128話 サ○ゼで喜ぶ彼女達
乙女ロードでの買い物を終えて、私達は近くのファミレスで昼食を取っていた。
「久しぶりに沢山買っちゃった!」
「はは、よかったですね」
SF系のやばい同人誌がほとんどだけど。
てか、一緒にいれば朱音さんについて何かわかるかと思ったけど、さらに分からなくなってきたぞ。
「ふふ、エレナちゃんもたくさん買えてよかったね」
そう言い、朱音さんが私の買ったBLの同人誌に目を向ける。
「え!? あ、これは別にそういうのじゃなくてですね!! 参考として買ったんです!」
「ふふ、エレナちゃんって可愛いね」
からかうように朱音さんが言う。
いつもと立場が違うから何だか調子が狂うな。
すると頼んでいた料理が届き、お互い手をつける。
私はハンバーグ。朱音さんはドリアを。
「やっぱりサ○ゼはコスパ最強で味も美味しいね。エレナちゃん」
「そ、そうですね」
さて、ようやくゆっくりできてるし、朱音さんにゆうくんについて聞こう。
「あの、朱音さん」
「ん?」
ドリアをフーフーしている朱音さんに私は単刀直入で聞いた。
「朱音さんってゆうくんのことどう思っているんですか?」
「どうって……相変わらず、拗らせてるオタクだなって思ってるよ」
「いや、そうじゃなくて! その……異性としてですよ」
朱音さんはドリアを一口食べて、少し間を開けて答える。
「旅行の時も言ったけど、みんなと同じだよ。ゆーくんのことは好きだよ」
「そ、そうですか。じゃあ、ゆうくんのどんな所が好きですか?」
「それもみんなと同じだと思うな〜〜。なんやかんや優しくて、好きなことには真っ直ぐで、何より一緒にいて飽きないところ」
確かに、朱音さんの言う通りだ。
私もゆうくんの他人に流されない真っ直ぐなところに惚れたんだ。
だからこそわかる。
朱音さんは本当にゆうくんのことが好きなんだと。
「ふふ、どうしたの急にこんなことを聞いて」
「いや、別に……」
恋敵に恋愛相談は流石にできないよね。
「悩んでるなら、お姉さんに相談してみなさい! ……なんてね」
笑顔でそう言う朱音さん。
それをみてわたしは思わず笑ってしまった。
「へへ、ゆうくんが告白するのも少しわかるな」
「ん? 告白って?」
「え、朱音さんって昔、ゆうくんに告白されたんじゃないんですか?」
「いや、したのは私だよ」
「え?」
「え?」
どういうこと……?
そして、朱音さんから真実が語られる。
朱音さんを守る為、ゆうくんが嘘をついたこと、そのまま広まってしまったこと……。
「あ、そうだったんですね! 私てっきりゆうくんが告白したもんだとばかり」
「ふふ、何だか嬉しそうだね」
「あ、いや、別にそう言うわけではな……」
本当は嬉しいだなんて口が裂けても言えない……。
「でも、ゆーくん、オタクで童貞のくせにどんなにアタックしても全然堕ちないんだよね。案外手強い……」
「わかります! オタクで童貞のくせに妙にプライドが高くて、こっちが誘っても全然靡かないし、本当になんなんですかね!」
「ふふ、でもそこが……」
「はい、そのいじらしさが妙に惹かれるんですよね……」
どうやら、朱音さんも私達と同じでゆうくんのことが本当に好きみたいだ。
ライバルが増えるのは嫌だけど、でもゆうくんの話で盛り上がるのは結構楽しい。
香乃や湊ちゃんと同じで。
その後も私達はサ○ゼでゆうくんについて話していた。
私とゆうくんの出会いについて話したり、朱音さんからゆうくんの大学の頃について聞いたりとお互いのゆうくんの知っていることを暴露した。
「もぉーどうしたらゆうくんを堕とせるんですかね!」
「エレナちゃんからしたら人気俳優と付き合うよりも難しいかもね」
「本当そうですよ……」
あながち、間違いではないな。
ゆうくんを堕とす方法を考えていると朱音さんが何かを閃く。
「そうだ、どうせなら他の人達も呼んで考えてみない?」
「あ、それいいですね!」
みんなで意見を出し合えばゆうくんを撃沈させる方法が見つかるかも!
ということで、全員に招集をかけた。
結局、恋敵全員で恋愛相談することになった。
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