何かを思い出したかのように話し出した。
光信「葛城殿、今サキュバスと言ったでござろうか?」
うん。言った。
そう返事をするとサカモッちゃんは腕を組み、目線を少し下に向け中指でメガネをクイッと上げながら落ち着いた様子で原因と思われる事を教えてくれた。
光信「イヴェンタで前々からチラホラと話が出ていて、小生自身も気になっていた事なのでござるが、イヴェンタのどこかに【淫魔族】と言う種族の異国の民がいるらしいのでござるよ。しかしその姿を見た者はほとんど居らず、見たと言う証言をする者の言っている事も嘘か本当かも解らずに真相は掴めないまま、とは言っても一つだけその姿を見る方法があるでござる。」
そう言ってまた中指でメガネをクイッと上げ、メガネの中にある瞳の視線を俺に向けながら決め台詞を言うかの如く俺に言い放った。
光信「それは【サキュバスの夢を見る】でござるよ。」
脳内を電撃が駆け抜ける。
衝撃の事実を突き付けられ、あんぐりと口を開けっ放しになっている俺に構わずサカモッちゃんは続ける。
光信「その夢を見た者は皆こう言う。『イヤらしい服を着た女にキスされた』と。だが誰もこの先を見た者がいないでござる。」
そう言うとサカモッちゃんは立ち上がり、窓の外を見ながら依然として落ち着いた様子で話し続ける。
光信「ここから先は小生の《高知力》に任せた話でござるが、その夢の続きを見るにはサキュバスに好かれないといけないでこざる。見事好かれれば夢の続きを見る事ができ、最高の快感を得られるのでござるよ。デュフ…。」
なるほど。
でも気掛かりな事がある。そう、この容態は治るのかどうかだ。その内容を質問するとサカモッちゃん曰く「数日も寝てればすっかり治るでござるよ!」との事だった。
とりあえず運が良けりゃまた夢で会えるって解釈で良いんだな。
よし。良いだろう。
今夜の夢の中でこの破壊的性欲を爆発させてやるぜ…。
そう考えたらいかんせん楽しみになってきた。
ところで、何でサカモッちゃんはサキュバスの事詳しく知ってたんだろ?
その事を質問すると、サカモッちゃんは焦る様に話し出した。
光信「ししししし小生は何もややや疚しい事なんて考えてないでごごごござるよッ!!」
そう言いながら中指でメガネをクイッと十秒間に八回ぐらい上げて焦りを濁らせていた。
うん、黒だな。
何がとは言わんが。
ともかく、今日の夜が勝負時だ。まぁこう言う時って決まって出てくるんだけどさ。
と言う事で、サカモッちゃんを通してリーナさんと美奈咲に一人で寝ると言ってもらった。
そして夜。昼間よりもステータスの自由を手にした俺はベッドに入り目を瞑る。言葉に出来ない緊張感と少年時代を思い出させる胸の高まりの中、ついにあの真っ暗な空間に来る事が出来た。
まず最初に体の自由を確認、その後夢の中の自分を操作するのが可能な事を確かめた上、サキュバスが来るのを待った。
数分もしない内に昼間に見たサキュバスが姿を見せる。
あの姿に惑わされるな…。アイツのせいでとんでもない目に会ったんだ…。今こそ復讐の時だ…!!
サキュバスはイヤらしい体を撫でながら吐息混じりの声で俺に話し出す。
サキュバス「フフフ…私、貴方の事…気に入ったわ…。だから、もう一度来ちゃった。」
ほう。それはありがてぇ。俺も会いたかった所だ。
…お前に復讐する為にな…!!
サキュバスが俺に近付くと焦らす様に服を脱ぎ始め、淫乱に満ちた視線と笑みで俺の体に触れ、キスをした後に顔の間近でこう言う。
サキュバス「貴方の精を…死ぬまで吸い尽くさせてもらうわ…!!」
一見するとめちゃくちゃ怖い言葉だが今の俺には関係ねぇ…!!
その後、数時間に渡りこのサキュバスとめちゃくちゃ◯◯◯した。
結果は言う間でもない。俺の勝ちだ。
まぁステータス使ったりもしたけど。
そして目を覚ました。辺りはもうすっかり静まった夜。リーナさんも美奈咲も寝てるだろう。
俺はと言うと、めっちゃ疲れた。サキュバス倒すぐらいの精力ってこんなに疲れるものなのか。とは言え体や服を見ても夢の中だったから現実では何とも無いんだけどさ。
ふと我に帰った時、ベッドの下に目をやる。そこには夢の中で倒したサキュバスが全裸で全身をガクガクとさせながら舌を出し、アへ顔を見事にキメながら「は…はひゅう…///」と言っている姿があった。
…え?
ここ現実だよね…?
でも俺の体には何の異常もない…。
まさかとは思うけどこのサキュバス、夢を見ている間夢の中の自分と連携してここにいたのか…?
そうとしか考えられなくないか?
まぁそんな事は置いておいて、とりあえずコイツを回復させるか。ベッドを降りサキュバスに手を差し伸べる。そして潜在能力の《ヒーリング》を使う。夢から覚めてから体の火照りや異常が見られなくなっていた。恐らくあんだけの精力を使い果たしたから俺の中にあった病原菌?が全て吐き出されたのだろう。
ヒーリングさせながら《能力透視》でサキュバスを覗いた。
【シャロット】Lv.98 HP4/105 (異国の民)(淫魔族)
《火魔力:65(上限102)》《水魔力:51(上限100)》
《風魔力:25(上限58)》《光魔力:18(上限32)》
《闇魔力:91(上限125)》
《未解放特殊潜在能力:無し》
《誘惑》《魅了》《色気》《精力》《淫乱》
《一途》《脳殺》
実戦向け…ではないか。でもさすがサキュバスだ。潜在能力がそう言うのしかない。
なんて事を考えていたらシャロットが目を覚まし、自分の姿を見た瞬間、隠す素振りをして顔を真っ赤にした。
シャロット「きゃん!!///」
今更何をしていやがる…。さっきまでの事を覚えてないのか。
シャロットに美奈咲が着ていた服を渡すと瞳を揺らめかせながらそれを受け取り着替えた。
少しの間沈黙の間が出来る。辺りは夜で何の物音も無いから余計に気まずい。そんな中で先に声を掛けたのはシャロットだった。
シャロット「ま、まさかサキュバスの私を倒すなんてね…///」
止めろ。「///」とか付けるな。反って気まずくなる。だがしかし、俺も声を掛けられたら返事をしない訳にはいかない。「ま、まぁな」と少し外方を向いた素振りで返事をした。直後、シャロットが後ろから抱き締めてきた。いきなりの出来事に思わず拍子抜けした情けない声が出てしまう。シャロットに目を向けると息遣いが少し荒くなり顔を赤らめ目の中にハートマークを浮かべていた。
…そうか、バトル中に《誘惑》《色気》《魅了》が作用したのか。
シャロットは「はぁ…はぁ…はぁ…!」と言いながら俺に迫ってくる。そしてこう口にした。
シャロット「私…千智の事が…好き…!!」
そりゃどうも。そんな事より、俺はもう疲れたから寝たい。今なら最高の安眠につけるだろう。
俺に向かって手を伸ばし、あわよくばもう一度行為に移ろうとしたシャロットにステータスをぶちかました。しかし記憶は飛ばさない。飛ばせば夢の中の事まで吹っ飛ぶからな。それをしてしまえば、夢の中での俺の努力がパーになる。
そんなこんなでシャロットを上手いこと丸め込みとりあえず今日はここで一泊させる事にした。
翌朝、リーナさんと美奈咲の誤解を解くのに死ぬ様な思いをしたのは言う間でもない。
【今日の千智のステータスチェック!!】
【葛城千智】Lv.578 HP152/∞ (異国の民)
《火魔力:1200(上限∞)》《水魔力:850(上限∞)》
《風魔力:845(上限∞)》《光魔力:832(上限∞)》
《闇魔力1203(上限∞)》《打撃魔力1003(上限∞)》
《未解放特殊潜在能力:不明》
《解読能力》《浮遊》《能力透視》《演技》
《侵食》《冷静》《戦略》《超見切り》
《ド根性》《覚悟上等》《ホームラン王》
《起死回生》《漢気》《友好》《護衛》
《死神の加護》《超魅力》《超誘惑》《色気》《NTR》《デンジャラスキッカー》《五感鬼神》
《無邪気》《魂の投手》《アイコンタクト》
《調整》《超記憶抹消》《心の潜入》《疑り》
《判断力》《超妄想癖》《イメージング》
《実現化》《残忍》《無慈悲》《冷酷》
《クソオタ》《ネメエタ信者葛城》《潜伏》
…………………………………………………………
《マインドコントロール》《正義の心》
《正しき道》《天候変化》《決心》
《幻獣の加護》《エ□ゲ主人公擬き》《オス》
《粛清》《ハーレム主人公》《捻れた性癖》
《思考の玉砕》《ヒーリング》《火力強化》
《DEF強化》《ダメージ無効(稀)》《クソ野郎》
《高視力》《高聴力》《高嗅覚》《高感覚》
《錬成》《変装》《チーター》《誘惑耐性》
《許し得る精神》《友情》《性豪》《絶倫》
《夢の中で操りし精神》《夢遊》
こんなもんまで潜在能力に入れるのか…?(汗)
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