第四話 夢のお告げをもとに、真実へと迫る
眼下には、見渡す限りの
広大で、
その
箱のような外見の、四方に赤い
閉ざされた内側からは、か細い声が。
かすれきってすぐにも途絶えてしまいそうな念仏が、長く、
『彼らは極楽に至りたかった。けれど行き着いた果ては、地獄だったのね。これは、たったそれだけの話よ』
〝うつくしい〟言葉とともに。
鳥が、あたしを噛みつぶした。
目が、
§§
「
始業前のわずかな時間。
藍奈に夢の話をすると、聞き慣れない言葉を返された。
「
なんとなく知っている。
お坊さんが絶食して、ミイラになるやつ……だったはずだ。
「
「無理矢理……」
「
ゆえに最低限の食料と、船ともいえない
「いわゆる
それは、それこそが地獄ではないのだろうか。
孤独で、苦しくて、最悪なものではないだろうか。
いや……信仰心が、信念さえあれば、そんな地獄でも、最高の
お坊さんは、最後の瞬間まで、生きたと実感があっただろうか。
「本人のみぞ知るところでしょう、それは。おまえの夢に出てきた船には、四つの鳥居がついていたのでしょう? ならば間違いないはずです。これらは
そこで、はたと彼女は喋るのをやめた。
あれだけ
そうして、顎へと手を当て、遠くを見やる。
その方向にあるのは、この村を取り囲むように存在する、大岩で。
「……これは、まさか、〝
やがて彼女は、困惑しきった声音で、そうつぶやいた。
§§
『ぽーたらか、ぽーたらか――いきてくまののみさきにいたりて、ついにとこよのくににいでましぬ――ぽーたらか、ぽーたらか――』
数え切れないほど増えた
逆に数を減らした村人たちが、声を張って奇妙な
人形は多すぎて、一度では燃やし尽くせないところまで来ていた。
「では、投げ入れてください。出来れば、丁寧にお願いしますな」
綾釣さんの命令。
けれど、
藍奈が示した〝説〟が本当なら、この人形たちは……
「悪しき。
「藍奈」
「貸しなさい。こうやるのです」
言うなり、彼女はあたしの手から人形を奪い取って、炎の中へと投げ入れた。
ばっと火の粉が舞って、炎が燃えさかり、呪文の声量が増す。
あたしは、人形が燃えていくのを見詰める。炎の中で身をくねらせる人形を見続ける。
あれから〝くねくね〟とは
――きっと、時間が無いのだ。
「ニッカポッカ」
藍奈が無表情に、声からまで温度を消して、言った。
「真実がどうあれ、私たちの仕事は変わりません。おまえが
「……うん」
彼女に気を
これじゃあ胸を張れないと思えた。
頷いて、決意を固める。
このあとは、また祭壇を組む仕事がある。
だから、夜だ。
夜――
綾釣さんと、話をしよう。
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