SEOBOK ソボク ー21.8.3.

監督:イ・ヨンジュ



永遠の命を題材に、生と死を哲学する。

こうした哲学的テーマを扱うにファンタジーはよくあるものの、本作はSFだ。

ならばAIを使うのが近頃の流行であり常套だろうが、

ちゃんと「生きた者」を採用しており、机上の空論とならない切実さが強烈だった。

劇中、大掛かりなアクションシーンも多く、コメディーパートにもぬかりがない。

おかげで小難しいテーマもさくっと観ることができる良作だった。


ちなみに韓国映画のアクション、特にガンアクションは

ハリウッドを追随することない独自路線かつ、引けを取らない迫力を確立している

と感じてやまないがどうだろう。

火薬周辺において今回も、やり過ぎることなく物足りなくもない絶妙さを感じている。


また主人公の発揮する超能力シーンも同じで、見せすぎないところがいい。

ハリウッドだと全て特撮で見せてしまいそうだが、

本作では間接的に表すシーンの挟み込みが絶妙だった。

(離れたところにいる人が吹き飛ばされる。遠くで大きな音がする等)

おかげでここぞの直接的なVFXシーンが際立ち、視覚効果抜群だった。


それほど数は観ていないが、役者さんの演技も昔ほど喜怒哀楽が激しいわけでもないナチュラルさがある最近の韓国映画。

スケール感もハリウッド並みと、正直、日本は抜かれていないか? と思っている。


ちなみに鑑賞中、ソボクが鈴木福君に見え、ギホンがV6の井ノ原快彦さんに見え、その上司の部長が佐野史郎さんに見え、敵対するおじいちゃんが小日向さん辺りに見えて仕方なかった。

日本版でやるときは、是非この配役でやってもらいたいな。



目には見えない「エネルギー」を表現する。

本作を観ながら、これを文字化するとなると、と考えずにはおれない。

どうしても「書く」となれば、見える範囲を描写、派手に分かりやすく超常現象を表現しがちだが、

だからこそこの見えない部分で表せたら、ある種のリアリティーを読み手に伝えられるのではないかと思う。

なぜなら、このようにないような力なのだ。

そう簡単に目視できるようでは、

ありがたみにかける。

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