第18話 毒にも薬にもならぬ旅(7月3日)
大相撲の名古屋場所が始まるにあたり、あるスポーツ記者の呟きが目についた
「久しぶりの旅路で、準備に手間取っている。旅慣れしていたはずなのだが」
私も車であればともかく列車でのバッグパックには少々手間取るだろうな、と思わず私も頷かずにはいられなかった。
旅行とバッグパック――以降は「旅」とする――とでは準備するものが全く異なる。
明確な行き先の決まっている旅行では、そこで必要なものはおよそ決まってくるため必要最小限の持ち物でよい(それでもパソコンを持ち込むため多くなる)が、旅となると行く当てもないまま歩き回ることも多いため、何かと物が欲しい。
しかし、思いのままに詰め込めば鞄に入らぬだけでなく、過重により疲労の蓄積が早まるためその選別が不可欠となる。
ここで旅に慣れていれば素早く選ぶことも可能なのであるが、しばらく離れるともう駄目で、一日ではとても揃い切れぬようになってしまう。
二年前に東北を回った際には事前準備で三日ほどを要したのであるが、三か月後に京都へ向かった際には二時間ほどで揃えた。
それほどに旅の準備は慣れによって変わるのである。
では、旅に際して何を準備するのかということであるが、まずは必需品を列記したい。
・着替え
・携帯用歯磨き
・充電器
・緊急用の手持ちの金
・常備薬
ここで着替えが最大のネックになってくるのだが、少しは脱ぎ着のできるものを持っておく必要がある。
これは旅先の気温が体感では分からぬため、遠出になればなるほど必要である。
その一方で、無暗に増やすわけにもいかず、最低量を見積もる必要があるのだが、これが期間と地域によって大きく異なるため予測が難しい。
ランドリーを途中で利用することもあるのだが、列車の旅では移動時間を長くとることもあり、なかなか洗濯ができぬこともある。
金に余裕のある時であればぼろの下着を持っていき、旅先で捨てて新たに買い求めていくこともできるのだが、金のないことの方が多いため持ち出しもそれを見越さねばならない。
一度、金を気にせぬ旅もしてみたいのだが、それこそ夢のまた夢である。
さて、必需品以外に持っていくものには時刻表と文庫本があるが、これは列車の旅でほぼ欠かせぬものと言えよう。
前者はコンパス時刻表について語った際に書き上げたので、ここでは大きく取り上げぬが、私のようなアナログ人間には紙の辞書と同じで有難いものだ。
そして、文庫本については車窓を愉しまぬのかという声が聞こえてきそうであるが、確かにその声も分からぬでもない。
とはいえ、一日に十時間も十五時間も列車に揺られることがある鈍行列車の旅では、息抜きが必要になることもある。
同じ列車に四時間揺られ続け、さらに三時間揺られていると息苦しさを隠すことはできない。
また、思索に耽ろうとするとこうした愛読書の存在は不可欠であり、これさえあればどこでも自宅と同じ脳に切り替えることができる。
このような選ばれし本達は私の本棚の中で傷ついた姿で燦然と輝く。
それにしても旅に二年も出ていないとなると、自然と寂しいものを感じてしまう。
もう暫し我慢するより他にないのだが、早く気ままに列車に乗り、車窓を眺めながら一杯いただきたいものである。
【本日の出来事】
◎箱根で土砂崩れ 二名死亡十名救助
人間の歴史というのは災害との戦いの連続であり、その宿命から逃れることはできないという思いを強くさせられる。
犠牲者を一人でも減らすべく、今は救助に全力を賭すべき時期であり、検証はともかく批判はさておくべきではなかろうか。
それにしても、全話で災害派遣の話に触れたが早々と実例が出たことには驚かされている。
ただ、今は犠牲者の冥福をお祈りするとともに一人でも多くの方が救助されるのを願うばかりである。
◎飲酒運転防止へ 県内一斉取り締まり(熊本)
飲酒検問はそのうち冬の季語になるのではないかと思っているのだが、私も夜遅くに帰宅することが多く、飲酒検問よく当たる。
果たして警鐘を鳴らす以外に効果があるのだろうかと思っていたのだが、今回は二人が酒気帯び運転で検挙された模様。
呆れるしかない結果であるが、やはり数字で見るとその意味がはっきりと分かってよい。
なお、飲酒検問を受ける際の私は、努めて明るく降る合うようにしている。
赤色灯に背を正しながら窓を開けると、年末の差し迫る張りつめた寒さが車内に飛び込んで来、私は一度身を縮める。
挨拶をしてから馴染みの白い機械に息を吹きかけ、どうぞと通される。
「寒い中、ご苦労様です」
この一言を後に残し、私は再び家路へと就くのだ。
【食日記】
朝:ヌク
昼:スパゲッティ・ナポリタン(冷凍)、コロッケバーガー、ハンバーガー
夕:ガーリックバターバゲット、ホットウィスキー3、ちりめん山椒、日本酒1
バゲットに市販のガーリックバターを塗ってからオーブントースターで焼いたのだが、それだけでは芸がないと思い、様々な香辛料を乗せてみた。
黒胡椒とパセリを振りかけたものが最も合ったのだが、チリパウダーも悪くはなかった。
山椒とガラムマサラは止めておくこととし、刻み山葵は今後の研究対象にしたい。
他:おーいお茶1
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