048
***
パートナー会社から昨年度のシステム障害のお詫びと今年度のご挨拶ということで菓子折をいただいた。
「たくさんあるから、西尾さんチーム内にでも配ってあげて」
「はい、かしこまりました」
上司に指示され、私は菓子折片手に各席へ一つずつ配っていく。
日下さんの後ろでこっそり深呼吸をしてから、何でもないように声をかけた。
「日下さん、お裾分けです」
「ありがとう」
お菓子と共に小さな付箋を付けておいた。
不自然にならないように、すぐにその場を離れる。
”金曜日、金木犀で待ってます”
日下さんは付箋に気づきながらも無反応だった。ずっと気まずいままの私たち。
はたして日下さんは来てくれるだろうか。
金曜日、少しだけ残業をしてしまったけれど私は一足先に金木犀へ赴いた。会社を出るとき日下さんはまだ仕事をしていたのだ。
来てくれるかどうかドキドキする。
そんな私のピリピリ感が伝わったのか、ママが怪訝な顔をする。
「芽生ちゃん何か顔怖いんだけど?」
「緊張してるの」
「は?何で?何かあるの?」
「決意を固めてきたの」
「ふーん、よくわかんないけど、頑張りなさい。飲みすぎないようにね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます