第12話 入学試験。



物事を理解するという事は、その者事に対して早く吸収する事が出来る事に繋がる事が知られています。


つまり、理解力が早ければ、憶えが良いという事です。


この理解力は単なる知識を手に入れるだけでは駄目です。


とは言え、知識が無ければ理解できる内容も少なくなります。


つまり、知識を出来るだけ手に入れて、その知識を引用できる。


または、利用出来る事が重要になります。


『一を聞いて十を知る。』という事が出来るのも知識を手に入れて活用する事が出来るからこそ、可能なのです。


私の場合は、この世界にない知識を持っています。


それに、ここまでの間に手に入れた知識があります。


この世界の基礎レベルは中世ヨーロッパに魔法学をプラスしたレベルですので、前世の記憶を持つ私は、この世界の他の人より有利であり、ある意味でチート知識を持っている事になります。


この世界特有の知識以外は正直改めて勉強する必要が無い程に知識としてありますので、この世界特有の知識を重点的に頭に入れるという感じで勉強して過ごしています。


学園に入る前には入学試験というモノがあります。


入学試験は筆記と実技があり、その試験結果によって入学が認められます。


私の場合は王族ですので、試験内容に関わらず入学できますが、王族ですからこそそれなりの成績を求められるとも言えます。



でも、考えてみてください。


王族は小さい頃から、勉強ができる環境が整っており、優秀な先生も何人も抱える事が出来ます。


しかも、一部の有力貴族以外は王族と同じ様な環境を作る事は容易ではありません。


その状況下において、受からない程の劣等生が出来上がる事は王族では考えられないと思います。


ちなみに、私の双子の姉上は主席入学をしており、今も主席を維持しているそうです。


双子なので、どちらかが一番であるという事です。


更に、その上のシーラ姉上もずっと主席だそうです。


正直シーラ姉上は武のみかと思っていましたが、そうでは無いようです。


で、カストロ兄上なのですが、現在は学園の三年生。


主席では無いそうです。


10位以内には居る様ですが、どうもトップ5に入れないのだとか。


6位から10位を行ったり来たりしているそうです。


他の王族も絶対に主席であった訳では無いそうなので、まぁ普通でしょう。


現在最高学年である五年生にも王族が居ます。


第11番目の王子でアウグスト・フォン・フリーア兄上です。


アウグスト兄上もやはりトップ5に入るそうです。



「おい。ルシファリオ!王族の面汚しになるなよ!!」



「はい。精進致します。」



いつもの如くカストロ兄上がイチイチ牽制してきます。


イジメと言っても良いのではないでしょうか?


まともに取り合うつもりが無いので、簡潔に答えますけど、試験会場に向かう途中で待ち伏せしてまで、私に絡んでくるのはある意味で凄いと思います。



「凄い執念ですね。」



「ええ。」



レオナさんの言う通り、凄い執念だと思います。


試験会場は王族や一部の貴族は特別待遇なのか、入口が一般とは違います。


ただ、従者は別室で待機する事になります。



「では、いってきます。」



「いってらっしゃいませ。」



短く言葉を交わし、私は試験会場へと足を運びました。


さぁ、しっかりと結果を出さないと!




◇◇◇◆◇◇◇




「待たせましたね。」



「いいえ。お疲れ様でした。」



筆記試験は無事終了しました。


今の全力を出したので、問題はないでしょう。


評価がどの様なモノになるかは分かりませんが、少なくとも王族の恥になる事は無いと思います。


これからお昼を挟んで、実技試験があります。


魔術と剣術の試験で魔術は的を狙うという単純なモノで、剣術は試験官との模擬戦です。


どちらも苦手では無いのですが、受験生の水準が分からないので、どの程度で問題ないのかは分かりません。



「お食事の準備が出来ました。」



「ありがとうございます。それでは頂きます。」



後から合流したメイドのヘレナさんが昼食の用意が出来たという事で、持って来てくれた食事を頂く事になりました。



「美味しい。」



「お口にあって良かったです。」



今日のお昼はサンドイッチで、いくつかの具材によって数種類を用意してくれています。


私のスケジュールに合わせて軽めの昼食を用意してくれたのでしょう。


ありがたい事です。


地球の日本でオーソドックスと認識されている玉子サンドや、ハムサンドもあり、カツサンドやフルーツサンドまであります。


ただ、マヨネーズは無い様なので、味はソースが基本としてあるので、地球・日本のサンドイッチの味とは違いますが、マヨネーズは無くともそれに代わるモノが具材とマッチングしていて美味しいです。



「ヘレナさん。腕を上げられましたね。」



「お褒め頂きありがとうございます。」



ヘレナさんは嬉しそうに笑いました。


貴族の子女とは言え、四女であり将来を考えて学園を卒業後すぐに王宮のメイド見習いとして入ったばかりの為、私の従者の中でも一番若く、私に近い年齢です。


見た目も美しいので、その内良縁が舞い込んでくると思っています。


王宮のメイドとして数年でも働けば、ステータスとして箔がつくので、彼女の様に王宮のメイド見習いになる貴族の子女は少なくありません。



「ごちそうさまでした。」



私は、満足して食べ終わり、少しばかりミルクティーを楽しみ、体を休ませました。



「さて、試験の準備をしましょう。」



午後からの実技試験に向けての準備の為に軽く体を動かします。


ストレッチや軽めの走り込みをして、体を柔らかくし、体を温めます。


地球での運動前の準備ですが、これは体を使う前にやるのは有効です。


この世界には魔法が有るので、あまりその辺の知識は発達していない様でしたので、私のやる行為を従者の皆さんはビックリして見ていましたが、意味を説明した今では、率先してやっていますし、私の為に手伝ってくれます。


良い人達に恵まれた事は幸せな事です。


神※※※※※様に感謝を。

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